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光媒の花 の商品レビュー

3.7

251件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    108

  3. 3つ

    77

  4. 2つ

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2010/07/17

この感情を、どう表現したら正しいのかわからない。打ちのめされた、というべきか。 最後まで読み終えたとき、なぜだか頭で鳴っていたのはミスチルの「タガタメ」だった。どうしてそれが鳴ったのか知りたくて、聴いていたら、この一節で涙が溢れて止まらなくなった。 「この世界に潜む 痛みや悲...

この感情を、どう表現したら正しいのかわからない。打ちのめされた、というべきか。 最後まで読み終えたとき、なぜだか頭で鳴っていたのはミスチルの「タガタメ」だった。どうしてそれが鳴ったのか知りたくて、聴いていたら、この一節で涙が溢れて止まらなくなった。 「この世界に潜む 痛みや悲しみに あと何度出会うだろう それを許せるかな」 皆、心に形の違う悲しみや痛みを当たり前に抱えている。それが、ほんの少し、本当にわずかずつ、連鎖する。重なっていく。 きっと、許せないことがあるからこその世界なのだ。 朝代が言うように、この世界は「わからないことだらけ」であり、 同時に、わからないからこそ光っている。 この物語の中で、人と人とは確実に、一見すれ違うように見えながら繋がっている。連鎖する生き物は、どうしようもない私たち人間は、わからないようにできているこの世界にけちをつけたがる。自分でひいた理想というレールから外れることを拒み、悲しむ。 でも本当は違っていて、きっと理想なんてものは最初からなくて、それはただの幻想だ。 わからないこの世界に、ちっぽけな人間が乗っかっている。ただそれだけ。 そして、そんな世界で、人がわずかでも繋がることは、まぎれもなく、奇跡なのだ。 つきものが落ちたように、すべてのことが腑に落ちて、すっと、ほんとうにすっと楽になった。 人生がいま、確実に変わった。この本に出会わせてくれた、すべてのものに、感謝したい。

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2010/07/17

最初は暗いだけの話かと思ったけど、途中からそうでもなくなってきた、最後はほんわり温かい気持で読み終えた。 それぞれの話の関わり方がちょうどよかった。

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2010/07/10

登場人物が次々にリンクしていく連作短編集。それぞれの主人公のささやかな生活の中での苦しみや悲しみ、その果ての救い。相変わらず繊細な心の動きの描写が絶妙。最高でした!!。

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2010/07/06

道尾さんの素直な言葉で綴られており、丁寧に書かれている印象。 直木賞候補作品にふさわしい一冊。道尾秀介の代表作といっても良い作品。

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2010/07/05

いつもの道尾さん作品のイメージではないけれどどことなく繋がってる世界(連作短編集なので)がちょっと心地よかったり。 一つの話で納得できない終わり方も、実はちゃんと納得できる終わり方だったりして最後まで一気に読んじゃった。 子どもであろうが教職であろうが人間なんだなぁと感じさせら...

いつもの道尾さん作品のイメージではないけれどどことなく繋がってる世界(連作短編集なので)がちょっと心地よかったり。 一つの話で納得できない終わり方も、実はちゃんと納得できる終わり方だったりして最後まで一気に読んじゃった。 子どもであろうが教職であろうが人間なんだなぁと感じさせられる。人間だからこそ間違いもあれば、それを正すこともできるんだよね。 これの前に向日葵の〜を読んでいたからすっきりした終わりが良かった。

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2010/06/25

綺麗な話だと思った。虫や植物の名前などあまり聞きなれない言葉も多かったが、それらが物語全体に優しい雰囲気もたせていた。 どこか懐かしさを感じさせる物語だった。

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2010/06/21

短編集。2話目に取り掛かったときは正直読み進めるの躊躇。 道尾さんの短編集、以前にちょっと・・・だったので。でも読み進めてゆくうちホッとしてきた。このホッ(*^_^*)と出来る感じが救いです。それにしても引き出しの多い方ですね。今後に期待高まります。

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2011/07/20

ほとんどが子供が主人公の短編集。その子供が大人になってまた違う話に出てきたり、全体を通して繋がっている。大人の都合や事情で、振り回される子供達が、かわいそうでいたたまれなくなり、途中で読むのをやめようかなと思ったが、繋がっているとわかったので何とか最後まで読むことができた。言わん...

ほとんどが子供が主人公の短編集。その子供が大人になってまた違う話に出てきたり、全体を通して繋がっている。大人の都合や事情で、振り回される子供達が、かわいそうでいたたまれなくなり、途中で読むのをやめようかなと思ったが、繋がっているとわかったので何とか最後まで読むことができた。言わんとすることは何となくわかるのだけれど、一番弱い子供を使うのはどうかな。

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2010/10/13

「頭の奥、遠くに見える光——あの白い光は、わからないことばかりの、この世界だったのではないか。窓から太陽など射し込まないでも、天井の明かりが灯っていなくても、かつて世界は十分に光っていた。わからないからこそ光っていた。」 ほぼ、★5つの★4つなのだ!! あーー、すっごく良かった...

「頭の奥、遠くに見える光——あの白い光は、わからないことばかりの、この世界だったのではないか。窓から太陽など射し込まないでも、天井の明かりが灯っていなくても、かつて世界は十分に光っていた。わからないからこそ光っていた。」 ほぼ、★5つの★4つなのだ!! あーー、すっごく良かった!! 驚いた。 前の『球体の蛇』あたりからなんだか好みの作品だなぁ、と思っていたけれど、今回のは、ほぼ好みだー。 なんていうか、必ずどこかに光を残していてくれるのがとても素晴らしかったのです。 読んでいて気持ちが良かった。 そして、打ち震えた。 どの短編もすくっとまとまっていて、それが全作を通じて1つのことを伝えていて、それが手に手を取るように伝わった。 良かったです。 文庫が出たら是非欲しい!! 【6/13読了・初読・大学図書館】

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2010/06/13

ついに山本周五郎賞もとってしまった道尾氏。来年は直木賞も近いですね。  最初の2行ほどで、ああ、やっぱりうまいなあと思いました。この前読んだ本があまりにだったからでしょうか。  ミステリーのような短編が並びますが、それぞれ少しずつ繋がっています。「そんな偶然あるかなあ」と思っ...

ついに山本周五郎賞もとってしまった道尾氏。来年は直木賞も近いですね。  最初の2行ほどで、ああ、やっぱりうまいなあと思いました。この前読んだ本があまりにだったからでしょうか。  ミステリーのような短編が並びますが、それぞれ少しずつ繋がっています。「そんな偶然あるかなあ」と思って章を終わると、次の章で実は、と繋がっていくのですね。冒頭の章がひとつだけ別物かと思っていたら、最後で繋がりましたね。まあ、だからどうってことはないのでしょうけど、何かしないといられない性格なのでしょう、きっと。  始めは暗い内容ですが、だんだん種明かしが楽しいものになっていって、ほのぼのしたお話になっていきます。  きっと道尾さんはとても器用な人なのでしょうね。東野さんもとったのだから、きっと直木賞とれるでしょう。  でも、まだ物足りないのだなあ。まあ別に私のために書いているわけではないのですから、いいんですけどね。いつか、唸るほどのものを書いてほしいなあと、それだけです。

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