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競売ナンバー49の叫び の商品レビュー

3.7

27件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    7

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2024/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

比喩的なものや色々と解釈できる点なんかについてはお手上げでしたが、主人公のエディパが色んな場所へあちこち出向いて、劇を見たりバーへ行ったり風変わりな人々と話をして色んな事実を探り出してそれを手がかりに謎めいた「トライステロ」について探っていく一連の流れは探偵小説的かつ冒険モノみたいに楽しかったです。 最後の最後で一連のトライステロの謎がインヴェラリティの仕組んだ壮大な作り事だった可能性が指摘されて、自分を取り巻く世界それ自体がいったい本物なのだろうかみたいな境地においてけぼりにされる感じは何だか不思議な気持ちよさがあります。

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2020/08/06

何か前衛的な詩を読んでいる気分 もしかしてこれも演出の一つか? 少なくとも20代で書ける話とは到底思えない

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2020/07/05

ドアーズの曲がBGMに流れるホックニーの絵のカリフォルニアを舞台とした奇妙な物語。バークリー、サンフランシスコ、ギルロイやフレズノのあたりが舞台。 翻訳者の志村正雄による注釈が充実。独立した読み物になっている。 志村によれば、本作はピンチョスのノベルの中で最も簡略とのことだが...

ドアーズの曲がBGMに流れるホックニーの絵のカリフォルニアを舞台とした奇妙な物語。バークリー、サンフランシスコ、ギルロイやフレズノのあたりが舞台。 翻訳者の志村正雄による注釈が充実。独立した読み物になっている。 志村によれば、本作はピンチョスのノベルの中で最も簡略とのことだが、かなり複雑な構造を持った話だった。 突然、身寄りのない富豪から遺産管理人に指名される主人公。次々と見つかる暗号。連邦制度とは別の「裏」の郵便制度の存在。裏郵便システムのための偽造切手。関係者が全て自分をハメていて、それは富豪によって生前にセットアップされのではないかという疑心暗鬼。これらの話がカリフォルニアの乾いた快晴の気候なかで進んでいく。 偽造切手コレクションが競売にかかるシーンで物語は終了。中途半端なようで、映画のラストシーンのような終わり方だった。

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2019/12/11

トマスピンチョン 「 競売ナンバー49の叫び 」 かなり難しい。 60年代のアメリカを描いた時代小説だと思う。反体制、カウンターカルチャーの時代とは 別の世界を見てきた主人公の逃げ場のなさを描写しているように読める。 競売ナンバー49の叫び=アメリカの反体制の叫び。この叫び...

トマスピンチョン 「 競売ナンバー49の叫び 」 かなり難しい。 60年代のアメリカを描いた時代小説だと思う。反体制、カウンターカルチャーの時代とは 別の世界を見てきた主人公の逃げ場のなさを描写しているように読める。 競売ナンバー49の叫び=アメリカの反体制の叫び。この叫びをどう受け止めるか が小説のテーマのように感じた。エントロピーとマックスウェルの悪魔が どう受け止めるかのヒントだと思う。 *エントロピーの熱量の方向性、元に戻らない不可逆性 *マックスウェルの悪魔の選り分け、無から有を生む構造 を この小説のヒントと捉えると 反体制時代の人々の熱量の社会への影響力の大きさ、元の栄華の時代へ戻らないアメリカ、情報やコミュニケーションの選り分けを イメージした。 主人公の宗教的な啓示(死から再生へ)が何を意味するのか わからなかった  

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2018/01/07

 不思議な読後の感覚。  内容云々ということではなくて、自分の中の手ごたえというか、手触りというか。  非常に面白く読み終えた。  非常に面白い作品なんだけど、果して本当にその面白さを堪能できたのかどうか。  100%理解できたうえで「面白かった」と言えているのかどうか。...

 不思議な読後の感覚。  内容云々ということではなくて、自分の中の手ごたえというか、手触りというか。  非常に面白く読み終えた。  非常に面白い作品なんだけど、果して本当にその面白さを堪能できたのかどうか。  100%理解できたうえで「面白かった」と言えているのかどうか。  物語の大筋は理解出来ていると思うし、どんどんと追い詰められ、損なわれていくエディパの心理や、あばかれていく謎の数々も概ね理解出来ていると思う。  どちらに転んだとしても決して明るい兆しはないラストにしても、好きな終わり方だ(白黒はっきり付けられないと落ち着かない、という人にとっては、この謎を残したままの終わらせ方は最悪だろう)。  それでも、自問自答してしまう……本当に理解した上で面白いと言っているのかと。  併録されている短編「殺すも活かすもウィーンでは」よりもページ数が多い注釈(解注と名付けられている)は結局は煩わしくて読まなかったのだが、いずれこの「解注」をきちんと読んだうえで再読してみたいと思う。  またこの短編「殺すも活かすもウィーンでは」もとても面白かった。  なんとも言えない終わらせ方にゾゾッ。

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2016/06/03

トマス・ピンチョンはこれで2作目。「LAヴァイス」が気に入ったので、興味を魅かれ、読計変更して他の作品を読もうとする。 たまたま「LAヴァイス」は難解ではなかったが、他の作品は難解との感想が多し。比較的難解ではなくピンチョンの入門本との感想を見、この作品を読むことにした。 遥...

トマス・ピンチョンはこれで2作目。「LAヴァイス」が気に入ったので、興味を魅かれ、読計変更して他の作品を読もうとする。 たまたま「LAヴァイス」は難解ではなかったが、他の作品は難解との感想が多し。比較的難解ではなくピンチョンの入門本との感想を見、この作品を読むことにした。 遥か昔にはサンリオSF文庫から発刊されていた様だ。ってSF?なら必読だ。でも粗筋はそうでもない。28歳女性の独り素人探偵物語。主人公エディバは既婚者。夫はローカルラジオ局のDJをやっている。 あるとき、以前の恋人で実は大富豪であったピアス・インヴェラリティの遺言執行人に指名される。この関係、「LAヴァイス」のシャスタと不動産王のミッキー・ウルフマンの関係を思い出す。これが「LAヴァイス」の原型であったか? 遺品を調査するうち、郵便喇叭マーク、地下郵便組織トライストロ、偽造切手などに出くわす。この偽造切手が現在では希少価値があり競売にかけられることになり、この作品の題名となる。 トライストロは遥か昔から存在したのか?現実に今でも存在しているのか?この探偵劇は初めから仕組まれた悪戯なのか?エディバと一緒に読者も迷宮。何 何? 登場人物のキャラとその会話はウィットに富んで、案外コメディタッチ。お色気場面もあり、ドラマの中にまたドラマ、得意のピンチョン節を堪能しつつ、素人探偵モドキドラマに単純に惹き込まれました。

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2016/05/09

内容を深く理解できたとはとても思えないので、星4つである。ピンチョンの作品では最も短く最も読みやすいとのことだが、私にはかなり難しかった。解注といいう大変丁寧な注釈がついているが、それでも理解できたとは云い難い。 とはいえ、読みにくい、というものではなく、どちらかというと楽しく読...

内容を深く理解できたとはとても思えないので、星4つである。ピンチョンの作品では最も短く最も読みやすいとのことだが、私にはかなり難しかった。解注といいう大変丁寧な注釈がついているが、それでも理解できたとは云い難い。 とはいえ、読みにくい、というものではなく、どちらかというと楽しく読めた。1966年の作品であるが、全く古さは感じなかった。というよりむしろ近未来小説のような味わいさえあったと思う。

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2015/05/27

ピンチョンの世界観にどっぷり浸かったら、戻ってこれないのかもしれない 感動、狂気、恐怖、パラノイア患者にされてしまいそう

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2014/08/26

結局エディパはピアスという塔の中で、アメリカの裏世界というマントを刺繍し続けていたのだろうか 絵の前で彼女が感じた絶望と、線路を歩き続けた彼女が感じた絶望は、同じものなのか?

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2014/05/03

初ピンチョンということで入門書的な中編を手にしたが、初速から時速160㌔で情報がぶっ飛んでくるが如く濃密な読書体験だった。パラノイア的陰謀論は60'sというより現代的な主題であり、氾濫する情報はギブスンのサイバーパンク的世界観を想起させる。無数の記号が結託して共通の暗喩...

初ピンチョンということで入門書的な中編を手にしたが、初速から時速160㌔で情報がぶっ飛んでくるが如く濃密な読書体験だった。パラノイア的陰謀論は60'sというより現代的な主題であり、氾濫する情報はギブスンのサイバーパンク的世界観を想起させる。無数の記号が結託して共通の暗喩を導き出し、時に主人公の心情描写以上に語り掛けるものがあるというのは現代的であり、それは歴史を持たない国、アメリカの文化を正しく体現している。そう、記号は時に小説以上に小説的だ。それは全てを語り切らない、だからこそ読者は語ろうとしてしまう。

Posted byブクログ