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楽園(下) の商品レビュー

3.9

249件のお客様レビュー

  1. 5つ

    43

  2. 4つ

    119

  3. 3つ

    62

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2023/08/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いわゆる『模倣犯』の後続作品となります。 ・・・ 私は『模倣犯』も未読、そして宮部さんの作品もこちらで2作目となる、言わば宮部初心者。 結論からすれば非常に楽しめました! これはですね、先が読めない2時間ものの邦画を集中して視聴したかのような読後感でした。 ・・・ とある奇妙な依頼『うちの子が本当に超能力を持っていたのかどうか確認してほしい』という話から始まる、本作。 ここから、一見脈絡がないような出来事が散らばるように描写されます。 萩谷等が幻視した殺人事件の現場。殺人事件の当事者たる土井崎夫婦の独白、姉を殺された誠子の悲しさ、誠子と中の良かった地元の友達達、土井崎家を守ろうとする高橋弁護士、殺された土井崎茜の交流、萩谷等がほかにも幻視していた学校の先生方の隠蔽したいプライベート、滋子をサポートする『模倣犯』時代の秋津警部との連携等々。 読中は別個に与えられるピースが徐々に連結していくところに、読者は納得のため息と快感を得ることができると思います。 ・・・ 下巻では、土井崎家の事情、何を彼らは防ごうとしていたのか、土井崎父・土井崎母との対話、また親戚たる木村夫妻との会話から、土井崎家を巡る問題が立体的になってきます。同時に萩谷等がかかわっていた団体「あおぞら会」と土井崎家との関連が徐々に明らかになってきます。 こうしてジグソーパズルが出来上がっているかのような感覚、是非楽しんでいただきたいと思います。 ・・・ 最後に。 12歳で亡くなった萩谷等君。結局かれは超能力を持っていたのか。名言はしませんが、ストーリの書きぶりでは「Yes」ですよね。 また事故死であった彼は実は自殺したという噂。これも一部には「Yes」やもしれませんよね。見え過ぎる、分かり過ぎるというのは時としてつらい物であります。そうしたもの悲しさもドラマとしての深みを与えてくれる作品であったと思います。

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2023/08/23

すごいパワーで一気読み。 火車、ソロモンの偽証を読んだ時を思い出した。 やっぱり宮部みゆきはすごい 自分の子どもがどうしようもないロクデナシだったら?どこの家族にも多かれ少なかれ問題はあるだろうけど、それが本当に救いようもない場合、どうするのが正解なんだろう。 自分が将来親にな...

すごいパワーで一気読み。 火車、ソロモンの偽証を読んだ時を思い出した。 やっぱり宮部みゆきはすごい 自分の子どもがどうしようもないロクデナシだったら?どこの家族にも多かれ少なかれ問題はあるだろうけど、それが本当に救いようもない場合、どうするのが正解なんだろう。 自分が将来親になったことを思うと、胸が痛い。

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2024/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

下の子を妬む気持ちは私もよくわかる。自分がうまくいかないことを全て環境、親のせいにしたい気持ちもよくわかる。どうしようもない人間が身内で生まれた時、どうすれば良いのか、手に負えない子供を親が殺すという事件は今も昔も起こっている。そしてネット上ではその親を責任を果たしたと賞賛する声も多い。30.40代の人間が罪を犯したときも、その親、家庭環境は批判のもとに晒される。家族である、親である限り、この社会で縁は一生切れない。親はいつまで子供の責任を取ればいいのか、どこまでが親の責任なのだろうか、、、

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2023/07/10

途中、超能力の調査はどこいった?ってくらい別の方向に進んでいって、ちゃんと終わるのかなと思った。逆に結末が気になって、どんどん読み進められた。 全員が幸せな終わりではないけど、最後の最後、救われる終わりだった。

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2023/06/14

喪にふくす、とはどういう事か。 真剣に死を見つめ、向かい合い、ゆっくりと受け入れていくこと。 ミステリーであるのと同時に、登場人物たちの喪にふくす様を書いた小説。

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2023/05/25

宮部みゆきの長編ミステリー。 レビューをわけていなかったので、全体通しての感想。 〜以下、作品紹介引用〜 未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳...

宮部みゆきの長編ミステリー。 レビューをわけていなかったので、全体通しての感想。 〜以下、作品紹介引用〜 未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、等が〝超能力〟を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。16年前、土井崎夫妻はなぜ娘を手にかけねばならなかったのか。等はなぜその光景を、絵に残したのか? 滋子は二組の親子の愛と増、鎮魂の情をたぐっていく。その果てにたどり着いた、驚愕の結末。それは人が求めた「楽園」だったのだろうか――。  今作で僕が残念に思う点が、人生で最高傑作だと思っている「模倣犯」とあまりにもギャップがありすぎる点だ。  前畑滋子の活躍は是非読みたいし、何なら短編の様な形で日常を描写するだけでも楽しめたはずだ。キャラクターも魅力的だし、掘り下げも上手くいっているからだ。しかし、ファンタジー要素を導入した事により世界観がギクシャクしてしまった印象だ。何故「模倣犯」の世界観にファンタジーを入れてしまうのか。それが今作の僕にとっての難点だった。  家族、子供と親の関係を描いた作品であり、親が子供を殺害し隠した事件を、12歳で亡くなった息子の絵が予言している事をしった敏子が前畑に依頼し・・・という内容で、この設定や世界観、全体を通しての暗さの様な部分とち敏子と等の関係や、前畑の人生の対比部分はとても面白い。  

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2022/09/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ミステリーなんだが、謎が何で主人公は何に対して答えを求めてるのかが上巻を読んだ段階では 分からない感じで読み進めていった。 女性フリーライターの主人公のところへ、「死んだ自分の息子には超能力があったかも知れない?!」後に遺体が発見される現場の絵やそう言ったものの絵を一人の女性が持ち込んできた。 死んだ息子は何らかの情報をどこかで知りそれを絵にしたのではないかという線を順番に当たっていき、知り得るはずがなかったとなれば、何らかの能力があったかも知れないと言えると考え調査していく。 両親がグレてしまった長女を殺して、行方不明ということにし次女と3人で暮らしていたのだが、家に火事にあい半分消失してしまい、両親はそれを機に自主することになるが、時効が成立していたという事件があった。 そのいえの床下に死体が埋まっている絵を前出の少年は絵に残していた。 残された次女と少年の母親とで色々な謎を追っていく。 ホントにあらすじの書きにくい本です。 的が絞られず、話が色々なところへとぶので面白いという味方もあるが、なんかモヤモヤしながら読んだ。 それでもページを次々にめくりたくなる文章力はさすが。

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2022/08/14

設定が色々と不自然。 裕福ではない萩谷敏子が、亡くなった自分の息子がサイコメトラーだったかどうかを調べてもらおうなどと考えるとは思えない。 前畑滋子が、「無償で記事にもしない」という条件で引き受けたのも変。 調査内容も変。 「何でそんなことを調べるの?」と思うような、調査の目的を...

設定が色々と不自然。 裕福ではない萩谷敏子が、亡くなった自分の息子がサイコメトラーだったかどうかを調べてもらおうなどと考えるとは思えない。 前畑滋子が、「無償で記事にもしない」という条件で引き受けたのも変。 調査内容も変。 「何でそんなことを調べるの?」と思うような、調査の目的を逸脱したような事項を調べている。 この作品の本題は、等に関する調査ではなく、土井崎家の事件に関する調査であり、それにつなげるために等に関する調査を発端に持ってきているのが不自然さにつながっている。 無駄に長い。 新聞に連載されていたようであり、ページ数を確保するための無駄な部分が多い。 親の子供間での扱いの差、可愛がり方の差、それによって起こるひねくれ者の誕生、みたいなことをテーマとして取り上げたかったようだが、踏み込み不足で、さほど面白いとは感じられなかった。

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2022/08/06

誠子に頼まれた土井崎家、そして茜の事件は重くて、全く滋子さんは余計なことを。。という意見に流されそうになったけど。本来の依頼者、敏子のほうは、明るくて良かった。 上巻の断章が、まさに事件の鍵でしたか。。。 等くんと敏子さん。いい親子だったんだね。第三の目という謎は謎のままだけど、...

誠子に頼まれた土井崎家、そして茜の事件は重くて、全く滋子さんは余計なことを。。という意見に流されそうになったけど。本来の依頼者、敏子のほうは、明るくて良かった。 上巻の断章が、まさに事件の鍵でしたか。。。 等くんと敏子さん。いい親子だったんだね。第三の目という謎は謎のままだけど、実際にあるんだろうね。。。 模倣犯からの滋子の追っかけが、無事に終了!なんかホッとした私。というのは、余談。

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2022/07/10

素晴らしいスタートを切った作品を読み進めると、すぐにでも「この作品はどう終わるのか?」を考えてしまうのは、我ながら悪い癖なのかも。 本作はピタッと来た!予想通りではなく予想を超えた結末ながら、良い終わり方であったな、と。まさに宮部みゆきの、最高到達点!

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