金融大狂乱 の商品レビュー
ITバブル崩壊後行き場を失った資本のために金融界が生みだしたクレジットデリバティブという「マジック」。これにより未曾有の活況と崩壊を味わった2000年代のアメリカ金融史の概説としてとてもわかりやすく読める。1日で2.5億ドルの収益をあげたトレーディング場面の劇的さ、著者が所属した...
ITバブル崩壊後行き場を失った資本のために金融界が生みだしたクレジットデリバティブという「マジック」。これにより未曾有の活況と崩壊を味わった2000年代のアメリカ金融史の概説としてとてもわかりやすく読める。1日で2.5億ドルの収益をあげたトレーディング場面の劇的さ、著者が所属したリーマンのトレーディングチームの個性豊かで味わい深いキャラたち、リーマンを崩壊に導いたはっきりとした「悪役」の存在、無名大学出身のたたきあげである著者の青春一代記としても面白く、これまんま映画にできるほど。(これ共著のパトリック・ロビンソンという人が軍事サスペンスなんかで有名な人らしいってのが大きそう)
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リーマンブラザーズの元社員による回想録。会長のリチャード・ファルドとグレゴリー社長が住宅市場にのめりこんでいったことに対する批判が主な内容。後からなら何とでも言えるのかもしれないが、当時からリーマン社内においても住宅市場はステロイド漬けだという認識はあり、上層部批判のあげく退職し...
リーマンブラザーズの元社員による回想録。会長のリチャード・ファルドとグレゴリー社長が住宅市場にのめりこんでいったことに対する批判が主な内容。後からなら何とでも言えるのかもしれないが、当時からリーマン社内においても住宅市場はステロイド漬けだという認識はあり、上層部批判のあげく退職した者も多かったらしい。カルパインなど懐かしい社名も出てくるし、トレーダールームが室温設定を低く、酸素濃度も高めにすることでトレーダーの戦闘意欲を高めていたとか、面白い話も多い。著者は主にディストレス債務に関係した部門で働いていたそうで、社債に関する記述も面白かった。社債は企業の破綻時にも、株とは違ってある程度の資本が分配されるため、全くの無価値になることは珍しく、破綻が近くなると資産価値など時価の見積もりなどが相当に神経質に評価されるそうで、やはり素人には手を出しにくい分野なのだろう。(自社についての見通しが甘かったのではないかというちょっと皮肉な見方もできるが、、、)最終的にリーマンは破綻してしまったが、これはポールソン長官とファルド会長の個人的な確執による部分が大きく、本来であればAIG,メリル、ベアスターンズのように救済すべきであったというのが著者の意見。■悪いニュースが流れた当日には、決して自分の持分を売ってはならない。群集が通り抜けるまで、出口に近づいてはならない。なぜなら、パニックに駆られた売り手が死に物狂いで逃げ出したあとには、必ず価格の反発が起きるからだ
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