光媒の花 の商品レビュー
「鏡の花」を読んでから本作を読むと、とても安心する。 その安心とは、「連作短編の正統派」を読んだという安心感。 前作の登場人物が次の回の主人公になる。そうやって鎖のようにつながっていく連作は、ひとつの安定した世界を基盤にしているから、安心して読んでいられるのだ。 今まで連作短編と...
「鏡の花」を読んでから本作を読むと、とても安心する。 その安心とは、「連作短編の正統派」を読んだという安心感。 前作の登場人物が次の回の主人公になる。そうやって鎖のようにつながっていく連作は、ひとつの安定した世界を基盤にしているから、安心して読んでいられるのだ。 今まで連作短編とはそういうものだと思っていたから、「鏡の花」を読んだときは視界がぐにゃっと歪むような不安に襲われたのである。 小説の構成はノーマルだが、それぞれの物語は決して穏やかなものばかりではない。崖っぷちを、危なっかしい足取りで歩いているかのような、はらはらする物語が多い。 それでも、道尾さんの作品は、どこかに必ず光がある。全方位的な、善意あふれる温かい光ではないけれども、ぎりぎりのところで救いになるような、細くて強靭な光である。その光が、私の心にキリキリと差し込んでくるから、痛みと安堵とかすかな希望で、涙が溢れてくるのだ。
Posted by
本来短編集はあまり好きではないのですが、最近お気に入りの道尾秀介なので読んでみました。連作ものということでもっと登場人物たちがからみあうのかと期待していたのだが…。たいしてからみあわないまま終了(^=^;個人的には第五章の風媒花の姉弟の話がよかったかな。やはり短編集はあわないわ(...
本来短編集はあまり好きではないのですが、最近お気に入りの道尾秀介なので読んでみました。連作ものということでもっと登場人物たちがからみあうのかと期待していたのだが…。たいしてからみあわないまま終了(^=^;個人的には第五章の風媒花の姉弟の話がよかったかな。やはり短編集はあわないわ(^=^;
Posted by
少しずつ繋がっている短編集。重く淀んだ暗い雰囲気から、そこに差し込む光までという流れを感じた。 ただ、どの話もどこかで読んだことがあるような展開で、心理描写も単純だと思う話もあったので星二つ。
Posted by
短編集だけど、登場人物が少しずつ繋がっている。前半は 救いのない話が多くなかなか読み進めることができなかったけれど、最後の遠い光は機微がよく描かれていて、よかったと思う。
Posted by
読んで気分が悪くなった。ただ、装丁については内容をそのまま表していると思う。性と死(というか殺人)が入りに入っている。最後の3編についてはまだ温かみがあるけど、後は怖いし正直気持ち悪い。
Posted by
ミステリー短編集と思いきや、中盤からはミステリーって感じではなくすっきりする話。 それぞれが少しずつリンクしていて、最後の短編ではそれまでの話で描かれなかった箇所が回収されている。 「虫送り」の兄妹が可哀想すぎると思っていたら、それも最終話で納得させられた。 内容も構成も大好きな...
ミステリー短編集と思いきや、中盤からはミステリーって感じではなくすっきりする話。 それぞれが少しずつリンクしていて、最後の短編ではそれまでの話で描かれなかった箇所が回収されている。 「虫送り」の兄妹が可哀想すぎると思っていたら、それも最終話で納得させられた。 内容も構成も大好きな作品です。
Posted by
6話の連作になっていて、最初の話を読み終えた時には暗い雰囲気だなと思ったが、徐々に光が灯るように明るくなっていった。 話の流れの作り方が上手い。 連作は、前話の登場人物が主人公になり、最終話では、最初の登場人物が登場する、輪のような作り。
Posted by
影絵のような背景に黄金の光。ひらひら舞う蝶に導かれてゆく物語は、仄暗い過去を背負ったそれぞれの鬱々したものだったり、葛藤だったり後悔の念に苛まれている。けれども心の闇にほんの一筋でも希望の光が、優しくそよぐ風が感じられて読み手に希望を救いを差し出してくれます。人物の心の機微が見事...
影絵のような背景に黄金の光。ひらひら舞う蝶に導かれてゆく物語は、仄暗い過去を背負ったそれぞれの鬱々したものだったり、葛藤だったり後悔の念に苛まれている。けれども心の闇にほんの一筋でも希望の光が、優しくそよぐ風が感じられて読み手に希望を救いを差し出してくれます。人物の心の機微が見事で切々と伝わりますし、何気なくそこにある自然の描写が実に美しく描かれていてハッとさせられました。密やかに繋がり巡る物語。(2010年7月読了)
Posted by
本を読み終わったあと、あらためてタイトル「光媒の花」に大きく頷いた。自分の行動が自分の気付かないところで誰かと繋がってて、相互に影響がある。普段は意識しないけどふと気付く光。じわじわくる一冊だった。
Posted by
短編6章。 それぞれが独立したひとつの話であるのだが、実は繋がりがある。見事。静かに静かに語られる。とてもよかった。どの章が一番良かったか…いやいや、どれもみな良かった。またすぐ読み直したくなった。
Posted by