1,800円以上の注文で送料無料

あられもない祈り の商品レビュー

2.7

215件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

    76

  4. 2つ

    60

  5. 1つ

    20

レビューを投稿

2010/10/07

ブクログのゲラ本プレゼントで頂きました。 島本理生さんのご本は『ナラタージュ』で衝撃を受けて、初期作品を読み漁り、文章の静謐な感じが好きだったのですが、近年主にテーマにされている過去のトラウマや親との確執、苦しい恋愛が、自分にとっては重たく感じて、離れていました。 久しぶりに読ん...

ブクログのゲラ本プレゼントで頂きました。 島本理生さんのご本は『ナラタージュ』で衝撃を受けて、初期作品を読み漁り、文章の静謐な感じが好きだったのですが、近年主にテーマにされている過去のトラウマや親との確執、苦しい恋愛が、自分にとっては重たく感じて、離れていました。 久しぶりに読んでみて・・・やはり重い・・・だけど気になる・・・。 今後もこのテーマを島本さんが年齢と共にどう表現されるのか、気になります。

Posted byブクログ

2010/05/06

島本理生さんの本を読むのは久しぶり。 この人の書く恋愛小説は、切なくて痛くて、自分に余裕のあるときじゃないと読めない感じ。 今回はゲラ本プレゼントということで、いただいた本。家に本が届いて嬉しかったし(まさか当たるとは思ってなかったw)、まだ本屋さんにも並んでない本だ!と思って、...

島本理生さんの本を読むのは久しぶり。 この人の書く恋愛小説は、切なくて痛くて、自分に余裕のあるときじゃないと読めない感じ。 今回はゲラ本プレゼントということで、いただいた本。家に本が届いて嬉しかったし(まさか当たるとは思ってなかったw)、まだ本屋さんにも並んでない本だ!と思って、ウキウキ気分で読み始めました。 1度読んだだけでは、自分の中で全く消化できなくて、2度読みました。 このお話を恋愛小説だと思って読むと、ちょっと違う気がする。 『あなた』は自分は結婚の予定があるくせに、自分の年の半分くらいの女の子に手を出すような、とんでもないおっさんだし(しかも、経営者という、社会的にも地位があるところが、さらに厄介。)、一緒に住んでいる直樹は酔うと暴力をふるうような男。 親は選べないから、両親の話は仕方ないにしても、こんな2人の男の間をふらふらしてる『わたし』も間違ってると思う。というか、どんな男の人に対しても、浮気も不倫もやっちゃダメ!手首切るのも間違ってる! 島本さんの綺麗な文章にだまされかけるけど、登場人物のやってること、突っ込みどころが満載です。 恋愛小説だと考えると、誰にも共感できなくて読むのがきつかったです。 (唯一、『あなた』の奥さんの立場は切ないなと思った。) でも、作者の言葉にあるように「自分を大事にできなかった主人公が生きるための欲望を得るまで」の物語、と考えると、すごくすんなりと体にしみ込んできました。 本の途中から『わたし』が変わっていくのがわかって、スッキリ。 生きるための欲望っていうのは、自分で自分を認めないと持てないものだと思うし、自分をしっかり認めてあげることができれば人のことも見えてくるんだなぁと思った。 『わたし』は確かに『あなた』のことを想っていたのだと思う。 この二人が幸せになる道があるのかはわからないけど、『わたし』が幸せになれたらいいなぁと思った。

Posted byブクログ

2010/05/05

新しい試みの詰まった作品だな、と思いました。 固有名詞を排した「あなた」と「私」の物語は全編に息詰まりを感じて胸が苦しくなります。 「私」が抱えている過去も現在も、理解するのが難しい世界のように感じられながらも、「あなた」への気持ちだけは理解できた気がして、不思議です。これは恋...

新しい試みの詰まった作品だな、と思いました。 固有名詞を排した「あなた」と「私」の物語は全編に息詰まりを感じて胸が苦しくなります。 「私」が抱えている過去も現在も、理解するのが難しい世界のように感じられながらも、「あなた」への気持ちだけは理解できた気がして、不思議です。これは恋愛小説だろうか、と思うような展開だったはずなのに、「あなた」が触れた熱をいつまでも思い出せるのは、恋でしかないと思わせる。 恋しい人に触れたいと、思わせる熱のあるお話です。 ブクログのゲラ本プレゼントで頂きました。ゲラ本なんて手にするのは初めてで、大切に読ませて頂きました。有難うございました。

Posted byブクログ

2010/05/09

「私」と「あなた」の物語。 20歳の私の倍ほども年上のあなたは、出会ったばかりにもかかわらず、私を急に呼び出し、愛を告白した。しかし付き合って欲しいという願いに、友人にはなれるけど付き合うことはできない、と告げたのを最後に連絡は途絶えた。 再びあなたが突然私の前に現れた時、あなた...

「私」と「あなた」の物語。 20歳の私の倍ほども年上のあなたは、出会ったばかりにもかかわらず、私を急に呼び出し、愛を告白した。しかし付き合って欲しいという願いに、友人にはなれるけど付き合うことはできない、と告げたのを最後に連絡は途絶えた。 再びあなたが突然私の前に現れた時、あなたは共同経営者の女性と婚約しており、年内には結婚式を挙げる予定だった。一方私も愛とないまぜになった暴力を振るう直樹と同居し、義父の入院、実母の金の無心…といった地獄の季節の最中にいた。そんな私にあなたは別荘の鍵を与え、私は日常から逃れるようにそこを訪れる。そして次第に、「あなた」と向き合い始め…。 (感想) ブクログのゲラ本プレゼントでいただきました。応募したことをすっかり忘れていたので、本を突然プレゼントしてもらい凄く嬉しかったです。そして発売前の本を読めるということにドキドキしながら、大切にページをめくらせてもらいました。 島本さんの本は少し前にナタラージュを読んだことがあったのですが、その時に受けた印象とはまた違ったものでした。どちらの物語も淡々と進んでいく印象ではあるのですが、今回の物語はコピーに「名前すら必要としない二人の、密室のような恋」とあるように、物語の中の二人にしかわからない世界というか…。主人公の「私」と自分自身に上手く重ね合わせて感情移入をして読むことが出来なかったからかもしれませんが、消化仕切れなかった感があります。恋愛の形はそれこそカップルの数だけあり、私が知らない世界がここにもまたひとつある、ということなんでしょうね。

Posted byブクログ

2010/05/05

相変わらず、島本さんの文体は読んでいてとても居心地が良いなぁと思います。 今作はその居心地の良さに加えて、不思議な感覚が芽生えました。というのも、始終、回想しているかのような、静けさを感じる文体なのに、行間からはあふれんばかりの情熱が感じられました。まとわりつくような熱気とひや...

相変わらず、島本さんの文体は読んでいてとても居心地が良いなぁと思います。 今作はその居心地の良さに加えて、不思議な感覚が芽生えました。というのも、始終、回想しているかのような、静けさを感じる文体なのに、行間からはあふれんばかりの情熱が感じられました。まとわりつくような熱気とひややかな静謐。 この矛盾する印象はなんだろう。 固有名詞のない「わたし」と「あなた」がいることで、まるで自分自身についての物語のように感じてしまうからでしょうか。 この作品は、筆者のいうように「自分を大切にできなかった主人公が生きるために欲望を得るまで」を描いた内省的な物語です。恋愛というのはその一過程に存在しているに過ぎず、著者の代表作である『ナラタージュ』ほどには恋愛がメインではないと感じました。 誰も彼もが不器用で、自らのどうにもならない気持ちを持て余していて、弱い。 きっと、わたしもあなたも直樹もちょっと見方を変えれば前向きな生き方ができそうなのに、お互いの中で良い気持ちの循環をつくりだしていくことができないでいます。そして、そういう人達ってきっとたくさんいて、その、ちょっと壊れかけた感じというのは誰もがもっている当たり前のものなのかもしれません。 「わたし」がどうなっていくのか、その答えは現実の私自身の中にあるような気がします。 島本理生さんの新しい挑戦なのかな、と思いました。 彼女の小説家としての挑戦を見届けたい方にとっては必読の一冊になるでしょう。 最後にこの度はゲラ本のプレゼントを頂戴し、ありがとうございました。30名の中に選んでいただいて大変嬉しく思います。

Posted byブクログ