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二つの祖国(三) の商品レビュー

4.1

23件のお客様レビュー

  1. 5つ

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2024/07/04

天羽憲治が東京裁判のモニターを務めることで正義を貫こうとする反面、弟の忠がやさぐれで行く様子が痛ましかった。 置かれる環境は真反対だがどちらも2世として日本人としてもアメリカ人としても忠誠心を常に問われる厳しい立場におかれてやるせない。 二つの祖国(3)は東京裁判が描かれており、...

天羽憲治が東京裁判のモニターを務めることで正義を貫こうとする反面、弟の忠がやさぐれで行く様子が痛ましかった。 置かれる環境は真反対だがどちらも2世として日本人としてもアメリカ人としても忠誠心を常に問われる厳しい立場におかれてやるせない。 二つの祖国(3)は東京裁判が描かれており、東京裁判について見識を深めるきっかけになった一方で読みこなすのはかなり難しかった。

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2024/03/22

日系二世の主人公が日本とアメリカ、2つの祖国の間で悩みながら生きていく太平洋戦争末期〜戦後の物語。 3巻目の本作は引き続き日本での軍事裁判が続く。 愛する女性椰子と米国から日本にやってきたつまりエミーとの間で悩む日々も始まりいよいよ面白みが増してきた。結末が楽しみ。

Posted byブクログ

2023/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了に大分時間がかかってしまった。 本編の主人公の天羽賢治は極東国際軍事裁判のモニターとして、法廷に臨むが、戦勝国と敗戦国の不当な裁判に忸怩たる思いで臨む。 物語は裁判の描写と賢治の私生活面での描写を交互に綴っていく。 裁判描写では、読書中に眠くなった。 賢治の新聞社勤務時代のかつての同僚の椰子は両親と共に日本に戻り、原爆の被爆者となり、奇跡的に助かったが、両親を失った。 椰子の妹の広子はアメリカに残り、原爆の被害からは逃れた。 妹と両親の墓参りに行った椰子は広子から、アメリカが原爆調査機関を作り、被爆者を治療するのではなく、モルモット替りに調査しているという話を聞いて、人種的偏見も甚だしいと、怒りで体が震えた。 賢治は日本にいる間、椰子と深い仲に成っていく反面、妻のエミーとは心が離れて行く自分に煩悶する。 戦争が終わってからも、祖国日本とアメリカの間で苦しむ日系二世の賢治の心の葛藤は続く。 次巻の四巻目は後半の東京裁判へと続く。また、妻エミーとはどうなるのか? そして椰子とはどうなるのか? 闇市で稼ぎ、成金となった賢治の弟の忠は? 最終巻も気になる。

Posted byブクログ

2023/06/24

3巻は、終戦からGHQの進駐、そして東京裁判を中心に物語が進行する。 主人公のかつての同僚で、密かに想いを寄せていた女性は原爆投下時、広島にいたが奇跡的に助かり、主人公と再開する。 そして、主人公は、東京裁判にモニター(通訳が合っているかどうかダブルチェックをする人)として立...

3巻は、終戦からGHQの進駐、そして東京裁判を中心に物語が進行する。 主人公のかつての同僚で、密かに想いを寄せていた女性は原爆投下時、広島にいたが奇跡的に助かり、主人公と再開する。 そして、主人公は、東京裁判にモニター(通訳が合っているかどうかダブルチェックをする人)として立ち会う。 東京裁判では、勝者が敗者を一方的に裁くという一貫した進行に主人公は違和感を覚える。 日本は侵略戦争をしかけたと一方的に非難され、他方でアメリカの原爆投下については裁判上の記録から削除される。 そして、戦前戦時中は、あれだけ日本政府、軍部を称賛していた日本のマスコミは、掌を返したように日本批判、反日の報道を始める。 アメリカGHQの一員として、東京裁判に関わっている主人公は、アメリカと日本、二つの祖国の板挟みにあって、悩み苦しむ。 アメリカ人からは、ジャップと呼ばれ、日本人からは薄汚い裏切り者と言われる。 そんな主人公の苦悩を理解せず、日系二世にも関わらず反日思想の妻に、主人公は愛想が尽きて、かつての同僚の女性に心が惹かれ、2人は結ばれる。が、主人公は結局プライベートでも、どっちつかずの態度をとってしまう。

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2023/05/13

東京裁判のモニターとして、法廷に臨む賢治。 裁判長、連合国側の検察官、日本人の被告、日本人の被告を弁護する弁護士。 太平洋戦争への様々な思惑がみえてくる。 アメリカ国籍を持ちながら、日系二世でもある自らの存在をもとに、限りなく公平にモニターとしての職務に徹しようとする賢治。 ...

東京裁判のモニターとして、法廷に臨む賢治。 裁判長、連合国側の検察官、日本人の被告、日本人の被告を弁護する弁護士。 太平洋戦争への様々な思惑がみえてくる。 アメリカ国籍を持ちながら、日系二世でもある自らの存在をもとに、限りなく公平にモニターとしての職務に徹しようとする賢治。 それが賢治を悩やませ、苦しませる… 日本兵が連合軍の捕虜や女性に行った残虐行為。アメリカが日本の敗戦がほぼ決まった中での広島、長崎での原爆投下。 どちらも許されない。 日本にだけ非があるとするのではなく、日本をそこまで追いやった側の非も追求する日本側弁護団の正義。 戦争、そこに至るまでの経緯… 一方だけに非があるわけではないのか… ロシアとウクライナ、どうなんだろう。 そんな中で想い悩む賢治… エミーとのすれ違いの中、椰子に安らぎを求めていく… エミーに椰子との関係を知られることとなり、エミーの身に起こった悲劇を知った賢治。 3人の関係はどうなるのか… ヤミ屋として、才覚を現す忠。 賢治と忠、分かり合える日は来るのか…

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2022/09/22

東京裁判は戦争犯罪を裁く場ではなく、敗戦国の指導者に責任を取らせる裁判だった。 戦争は置かれた環境や所属によって意思とは関係なく相応の仕事を求められ巻き込まれるのだとつくづく思った。 親ガチャが取り沙汰されているが、私は国籍ガチャもあると思う。 ▼ヒトは区別分類することができる...

東京裁判は戦争犯罪を裁く場ではなく、敗戦国の指導者に責任を取らせる裁判だった。 戦争は置かれた環境や所属によって意思とは関係なく相応の仕事を求められ巻き込まれるのだとつくづく思った。 親ガチャが取り沙汰されているが、私は国籍ガチャもあると思う。 ▼ヒトは区別分類することができるが、すなわち差別も生まれる。 人種差別が無くならないように戦争も無くならないなら、 ルールを決めた戦争を行なってもらいたいものだ。 例えば、戦闘予定地域への民間人完全退避の徹底、 民間人を巻き込まないプロの戦闘員による陣取り戦争。 ルールの上で戦争して人道違反を戦勝国、敗戦国を平等に評価する体系を作っていって欲しいと願う。

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2022/05/12

戦勝国側だけでなく、敗戦国の弁論も確りと描かれている。 もどかしさとやるせなさが残る三巻目でした。

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2023/06/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 やっと読み終えた3巻。東京裁判の内容はやはり難解で、登場人物も多すぎて2割程度しか理解できていないような気がします。賢治と椰子のシーンが一抹の清涼剤のようでした。  戦争に関する裁判で裁かれるべきは一体何なのか(まず私はここが分かっていなかった)。根拠となる国際法に違反するのは、①民間人の殺傷、②民間物の攻撃・破壊、③不必要に残虐な兵器の使用、④捕虜の虐待が国際法に違反する主な行為。第二次世界大戦以前は交戦権そのものは認められていた。したがって、東条英機などの個人をA級戦犯として裁くのは通常でなく、〝日本が敗戦国だから”、このような裁判が実施されたのだと知りました。  反対に国際法違反を問うべきなのは、前述の①~③を明らかに破り原爆を投下したアメリカやんけとツッコミたくなるが、原爆に関する議論は裁判所の権限で打ち切られ、まったく不問に付されてしまう…何やこの裁判は!戦争に負けるとはこういうことか、と忸怩たる思いでした。二世として戦勝国側に立ってモニターの職務に励みながら、原爆投下によって愛する人の家族の命が奪われた、複雑な立場に立つ賢治の絶望は計り知れません。  一方で、東京裁判では日本の捕虜に対する虐待が激しく問われます。確かに日本が行った行為は胸糞の悪いものですが、「捕虜になれば死ね」としか教えられていなかったから捕虜の扱いには無知であったという背景も一考に値するでしょう。  70年以上の時を経て、21世紀になってもなお侵略戦争が起きている。民間人が犠牲になり、民間物が破壊され、民間女性が兵士による性暴力によって尊厳を奪われている。この争いの行方をしっかり見届けなければと改めて心に誓いました。

Posted byブクログ

2022/04/12

戦争とは本当に酷い事だと改めてこの本を読んで 思う。 東京裁判は、敗戦国日本にとても不利な 事ばかりで日本人としては腹立たしいばかりだ。 戦争に負けるという事は、不利益な立場 に追いやられ勝戦国に全て従わなければ国として 成り立って行かないと言う不条理だ。 原爆投下を東京裁判で削...

戦争とは本当に酷い事だと改めてこの本を読んで 思う。 東京裁判は、敗戦国日本にとても不利な 事ばかりで日本人としては腹立たしいばかりだ。 戦争に負けるという事は、不利益な立場 に追いやられ勝戦国に全て従わなければ国として 成り立って行かないと言う不条理だ。 原爆投下を東京裁判で削除された話は、戦争を経験していない自分でも腹が立つ。

Posted byブクログ

2021/11/13

これまでの東京裁判に関する知識は中学歴史教科書レベルだった。こんな裏の事実があったのかと。なぜ日本は戦争に突入せざるを得なかったのか、考える機会になった。

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