フィガロの結婚 の商品レビュー
1976.11.12 購入。 名古屋メルサ・鎌倉文庫 定価 ⭐︎⭐︎ (⭐︎印二つは200円) 岩波文庫は、確か昭和40年代後半までは定価を⭐︎印で表していた。 当時 ⭐︎ 一つは100円
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第一部『セビーリャの理髪師』読了後に観劇を経て、こちらを読みました。第一部から何年後の設定かはわかりませんが、釣った魚に餌はやらんと言わんばかりに奥方そっちのけで、フィガロの許嫁を追いかけまわす残念極まりない伯爵に呆れる暇もなく、フィガロとバルトロ医師の衝撃的な関係や、せわしない...
第一部『セビーリャの理髪師』読了後に観劇を経て、こちらを読みました。第一部から何年後の設定かはわかりませんが、釣った魚に餌はやらんと言わんばかりに奥方そっちのけで、フィガロの許嫁を追いかけまわす残念極まりない伯爵に呆れる暇もなく、フィガロとバルトロ医師の衝撃的な関係や、せわしない登場人物たちに翻弄されて、もうお腹いっぱいです。盛り込まれた設定と古風な訳で、前作より小難しい印象を受けました。
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岩波で読んだわけではないので本の内容についてだけ… 舞台用の作品ということなので会話調でサクサク読むことが出来た。 事前に大まかなあらすじは知っていたので細かい内容を読むことが出来てよかった このような舞台用文学作品は本として読むよりも舞台や劇形式で見る方がいいのかなと思った
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
セヴィリアの理髪師の続編。理髪師も務めていた何でも屋であったフィガロが、結婚を決める物語。前作で仲を取り持ってあげた伯爵が、今度は自分の婚約者の初夜の権を主張し始めたため、懲らしめることに。・・・というか、いくら未遂にして恥をかかせたとはいえ、この伯爵はもっと懲らしめられてもよかったのでは?
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18世紀フランスの劇作家ボオマルシェエ(1732-1799)の代表的戯曲、1784年の作。『セヴィラの理髪師』の続編。モーツァルト(1756-1791)によるオペラでも知られる(オペラ化は1786年)。ルソー或いはヴォルテールなど百科全書派の自由思想に覆われた革命前夜の同時代フラ...
18世紀フランスの劇作家ボオマルシェエ(1732-1799)の代表的戯曲、1784年の作。『セヴィラの理髪師』の続編。モーツァルト(1756-1791)によるオペラでも知られる(オペラ化は1786年)。ルソー或いはヴォルテールなど百科全書派の自由思想に覆われた革命前夜の同時代フランス社会に充溢していた反"旧体制"の空気を存分に吸いながらも、明朗な恋愛喜劇となっている。 自己の領地の女に対する"初夜権"を一度は自らの意思で廃棄しながら、それが惜しくなった堕落貴族たる伯爵アルマヴィヴァが、民衆フィガロの許嫁シュザンヌに抱いた卑しい欲望を、フィガロやシュザンヌや伯爵夫人など女たちの機知によって挫かれてしまう。 □ フィガロ――・・・。貴方[伯爵]は豪勢な殿様ということから、御自分では偉い人物だと思っていらっしゃる! 貴族、財産、勲章、位階、それやこれやで鼻高々と! だが、それほどの宝を獲られるにつけて、貴方はそもそも何をなされた? 生れるだけの手間をかけた、ただそれだけじゃありませんか。 出自により賎とされる"血の差別"を受けたと出版社を糾弾する者が、ただただその生れによってのみ貴とされ(ることによって支配層に政治利用されてい)る天皇家を尊崇しているポーズをとるという、鼻白むほどに見え透いた茶番が大真面目な顔で罷り通っている現代日本社会に於いて、情けないかな、フィガロの単純な叫びは未だに意味あるものとして響いてしまっている。 次の台詞も、そのまま現代支配層への叫びである。 フィガロ――・・・、どいつもこいつも、俺には正義を強いながら、奴らは勝手に盗みほうだいで、こっちはいよいよ没落の体だ。 支配層により作・演出されているところの天皇制という空虚な中心で踊っている茶番劇は、恰も現代日本のあらゆる虚偽の源泉であるかのようだ。当該社会に於いて不可避的に空転せざるを得ないあらゆるコミュニケーションの行き着く先であるかのようだ。 □ それにしても、この伯爵の、自己の欲望に対するオプティミズム、そこから無尽蔵に快楽を汲み取れるであろうと何の疑いも抱かずにいられるオプティミズム、それは人間の欲望というものの在りようを余りに平板化して描いてしまっていないか。尤も、喜劇の一要素への戯画化・単純化にこんな難癖をつけても栓無い話ではあるが、要するにそこには自己反省という機制が無いのだ。欲望は、常に惰性態へと堕ちていきながら、その上でなおも依存的に渇望せずにはいられないところの、乾涸び続ける砂漠でしか在り得ない。この屈折した在りようは、伯爵の姿からは全く窺えない。 □ 60年以上前の辰野隆訳は滑稽なほど読みづらく、新訳が俟たれる。
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