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回想のマックス・ウェーバー の商品レビュー

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2012/04/08

本書は、ウェーバー研究者の安藤英治氏が1969-1970年の滞独中にウェーバー所縁の人々にインタビューした記録テープを翻訳したものである。特に興味を惹かれたのは次の部分か。 (プレスナー夫妻) プレスナー夫人 (ウェーバー)兄弟ともヤッフェ夫人を愛していたのです。 プレスナー ...

本書は、ウェーバー研究者の安藤英治氏が1969-1970年の滞独中にウェーバー所縁の人々にインタビューした記録テープを翻訳したものである。特に興味を惹かれたのは次の部分か。 (プレスナー夫妻) プレスナー夫人 (ウェーバー)兄弟ともヤッフェ夫人を愛していたのです。 プレスナー (略)彼女は、マックスの、そしてのちにはアルフレートの目を釘づけにしました。 プレスナー夫人 噂によると、ヤッフェの娘はアルフレートとの間の子だということよ。 プレスナー かもしれないね。 プレスナー夫人 まずは調べてみないと・・・。 プレスナー それはそうだ、そんなことは書けないよ。 性の共産主義を説いたオットー・グロースをめぐる人間模様の渦中に、ウェーバーは否応なく巻き込まれた。ウェーバーの弟子であるエルゼ・ヤッフェがグロースとの間に不義の子を宿したのである。ややこしいことに、グロースに共鳴する夫のエドガー・ヤッフェは2人の関係を知っており、しかもグロースの妻であるフリーダはエルザと同性愛関係にあった。それだけではない。エルザの子どもの父親代わりになったウェーバーは、そのエルザとも関係を結んでいるのである(上山安敏『神話と科学』)。更にこのプレスナー夫妻の証言が事実だとすると、エルゼはヤッフェと結婚する前に婚約していたアルフレートの子を宿していたことになり・・・。

Posted byブクログ

2019/01/16

 大塚久雄と並んで日本を代表するウェーバー研究先駆者である安藤英治が、1969〜70年にかけて生前のウェーバーを知る人々に聞き取り調査を行った。本書はその録音テープを書き起こしたものである。  聞き取りで得られたウェーバーのエピソードはおおむね死の直前、大戦後のわずかな期間に集...

 大塚久雄と並んで日本を代表するウェーバー研究先駆者である安藤英治が、1969〜70年にかけて生前のウェーバーを知る人々に聞き取り調査を行った。本書はその録音テープを書き起こしたものである。  聞き取りで得られたウェーバーのエピソードはおおむね死の直前、大戦後のわずかな期間に集中している。話者が既にみな高齢ということもあり、不明瞭な点も多い。特に質問者側が狙っていたウェーバーの政治的な思想については、いまいち新規の情報は得られなかったようだ。  それでも「借家の階段に物音厳禁の貼り紙を張り、大家にもそれを守らせた」「学者にとっては仕事が気晴らしだ!」など、ウェーバーの強烈な精神を感じさせるエピソードは、実際に生でウェーバーに接した人の語ることだけに実感が増す。それに伝記形式をとらない、こういったタイプの出版物はなかなかない。思想を離れた「「人間マックス・ウェーバー」を感じられる、なかなか面白い本だといえよう。

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