ザ・前座修業 の商品レビュー
上方落語には階級制が無く(昔はあったらしい)、関西在住の私には 階級制のある江戸落語はえらい封建的だと思っていた。だが江戸落語では、 その階級制と定席の存在が落語家を継続的に育成する仕組みとして確立し ている事が本書でよく分った。 落語家は小さな話を大きくすると言うか、高座ではネ...
上方落語には階級制が無く(昔はあったらしい)、関西在住の私には 階級制のある江戸落語はえらい封建的だと思っていた。だが江戸落語では、 その階級制と定席の存在が落語家を継続的に育成する仕組みとして確立し ている事が本書でよく分った。 落語家は小さな話を大きくすると言うか、高座ではネタとして膨らまして 話すことが多いので話半分で聞かないといけないが、本書では誇張の無い ありのままが描かれていると思う。封建的制度の理不尽さを乗り越える 師弟愛(特に弟子から師匠への思慕)の素晴らしさを強く感じたと同時に、 落語文化への憧れが強まった。
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自分はお笑いは好きではない。一発芸はもってのほか。 お笑いよりも漫才が見たい。漫才よりも落語が見たい。笑いの文化レベルが非常に高いからだ。 その落語界で煌く5人の、修業時代のエピソードを語る話。 「人間じゃないんだから、前座って立場は」という台詞から 過酷さが伝わる。 そし...
自分はお笑いは好きではない。一発芸はもってのほか。 お笑いよりも漫才が見たい。漫才よりも落語が見たい。笑いの文化レベルが非常に高いからだ。 その落語界で煌く5人の、修業時代のエピソードを語る話。 「人間じゃないんだから、前座って立場は」という台詞から 過酷さが伝わる。 そして、その苛酷さを上回る 落語に対する愛と師匠に対する愛の深さも伝わる。 じっくり読みたい。そして、落語を生で聴きに行きたい。 *** 【立川志らく】 弟子入りって、職業の選択ではなく、人生の選択です。 だから、惚れた師匠のところへ入門するべきだと思うのです。 だから、師匠の定義は「価値観の共有ができるかどうか」なのだと、私は談志に教わったのです。 修業時代って、まるごと師匠に帰依し、まるごと師匠から学ぶ貴重な時代なんですよ 【三遊亭円丈】 噺家に弟子入りするときに、その師匠の芸に惚れるということはよくないことだと思ってる。 なぜなら、惚れてしまうとその師匠を超えられないからだ 【林家正蔵】 どんなに叱られようと、「噺家を辞めたい」なんて思ったこと、これまでに一度もないです。 好きな落語ができて、寄席にいられる。 好きな先輩がたと好きな落語のある場所にいられる。 辞めようなんて思いません。 僕、落語が好きで好きで仕方がないんですよ 【春風亭昇太】 未熟であってもプロはプロ。どんな言い訳もそこにはない 「好きなものを食べろ」といわれても、僕は一回も師匠より高いも のは食べたことはなかった 【柳家小三治】 「きれいになるなら足で拭いても同じことだ」ということを認めたら、そういう生き方しかできなくなってしまう。 つまり、そういう噺しかできないということだ。
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