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2018/12/14

小説新潮から「心にしみる悲しい話」をと、 頼まれたのは深川澪通り木戸番小屋シリーズを執筆中。 50枚くらいと依頼があったが、55枚65枚となり 担当者の頭を抱えさせた。 それが「その夜の雪」 作者はそれで書き終えたという気持ちにはなれずに、 間を置いて2編を書き、「慶次郎縁側日...

小説新潮から「心にしみる悲しい話」をと、 頼まれたのは深川澪通り木戸番小屋シリーズを執筆中。 50枚くらいと依頼があったが、55枚65枚となり 担当者の頭を抱えさせた。 それが「その夜の雪」 作者はそれで書き終えたという気持ちにはなれずに、 間を置いて2編を書き、「慶次郎縁側日記」が始まることになる。 このシリーズ、読者からもお叱りがあるようだが、 慶次郎が主人公でありながら、その手下となる岡っ引きや、 養子に入ることになる亡き娘の許嫁。 はたまた、隣に住む実直な同心など話に据える主人公がかわる。 そしてそれは、人の良きところだけを描くのではなく、 悲しいまでの経験からそれぞれの陰の生き様まで映し出す。 この本は、作者の制作秘話や、ファンのオススメの1編、 ドラマ化され演じた俳優の心に残る1編などを収録。 名作揃いの傑作編となっている。 この1冊で、慶次郎縁側日記シリーズのエッセンスは 堪能できるのだが、やはり、時間はかかっても、 全シリーズを読み明かしたいと願ってしまう。 人を丸ごとすっぽり包むように、良きことも悪きことも 隠さず書き綴る文章は、切ないほどに刹那的で 人の必死さが現れている。 この1冊読んだだけでも、重量感溢れる前編後編の映画を 見るようだ。是非是非オススメの1冊になった。 まずは1冊をという入門編にふさわしい1冊

Posted byブクログ