セピア色の凄惨 の商品レビュー
ホラー。ミステリ?連作短編集? ホラーとして書かれた作品のようだが、一人の女性が探偵に人探しを依頼する、ミステリのような設定で進む。 狂った人間を描く、自分の苦手なタイプの怖さがあった。 「ものぐさ」「安心」の主人公とか、怖すぎて気持ち悪い…。 「待つ女」は好き。
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2017年、33冊目は、フェイヴァリット作家の一人、小林泰三。 探偵の元に、依頼人が訪れる。依頼内容は親友の捜索。手がかりは、「レイ」という名前と、彼女が写っている色褪せた四枚の写真。さらに、依頼人は毎週の進捗状況の報告を願い出たのだった。 探偵と依頼人の会話体の間に、写真に...
2017年、33冊目は、フェイヴァリット作家の一人、小林泰三。 探偵の元に、依頼人が訪れる。依頼内容は親友の捜索。手がかりは、「レイ」という名前と、彼女が写っている色褪せた四枚の写真。さらに、依頼人は毎週の進捗状況の報告を願い出たのだった。 探偵と依頼人の会話体の間に、写真に写っている人物の一人語りによる、四編の短編が挟み込まれた構成。 手軽に小林泰三という作家を知るには、もってこいの一冊。プロローグとエピローグがある、あのホラー短編集の質感。オチは、初の長編ミステリーを思わせるトコロある。噛み合ってるんだか……の、イライラさせられる会話。不条理系。ブラックなユーモア。スプラッター描写。etc……。ココにSF要素以外の多くが、盛り込まれている。中でも、ネジがハズレた主人公、不条理、汚部屋、スプラッターの『ものぐさ』は秀作。 全体評価の、★★★☆☆は、短編の一と四話目のオチが好みでなかった。加えて、大オチに既視感感じたのが影響してのコト。やや辛めではあります。
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⊂( ・∀・)ワケ ( ・∀・)つワカ ⊂( ・∀・)つラン♪ ラストもそうなんだろーなと思っちゃったし...。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それぞれの物語が繋がってオチに、という展開を期待していたのだが、、、 ホラーは1編しか入っておらず、他はテラー。 「ものぐさ」が一番厭な話。 インターバルの「探偵と依頼人」は特 にいらなかったかな。
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1つ1つの話は面白かったけど、全体の流れとしてみると、つながりがちょっと謎かなあ。めんどくさがりの女の話とか、偏狂的な人を書かせたら小林さんはすごいと思う。
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普通の人からすると狂気としか思えないそれぞれの理屈や価値観で生きる人々の日常。 全体通してのオチはいまいちわからないなと思ったら『密室・殺人』を先に読んでればよかったようですね。でも一つ一つの話が十分面白いので問題なし。 『ものぐさ』『安心』が気持ち悪さと不快感が半端ないけど読む...
普通の人からすると狂気としか思えないそれぞれの理屈や価値観で生きる人々の日常。 全体通してのオチはいまいちわからないなと思ったら『密室・殺人』を先に読んでればよかったようですね。でも一つ一つの話が十分面白いので問題なし。 『ものぐさ』『安心』が気持ち悪さと不快感が半端ないけど読む手を止められないというこの不思議な感覚。
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静的恐怕→怪秘→丑怪。。未确定的,连作恐怖。・。・那么,完结。「放心」「英雄」真的恐怕。作者是真的搞「金鱼」「猫」「狗」的实验的吗?
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“でも、今ならまだ間に合う。即死していないところを見ると、動脈が切れたわけじゃない。手当てさえ早ければ、助かるはずよ。 「みさき、よく聴いて。このままだとあんたは死んでしまう」 「嫌だよ……。死にたく……な……い」 「助かる方法は一つしかない。なんとか電話をとって、そして、一一九...
“でも、今ならまだ間に合う。即死していないところを見ると、動脈が切れたわけじゃない。手当てさえ早ければ、助かるはずよ。 「みさき、よく聴いて。このままだとあんたは死んでしまう」 「嫌だよ……。死にたく……な……い」 「助かる方法は一つしかない。なんとか電話をとって、そして、一一九に電話するの。そして、ここの住所を言って救急車に来て貰うの」 「でき……ない。難しい……」 「そんなこと言わないの!」わたしは泣き叫んだ。「それしか、助かる方法はないの」 「お母……さん、電話……して……」 ああ。それができさえすれば、どんなにいいだろう。でも、現実にはそれは無理だった。 あまりに面倒すぎる。 みさきの血が床の上のゴミの間に広がり、ポテトチップスを浸した。 「それはできないのよ、みさき」わたしは懸命にみさきを説得した。「自分の足でしっかりと立つの!!」”[P.113_ものぐさ] 「ものぐさ」の狂い具合に酔いつつ、最後の「英雄」のグロさがくる。 酷くてグロいのに面白いから手が止まらない。 最後にハッとなってしまった。突然関西弁になるのがたまらない。この二人って……! “「あなたはいったい何者?」 「彼方に去りし者。そして今はあなたより出でし者」 探偵はいなくなっていた。霧の中に写真だけが残されていた。 「待って。わたしにはまだあなたが必要なのです、先生」 霧の中に声が響いた。 「僕はここにいるよ。いつも、この探偵事務所に。いつまでも君の傍らに」”[P.242_依頼人と探偵]
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ある一点においてだけ、しかし決定的に『人』からずれてどこかしら腐ってしまっている人々の連作集。初めは微かな齟齬に過ぎなかったそれが、話が進むごとに黒々とした断裂となってゆく。そしてその過程が読めてしまうのが、この連作集の読みやすさでありおぞましさ。ふんわりと掛けられた紗のように全...
ある一点においてだけ、しかし決定的に『人』からずれてどこかしら腐ってしまっている人々の連作集。初めは微かな齟齬に過ぎなかったそれが、話が進むごとに黒々とした断裂となってゆく。そしてその過程が読めてしまうのが、この連作集の読みやすさでありおぞましさ。ふんわりと掛けられた紗のように全体をまとめるストーリーらしきものがあるが、物語としての確たる形があるわけではないのは他の短編集と同じか。
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2013年6月11日読了。探偵の元を訪れた女性。4枚の写真だけを手がかりに「レイを探してほしい」という依頼、探偵の調査報告は異様な様相を呈し始めるが・・・。小林泰三による書き下ろし小説、連載ではないため書きたい内容を書きなぐって、「こんな感じにすればオチがつくか」と探偵と依頼者の...
2013年6月11日読了。探偵の元を訪れた女性。4枚の写真だけを手がかりに「レイを探してほしい」という依頼、探偵の調査報告は異様な様相を呈し始めるが・・・。小林泰三による書き下ろし小説、連載ではないため書きたい内容を書きなぐって、「こんな感じにすればオチがつくか」と探偵と依頼者のエピソードでまとめたという印象。哲学的というかかみ合わない頓珍漢な会話、血みどろになってもだえ苦しみつつ人体崩壊に向かう登場人物たち、妙に冷静な語り口、と相変わらずの安定感で楽しめる(?)。異常なだんじり祭りを描いた「英雄」のエピソードが一番おもしろい。当然、誰にでも薦められる小説ではないし、小林泰三ファンから見ても、まあ可もなく不可もなく、という感じか。
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