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銀漢の賦 の商品レビュー

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86件のお客様レビュー

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2012/11/27

「知っておるか、天の川のことを銀漢というのを。漢というのは男という意味ではなく大河のことだ。」十蔵、源五、小弥太3人の男たちの運命と友情を描いた骨太の時代小説。過去と現在を交互に物語は進み、3人の運命が絡み合い、老境をむかえた小弥太・源五の運命が再び絡みはじめる。 「銀漢とは天の...

「知っておるか、天の川のことを銀漢というのを。漢というのは男という意味ではなく大河のことだ。」十蔵、源五、小弥太3人の男たちの運命と友情を描いた骨太の時代小説。過去と現在を交互に物語は進み、3人の運命が絡み合い、老境をむかえた小弥太・源五の運命が再び絡みはじめる。 「銀漢とは天の川のことなのだろうが、頭に霜を置き、年齢を重ねた男も銀漢かもしれんな。」 余命を知った小弥太は「命を使い切ってやろうと思う」源五は「お主の命、使い切らせてやろう」と友のために自らを捨てる覚悟をする。そこにベタベタした馴れ合いも押し付けがましい感覚もないのが好ましい。覚悟と心映え。 葉室麟の一連の作品は、若い頃、司馬遼を読んだ衝撃、高橋克彦の魂、藤沢周平の清冽さ、北方謙三の高揚感、それに勝るとも劣らない。

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2012/01/23

面白かった! 読み終えてこんなに清々しい気持ちになれた小説は久しぶり。 これから直木賞受賞作を読みますが、期待大です。

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2012/01/25

銀漢とは天の川のこと。幼少時に幼馴染との友情から別れ、決闘の場面と読み応えがあった。 周五郎作品の『樅の木は残った』に似ているな・・・と思いました。 読後感はさわやかで良かったです。

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2011/09/12

文章が綺麗だが力強さもある。こういう文章はやはり男性作家ゆえか。 内容(「BOOK」データベースより) 寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道...

文章が綺麗だが力強さもある。こういう文章はやはり男性作家ゆえか。 内容(「BOOK」データベースより) 寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。第十四回松本清張賞受賞作。

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2010/09/06

寛政期の架空の藩を舞台に、立場と身分が離れた幼馴染み三人の男たちの物語。 同作者の「乾山晩愁」でも思ったが作中の芸術品への描写が細かく、著者の美的な視線は他小説に類を見ないと思う。 本作もだが彼の書く時代小説は、渋い。 まず、主人公がヒーローではない。時代小説や歴史小説はや...

寛政期の架空の藩を舞台に、立場と身分が離れた幼馴染み三人の男たちの物語。 同作者の「乾山晩愁」でも思ったが作中の芸術品への描写が細かく、著者の美的な視線は他小説に類を見ないと思う。 本作もだが彼の書く時代小説は、渋い。 まず、主人公がヒーローではない。時代小説や歴史小説はやはり、それなりに主人公が格好良く読み手に、憧れと自己投影による陶酔感をもたらしていると思う…が、本作の中心人物たちは格好良くはない。否、違う格好よさがありヒーローのような格好よさは謳われない。 彼らは、リアルである。 まず年は50を越えていて人生も終盤に差し掛かる頃合。所謂、オジサマだ。それぞれに行き着いた社会的立場から、藩内の内紛に関わるのだが、小説と云うフィクションだからと云って彼らは輝かしい活躍をする訳では無い。目の前にある事を、こなす。そうして生きてる。それは現代社会の壮年期男性の姿そのもののように思える。 タイトルの銀漢とは、漢詩で天の川を差すそうだ。作中、主人公のひとり日下部源五は髪に白いものが混じり始めた我身や親友の松浦将監を指して、年を重ねた男も銀漢かもしれぬ、と思う。 わたしは「やられた!」と思う。 彼らの人生は藩や時代の流れの中では一瞬の些末なものだろう。それはかくも、天の川の中の星粒のひとつであるかの如く。しかし、星粒がなければ天の川は輝きを保てない。小さくても生いっぱい何かを賭した男こそ、銀漢と呼ぶに相応しい。 その輝きがさらに増すのは、描かれている友情の為であろう。かつて友の一人を失った一揆から二人は絶縁していたのだが、また言葉を交わすことになる。それをきっかけに友情が変わらずあることを知るのである。 失脚させられた元家老将監は、脱藩の峠越えで云う。 「夕斎は失脚した時、ただ一人だけだった。しかし、わしには友がいた」 この年だからこそぐっと来るせりふ。う〜ん渋い。

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2016/07/31

評判どおり大当たりでした。 話の流れは、本当に漠とした記憶だけど、童門冬二の「小説・上杉鷹山」を思い起こしました。善政を引いていた家老が年老いるに連れ・・・という所だけかもしれませんが。 雰囲気的には藤沢周平の武家ものに似ている様に思います。少し枯れた文体で、登場人物の精神的な姿...

評判どおり大当たりでした。 話の流れは、本当に漠とした記憶だけど、童門冬二の「小説・上杉鷹山」を思い起こしました。善政を引いていた家老が年老いるに連れ・・・という所だけかもしれませんが。 雰囲気的には藤沢周平の武家ものに似ている様に思います。少し枯れた文体で、登場人物の精神的な姿が美しく、凛としています。 三人の友情物語と言う見方もあります。通常その場合、三人の位置関係は知能派、武闘派、癒し系を採ることが多いのですが、この作品では癒し系の代わりに「好漢」を持ってきています。その辺りも、この物語の清冽な感じを高めているようにも思えます。 今後が楽しみです。どんどん文庫化してほしいですね。

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