続 アメリカ医療の光と影 の商品レビュー
『アメリカ医療の光と影』が出されたのが2000年。この続が、2009年の出版になる。 アメリカの医療システムを見つめることで日本の医療システムを見つめ直せるという点は前回作と同じだけれども、今回取り上げられたテーマは副題にある『バースコントロール・終末期医療の倫理と患者の権利』。...
『アメリカ医療の光と影』が出されたのが2000年。この続が、2009年の出版になる。 アメリカの医療システムを見つめることで日本の医療システムを見つめ直せるという点は前回作と同じだけれども、今回取り上げられたテーマは副題にある『バースコントロール・終末期医療の倫理と患者の権利』。 また、おまけ(といっても、これもかなり切り込んだ内容)んぼ第4章「医療よもやま話」もすこし気を抜いて読めるお話として面白いし、第5章の池永光弁護士(患者の権利運動の先駆者らしい)との対談も、総まとめとして勉強になった。 ---------------- 【内容(医学書院より)】 患者の権利の中核をなす「自己決定権」が確立された歴史的経緯を、気鋭の著者が古典的事例を交えて詳述。延命治療の「中止・差し控え」に適応すべき原則を考える。さらに、セイフティ・ネットが切れ始めた米国の医療保険制度を明日の日本への警告としてとらえるとともに、笑いながら真剣な問題を考える「医療よもやまばなし」、患者の権利運動の先駆者である池永満弁護士との対談も収載。 ---------------- 【目次】 第1部 医療倫理-延命治療の中止から小児の癌治療まで I 延命治療の中止を巡って 1 殺人罪 2 遷延性植物状態 3 異例の裁判 4 歴史的判決 5 母の願い 6 クルーザン家の悲劇 7 終末期医療における患者の権利 8 パターナリズムの呪縛 9 殺人罪に問うことの愚かしさ II 「医学的無益」を巡って 1 評決 2 安楽死との混同 3 家族と意見が対立する時 4 家族との意見対立を解消する努力 III 小児の癌治療を巡って-ケイティ・ワーニッキー事件 1 実の娘を「誘拐」した母親 2 小児におけるインフォームド・コンセント 3 パーカー・ジェンセンの「誘拐」事件 4 「勝者」のいない結末 第2部 ピル-医療と性と政治 1 抗議の辞任 2 反中絶テロ 3 活動家 4 大富豪 5 生殖学者 6 化学者 7 医師 8 治験 9 認可 10 教会 11 政府 12 副作用 13 「性の乱れ」と権力者たち 14 「プライバシーの権利」 第3部 転換期を迎えたアメリカの医療保険制度 I 先端医療の保険給付(メディケアに学ぶ) 1 カリスマ主婦の入獄と夢の新薬 2 新規抗癌剤の値段 3 企業のサボタージュ 4 民主的な保険適用審査制度の構築を II メディケイド危機 1 安全網が切れる危険 2 テンケア一一年目の危機 3 ミシシッピのメディケイド「破産」 4 財政破綻に対する対処法 5 新たな医療保険モデルの模索 6 メディケイド被保険者の無保険者化 III アメリカ医療保険制度を巡る新たな動き 1 ゼネラル・モータースの苦境 2 米国医療保険制度改革に向けた「呉越同舟」 3 無保険社会に終止符を打つための新たな動き 第4部 医事片々(医療よもやま話) 1 「PET」による膀胱癌スクリーニング 2 「こぶとり」の自己責任 3 肥満患者の苦情 4 大泥棒の医療保険 5 Power to the Seniors! 6 Tさんへ 九年目の詫び状 7 道徳性の神経生理学 8 ノース・カロライナ州で死刑執行ができなくなった理由 第5部 「患者の権利」はどこまできたか 池永満(NPO法人「患者の権利オンブズマン」全国連絡委員会共同代表)× 李啓充 対談 ----------------
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