王国(その2) の商品レビュー
私が都会では都会なりに暮らしているように、植物たちもここはここで楽しみとかエネルギー源を見つけているんだ。そう思うと、山でかんじていたような畏怖すべきものは感じなかったけれど、そのかけらがこもっている小さな親しみや輝きを感じて私は笑顔になった。生き物は、そうやってなんとしてでも栄...
私が都会では都会なりに暮らしているように、植物たちもここはここで楽しみとかエネルギー源を見つけているんだ。そう思うと、山でかんじていたような畏怖すべきものは感じなかったけれど、そのかけらがこもっている小さな親しみや輝きを感じて私は笑顔になった。生き物は、そうやってなんとしてでも栄養を得ようとする働きをもっているところが、うんといやらしくて美しいと思う。19 もちろん人間は絶対に取り替えられない。同じくらい力持ちで酒の入ったケースを同じように持てる人がきても、彼の代わりには、本当にはならない。でも、そのことを毎日の中で彼自身でさえ信じられずにいるから、判断がおかしくなっている。 だからできればなにごとも慎重にやるべきなのだ。自分のまわりにはこれまでしてきたことや失敗したことやごまかしてきたことが、ぼんやりと層を作ってその人の輪郭をぼやけさせたりする。35
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最終巻を読むために再読。 どんどん進んで1日で読み終わってしまった。 雫石と真一郎くんのプラトニック?ってほどでもないけど 相手を欲しすぎない関係が好きだ。
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購入してしまったので、惰性で読んでる感じです。やっと、ちょっと読める気分になったことろ。なんだろう、際立ったものがない状況で、ちょっといい具合になってきた感じ?
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―人間というものは、浅い、痛みのない生活を求めながらも、深いところでそれにやっぱり抵抗するものだというように思えた― 痛みはある意味、人間を人間たらしめるものだ。 痛みは決して、つらく激しいものだけではない。 穏やかに、少しずつ繰り返していくもの。 ストーリー中盤。 植物の...
―人間というものは、浅い、痛みのない生活を求めながらも、深いところでそれにやっぱり抵抗するものだというように思えた― 痛みはある意味、人間を人間たらしめるものだ。 痛みは決して、つらく激しいものだけではない。 穏やかに、少しずつ繰り返していくもの。 ストーリー中盤。 植物のように潔く生きて、消えていく。 卑怯と潔さは紙一重。 一歩踏み外せば、諦観にもなりうるもの。 だけど、ここに登場する人々は、それぞれの《潔さ》を持つ。 緩やかな抵抗と染みていく物事。 こんな生き方、私には一生無理だろう。
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前作は、雫石の世界が外側に広がっていく過程、今作は、広がった世界の内側を消化する過程、という感じかな。心の内側をたどって、整理して、おとしまえをつけていく、というか。あそこまで何もないのに、これだけ綴れるのがすごい。
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うーん。 途中から展開が読めました。展開が読める作品でも、すっきりする読了感を感じる作品てあると思うのですが、今回はちょっと違いました。。
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王国2巻目。 前作の登場人物紹介が終わり、 今作は主人公が環境の変化に悶々と悩むお話。 彼女がひとつひとつ戸惑うことは、 現代社会ではすっかり当たり前のことなので、 いまいち感情移入できない部分がありますが、 でもその感受性がすこーしだけ羨ましい。 ばなな女史の創り出す人間は...
王国2巻目。 前作の登場人物紹介が終わり、 今作は主人公が環境の変化に悶々と悩むお話。 彼女がひとつひとつ戸惑うことは、 現代社会ではすっかり当たり前のことなので、 いまいち感情移入できない部分がありますが、 でもその感受性がすこーしだけ羨ましい。 ばなな女史の創り出す人間は、皆そう。 こんなふうになれっこないよとそっぽを向きつつも、 そんな生き方、考え方に惹かれずにはいられない。
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