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センチメンタル・ジャーニー の商品レビュー

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2020/01/19

18世紀イギリスの小説家で『トリストラム・シャンディ』の作者として知られるロレンス・スターン(1713ー1768)の紀行小説、1768年。取り立てて筋らしい筋もない、そのとりとめのなさからくる軽さと浮遊感が、却って紀行文に似つかわしいような気もしてくる。 文体は世界の鏡像である...

18世紀イギリスの小説家で『トリストラム・シャンディ』の作者として知られるロレンス・スターン(1713ー1768)の紀行小説、1768年。取り立てて筋らしい筋もない、そのとりとめのなさからくる軽さと浮遊感が、却って紀行文に似つかわしいような気もしてくる。 文体は世界の鏡像である。文体において物語=始まりと終わりの目的論=連続性が曖昧にされれば、人格もその輪郭線がぼやけてくるようで、主人公の現実的な影が薄くなってくるように感じられる。すると、その主人公の眼差しによって構成されることになっている世界の影も薄くなっていく。当地の風物にほとんど触れないこの奇妙な旅行記が、それでもなお紀行文らしい趣を帯びているのは、この文体が醸し出す水彩絵具のように淡い色調のイメージが、旅する者の実体のなさと似かよっているからではないかと思う。 □ 「ダンからビアシーバまで旅をしたあげく、これはすべて不毛の地だ、と嘆いたりしておれる人たちをわたしは憐れむ――なるほどそう言えばそうだ、しかしその土地にできる果実を培い育てようとしない者には世界中どこもみな不毛の地である。愉快に手を拍ってわたしは言った、はっきり言うが、よしんば沙漠の中にあろうとも、わたしは何か自分の愛情を呼び覚ますものをそこに見出そうとするだろう」(p45)。 □ 旅先で出会った女性を次々と口説いている。男女の関係についての記述をいくつか。 「殿方が何か御親切なお申し出を女になさろうというときは、まあたいてい、女の方でそれより少し先に感づいているものでございます」(p43)。 「・・・、女性全体に対して一種の愛情を感じ得ないような男は、一人の女に対してもやはり正当な愛情を抱き得ないのだと確信しております」(p132)。

Posted byブクログ