ノーストリリア の商品レビュー
「鼠と竜のゲーム」だけ読んでいるが、そのなかのキャラやエピソードが随所に見受けられてつながる面白さがあった(そのほかの短編からもいろいろ出ているみたい)。 今度も読んでみて、やはりコードウェイナー・スミスという作家の特異性が現れていると思った。異質で独特な価値観、冷徹なのにロマン...
「鼠と竜のゲーム」だけ読んでいるが、そのなかのキャラやエピソードが随所に見受けられてつながる面白さがあった(そのほかの短編からもいろいろ出ているみたい)。 今度も読んでみて、やはりコードウェイナー・スミスという作家の特異性が現れていると思った。異質で独特な価値観、冷徹なのにロマンチスト、やたらカッコいい文章。 自分には最高に面白い作家。 しかし物語をどうとらえたらいいのか? 「お話は簡単だ。むかし、ひとりの少年が地球という惑星を買いとった。(略)少年は地球へやってきて、なみはずれた冒険を重ねたすえに、自分のほしいものを手に入れ、ぶじに帰ることができた。お話はただそれだけだ」 枠のなかの枠にいるみたいだった。停滞した人類に対して「人類の再発見」が行われている時代という設定だけど、この作品自体が停滞というか、予定調和。 少年は確かに冒険をし、美しい女性と出会い、恋をし、試練を乗り越え、成長する。けれど作中で挿入される補完機構やノーストリリアの大人たちによる別視点の場面では、少年がいかに危うい立場にいて、運良く大人たちから看過、または守られているかが判明する。 「人類の再発見」自体が、病気や危険などで停滞した人類を活性化させようとするものだが、それはマクロには平均化され、実際は管理されたこれまた予定調和的なものらしい。 作中のこの設定が、メタ成長物語とでも言うべき本作の物語と呼応しているように思われる。 単純に、少年とともに枠内の物語を楽しみつつも、しこりの残るお話。 最後の場面も肌寒い。
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もったいぶってにやにやしたおじいさんから話を聞いてるみたい。なかなか話に入らないし、話の場所が転々と映るし、知らない人名がたくさん出てくるし…。 それでも一貫した雰囲気が醸し出されてて、同じ気持ちで読めます。ノーストリリアっぽい! ただしものすごく読むのに時間がかかります。
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補完機構って何やねん。 と思ったら、後書きに色々と書いてありました。たまには後ろから読んでみるのもありだなあ、と。 補完機構はおいといて。 最初の序章に書いてあった通り、ひとりの少年が地球を買って、冒険をして愛を知り、心からの願いを知り、故郷に帰る、それでおしまい!後は読まなく...
補完機構って何やねん。 と思ったら、後書きに色々と書いてありました。たまには後ろから読んでみるのもありだなあ、と。 補完機構はおいといて。 最初の序章に書いてあった通り、ひとりの少年が地球を買って、冒険をして愛を知り、心からの願いを知り、故郷に帰る、それでおしまい!後は読まなくていい、けど細かいところは別、って感じでした。 主人公ロッドがお金を得るためにコンピューターを駆使するシーンやら、垂直洞を行ったり来たりするシーンはとても印象的で、頭の中に絵が描けるくらい。ちょっと地球に行くまでの下りが長かったとは思ったけども。 他のシリーズも読んでみようかな、と思うくらいには面白かった!
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SFを久しぶりに読んで、たまにはこういうのもいいなって思う。 ただ真っ直ぐ、ど真ん中に投げてくるからこそ、どの読者もSFが好きならバットを振らざるを得ない。
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おもしろいな!すごく好みだ。これ以外の短編が品切れなのが心底残念。図書館行きか。 著者の経歴もすごい。 原文は読んでないが、訳もすごい。冒頭の七五調とか、たくさん出てくる詩とか、「サベる」「キトる」とか。 ジェストコースト氏がいい男なのは分かりました。
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ク・メルが愛しい。 他の短編集にも時折顔を出す彼女。そちらでは彼女のその後がわかる。 切ないけれど、とても可愛らしい存在。 そして主人公ロッドの冒険。予想外のこと続きで不思議な世界へと引き込まれて行く感覚。彼の成長物語。 でも、彼は本当に幸せになれたんだろうか。時々そう考えてし...
ク・メルが愛しい。 他の短編集にも時折顔を出す彼女。そちらでは彼女のその後がわかる。 切ないけれど、とても可愛らしい存在。 そして主人公ロッドの冒険。予想外のこと続きで不思議な世界へと引き込まれて行く感覚。彼の成長物語。 でも、彼は本当に幸せになれたんだろうか。時々そう考えてしまう。
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人類補完機構シリーズ唯一の長篇。 今までの短編エピソードを思い起こさせるキーワードが数多く登場する。 本作品が太い幹となって、 数々の枝葉が重層的に物語を際立たせている。 モザイク的混在、共存の面白さは、 読書の楽しさを実感させてくれる。 コードウェイナー・スミスは、 他に類を見...
人類補完機構シリーズ唯一の長篇。 今までの短編エピソードを思い起こさせるキーワードが数多く登場する。 本作品が太い幹となって、 数々の枝葉が重層的に物語を際立たせている。 モザイク的混在、共存の面白さは、 読書の楽しさを実感させてくれる。 コードウェイナー・スミスは、 他に類を見ないといっても良い魅力的な作家だと思う。 1988 年 第 19 回星雲賞海外長編賞受賞作品。
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裏表紙の紹介文が秀逸な本 タイトルが秀逸な本はあるが、紹介文がここまで面白い本も珍しい ただし、本文は途中でなんで地球に来たのか分からなくなる。猫娘の印象しか残らない。うーん。 前半のノーストリリア編は面白い
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サブタイトルは人類補完機構 アインシュタインロマンを携帯型DivXプレーヤで見ていたため、先へ進まなかったSFだ。 感受性が高いノーストリリア少年が人類発祥の地「地球」を旅して故郷に戻るというお話。 帯では「地球を買い取った少年の冒険記」とあるが不適切。少年は大金持ち...
サブタイトルは人類補完機構 アインシュタインロマンを携帯型DivXプレーヤで見ていたため、先へ進まなかったSFだ。 感受性が高いノーストリリア少年が人類発祥の地「地球」を旅して故郷に戻るというお話。 帯では「地球を買い取った少年の冒険記」とあるが不適切。少年は大金持ちになり、地球へいって人類の未来を垣間見る。しかし、地球買取がテーマではない。 この作品は、前作である「鼠と竜のゲーム」という短編集を読んでいないと理解しづらい。なぜなら、その短編集に著者の未来ワールドが構築されており、そのワールドの中の150世紀に本作「ノーストリリア」が存在するからだ。 本作のサブタイトルとなっている「人類補完機構」はまさに「鼠と竜のゲーム」の中で盛んに登場する宇宙全体に広がる人類を統括制御する組織であるし、人間化された下級民と呼ばれる猫が準主役になるのも「鼠と竜のゲーム」から続いている(SFの世界ではなんと猫がよく登場することか!)。 著者は早死にしたせいでこの独特の未来ワールドを継続することができなかった。非常に惜しい。もし続けることが出ていれば、アシモフのファウンデーション並みのスペースオペラが完成した可能性がある。 「ノーストリリア」は1960年に書かれたものであるが、世に出たのは1964年の「惑星買収者」、1968年の「下級民」と分割されている。確かに分割したほうがテーマとしてはわかりやすいかもしれない。 本作だけではイマイチわかりにくいスミスの未来ワールドであるが、これは長編が本作しかないことが大きい。もう一作でていたらと思うと残念である。 本作の特徴や面白さは、主人公である少年の冒険という物語に加え、それを取り巻く周りの登場人物が織り成す小さな物語が平行して進むことにある。加えて、周りの物語は最近のSFではやりのようにエピローグの形できれいに完結している。繰り返しになるが、現在の手法で続編が、「人類補完機構シリーズ」ができたらと思うと本当に惜しい。
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「人類補完機構」シリーズの長編。地球を買い取った少年の優しくて少し切ない成長物語。 人類補完機構、不老長寿薬ストルーン、動物を改造した”下層民”etc…、その壮大な未来史、ハードな世界観に痺れる。同シリーズの他短編との繋がりを捜すのも楽しい。 ク・メルかわいいよク・メル
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