光媒の花 の商品レビュー
最初は、なんか内容があらぬ方向へ いきかけましたが、最後にはうまく まとまってました。後半の話はなか なか良かったです。
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表紙に惹かれて手にした本でした。以前『向日葵の咲かない夏』を読みましたがそれとはまた雰囲気が違っていました。すかぽんたんなので 向日葵の・・・がよくわかんなかったのは遠い昔のお話し・・・。“どうして人は思い出したくないことばかりはっきりと憶えているくせに大切なことはみんな忘れて...
表紙に惹かれて手にした本でした。以前『向日葵の咲かない夏』を読みましたがそれとはまた雰囲気が違っていました。すかぽんたんなので 向日葵の・・・がよくわかんなかったのは遠い昔のお話し・・・。“どうして人は思い出したくないことばかりはっきりと憶えているくせに大切なことはみんな忘れてしまうのだろうか”お話の内容を、装丁が うまく表しているなあ と感じました
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前の物語の脇役が次の物語の主役になって・・・というつながりを持った短編集。 生活していく中で、家族や友人だけでは無く、他人が言ったり、やったりしたことでも、自分に思わぬ気づきをもたらしているということ、また、それに気づけるかどうかは、自分次第なんだということを改めて感じた。 それ...
前の物語の脇役が次の物語の主役になって・・・というつながりを持った短編集。 生活していく中で、家族や友人だけでは無く、他人が言ったり、やったりしたことでも、自分に思わぬ気づきをもたらしているということ、また、それに気づけるかどうかは、自分次第なんだということを改めて感じた。 それにしても、「球体の蛇」もしかり、この人の描く少年や青年は、ついつい見守りたくなるような、危ういような独特の雰囲気を持っていて引き付けられる。
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短編集でありながら、登場人物がつながっている。 私が大好きな、「あっと驚くラスト」は見られず。 『ラットマン』や『片眼の猿』のような作品をお願いしたい。
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道尾秀介がすごい。 どんでん返しのトリックが魅力的でおっかけ始めた作家さんだけど、最近はあまりミステリー色は出さない。文芸書としての完成度が高い。 人の心を映し出すのがとても上手。 この本は連作短編集。それぞれの物語のつながりがあって、他の章の登場人物のその後が後からほのめかさ...
道尾秀介がすごい。 どんでん返しのトリックが魅力的でおっかけ始めた作家さんだけど、最近はあまりミステリー色は出さない。文芸書としての完成度が高い。 人の心を映し出すのがとても上手。 この本は連作短編集。それぞれの物語のつながりがあって、他の章の登場人物のその後が後からほのめかされる構成も素敵。 最終的にはどの話にも救いが用意してあるのも嬉しい。 本を読みながら自分の内面と向き合えた様な気がする。それも読書の醍醐味だと思う。 とにかく、道尾秀介がすごい。
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この人は、どこまで進化するのだろう。 この人はどこまで心の闇を気付かせてくれるんだろう。 1年に2話のペースで発表された6つの短篇。 だんだんと道尾さんの腕が上がっているからか、意図的になのか、 どんどん引き込まれて読むスピードがあがる。 道尾さんの作品はなにかひとつ投げかけ...
この人は、どこまで進化するのだろう。 この人はどこまで心の闇を気付かせてくれるんだろう。 1年に2話のペースで発表された6つの短篇。 だんだんと道尾さんの腕が上がっているからか、意図的になのか、 どんどん引き込まれて読むスピードがあがる。 道尾さんの作品はなにかひとつ投げかけることがあって好き。 もしかしたら自分もそうなってしまうのではないかと思う 心のひだ、あやうさ、脆さを感じさせる。 本作はそれが、ぎゅっとつまって、 そして多様なかたちでみせられる。 光があるから影がある。 そのものが光でないかぎり、必ず影は生まれる。 自分が想うなら、自分が望むなら 変わることもできる。 変わらずにいることもできる。 そう感じた。 光に満ちた景色も、 暗くて哀しい風景も、 すべてがこの世界だ。 と裏表紙の帯文にある。 どんな状況の中にいても、明日はやってきて、世界は回る。 私たちは生きなければならない。 傷つきながらも、 苦しみながらも、 悲しみながらも、 笑いながらも、 愛されながらも。 たくさんの気付きをありがとう。 この作品に出逢えたことに感謝。
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連作短編集。個々の作品の登場人物が他の作品にサラっと出ているので、1つ読み終わると、また前後に戻って他の作品を読み直したくなる
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◎第23回(2010年)山本周五郎賞受賞作品。 ◎第143回(平成22年度上半期)直木賞候補作品。 2010年4月15日(木)読了。 2010−34。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ひとりで認知症の母親の介護をしながら印章店を営む遠沢。父親に連れられて別荘に家族旅行をした中学2年生の遠い夏、笹の広がる森の中で美しいあの人と出会った。幾度か逢瀬を重ねたある年、思いがけない光景を目の当たりにして…。そしてあの時の笹の森の光景を認知症になった母が描いている。一体なぜ…。罪を犯した者、犯さざるを得なかった者、自分の非を認められない者…後悔、後ろめたさ、苦い過去を胸に抱え生きる人々が、白い蝶の舞う今という時で繋がった群像劇的な連作短編集。静かに訴えかける様な読後感を残す作品に仕上がっている。前作の脇役が次の作に登場していく、バトンタッチのような繋げ方にもいろいろ工夫されていて巧い。そして、前半の方の話は全体的に暗く重く後味の悪い余韻だったのが、あとを読むにつれて重い雰囲気が徐々に払しょくされ、一筋の光が感じられるようになっていくコントロールぶりも絶妙。少し前までは道尾さんの作品というと騙しやどんでん返しへの期待がどうしても先走ってしまっていたが、そろそろそうした心構えや先入観を変えてもいいかもしれない。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】『隠れ鬼』中学2年生の夏、旅行先で出会った年上の女性に戸惑いながらも惹かれ幾度も会うようになった遠沢。名前をはじめに聞かれていたので、父と「そういうこと」かなぁとは予想ついたが、女性が亡くなった原因がそうだったとは思わなくて素直に父が犯行に及んだのかと…。『虫送り』小学生の兄妹が河原で虫とりをしていると、見知らぬ中年男性に声をかけられた。虫を簡単に採る方法を教えてくれるというのだが…。妹は間一髪だったが幼い兄のとった行動、そしてその結果はショッキング。現場を目撃したという男の話を聞き泣きながら帰る彼らの胸の痛みを思うとやりきれない。『冬の蝶』と思ったらその男こそ幼い兄妹に嘘をつき罪悪感をなすりつけた張本人。この行為はまったく許せない!サチという名の少女に纏わる苦い思い出を秘めていたにせよ。性的虐待を受けていた幸薄いサチの結末がつらすぎる。『春の蝶』ある女性がアパートの隣に住む老人、娘、孫娘の3人暮らしとの交流を描いた話。父親の金目当てで転がり込んだ我儘な娘(母)、両親の離婚の原因がショックで耳が聞こえなくなった孫娘。悩んだ老人の思いがけない行動、だけど道理。前作に登場したサチの今の暮らしぶりを見て明るい兆しを感じた。『風媒花』女で一人で育ててくれた母に反発し続けている青年。その分姉にはべったり。だがその姉が倒れて入院してしまい…。哀しい最後になるのかと思ったが、これも予想に反していい話で終わっていてほっとした。『遠い光』その姉が病状回復後、学校教師として復帰したクラスの女生徒の話。頭は非常に良いが無口で学校では物静か、母親からも寡黙さが悩みだと漏らされた。母親の再婚、複雑な養育環境の少女への対応に戸惑うばかり。ふたりが次第に心を通わせ合っていくところがいい。そして最初の「隠れ鬼」の印鑑屋さんが再登場。孤独な彼が少女の言葉にじんわり温かくなったようでよかった。2話目の小学生兄妹のその後にもホッとした。こうして最後の話に最初の話が繋がり環状の輪ができてることで、これからの彼らの物語がずっとずっと繋がっていくような感覚になるところがとてもうまいと思った。さすがは道尾さん。寂しさを感じつつもどこか温かく、そして美しい情景が思い浮かぶようないい作品だ。
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道尾秀介の作品は、ちょっと寂しげで少しあったかくて、なんともキレイ。今作は、ミステリー色を少し抑えて、人々の心の流れを丁寧に描いている。決してウェットではなく、静かに描いている。連作短編の面白みもしっかり効いている。
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