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犬の力(下) の商品レビュー

4.1

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    3

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2016/02/19

凄まじいの一言。登場人物紹介を見ただけでも頭がクラクラするほど、入れ替わり立ち替わり様々な人物がそれぞれの波瀾万丈などという言葉が薄っぺらく感じられるくらい濃密な人生の一場面に驚愕し、怒り、涙し、疾走する様はまさに圧巻。ここまで読み応えのある作品には近年出会ったことがない。恐るべ...

凄まじいの一言。登場人物紹介を見ただけでも頭がクラクラするほど、入れ替わり立ち替わり様々な人物がそれぞれの波瀾万丈などという言葉が薄っぺらく感じられるくらい濃密な人生の一場面に驚愕し、怒り、涙し、疾走する様はまさに圧巻。ここまで読み応えのある作品には近年出会ったことがない。恐るべき才能。デ・ニーロが惚れ込んだ『フランキー・マシーンの冬』、オリバー・ストーンを虜にした『野蛮なやつら』とこのあとの作品群の多彩ぶりにも驚嘆するしかない。次はどんな手で来るのか、予測もつかない。

Posted byブクログ

2015/11/11

組織の内部抗争により黄金毛メンデスの妻と子供が殺害された。次にバレーラ兄弟が襲撃を受ける。この抗争を収めるべく間に入ったパラーダ枢機卿だったが、知事の陰謀により銃撃戦に巻き込まれ命を落とす。アダンの愛人になっていたノーラだったが、そのニュースの後もアダンに付き添い、むしろ事務処理...

組織の内部抗争により黄金毛メンデスの妻と子供が殺害された。次にバレーラ兄弟が襲撃を受ける。この抗争を収めるべく間に入ったパラーダ枢機卿だったが、知事の陰謀により銃撃戦に巻き込まれ命を落とす。アダンの愛人になっていたノーラだったが、そのニュースの後もアダンに付き添い、むしろ事務処理においてアダンの右腕となる。 やがてメンデスとの抗争に決着をつけたバレーラ兄弟はさらなる拡大を目指し次の手を打つが・・・ 話の展開が非常にめまぐるしく、数年の間に起こっているのではなく、数日の出来事のよう。 話の決着は落ち着くところに落ち着いた感があるが、読み終わった感覚としてはすっきり感というより、何とも言えない気怠さ、アンニュイ感が残る。

Posted byブクログ

2015/07/06

上から一気。 麻薬戦争の最中の人間ドラマ。交差する人間たちの激しく哀しくそして強い思い。時にそれは復讐心となって燃え上がる。どれだけ多くの人間が血を流していったのか、思わず目を背けたくなるようなところも。 一人ひとりの個性が見事に描き出されて読み応えのある上下巻2冊なのでした。 ...

上から一気。 麻薬戦争の最中の人間ドラマ。交差する人間たちの激しく哀しくそして強い思い。時にそれは復讐心となって燃え上がる。どれだけ多くの人間が血を流していったのか、思わず目を背けたくなるようなところも。 一人ひとりの個性が見事に描き出されて読み応えのある上下巻2冊なのでした。 こちらを先に読んでいたらキット、ニール・ケアリーシリーズは読まなかったでしょう。(先に読んでいてよかった。) ドン・ウィンズロウというストーリセラーの底知れない力に感服。凄い本を読んでしまいました、という思いもあるけれど、こんなバイオレンスはもう読みたくない!とも思う。

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2014/08/13

著者渾身の大作。 麻薬戦争と名付けられた余りにも愚かで残虐な血の抗争の記録。過去を語りながらも、常に現在進行形の文体で進み、否が応でも鋭い緊張感を読者に強いる。 マフィアの復讐劇、大国と弱小国家の茶番的謀略、虐げられる民衆の悲劇、と様々な要素を組み込みながら、著者は翻弄されつつ...

著者渾身の大作。 麻薬戦争と名付けられた余りにも愚かで残虐な血の抗争の記録。過去を語りながらも、常に現在進行形の文体で進み、否が応でも鋭い緊張感を読者に強いる。 マフィアの復讐劇、大国と弱小国家の茶番的謀略、虐げられる民衆の悲劇、と様々な要素を組み込みながら、著者は翻弄されつつも強い信念を抱き麻薬カルテル壊滅に向けてひた走る主人公ケラーを描き切る。特に孤独な殺し屋と娼婦の設定が巧い。 この世の地獄絵図を巡った果てに辿り着く終局をようやく乗り越えて、その先に待ち受けているものとは、再び繰り返される血の戦いに他ならない。 数多の屍の上にまた、新たな死者が群れをなして折り重なっていく。 ウィンズロウは、果たしてこの作品を超えるものを、この先創作できるのだろうか。

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2018/01/01

2010年版このミス海外編1位作品ということで読んでみた本。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file4/naiyou16101.html

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2014/03/23

ドン・ウィンズロウは『ストリート・キッズ』が秀作であっただけに残念だ。嘘を見抜く力を養うためには有益な作品といえよう。 http://sessendo.blogspot.jp/2014/03/blog-post_23.html

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2013/08/10

横山さん、ざっと あらすじを書いてみました☆         ↓ 「犬の力」は メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラーと叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継 バレーラ兄弟の30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争の物語。 アメリカとメキシコ両政府の思惑が働いて、も...

横山さん、ざっと あらすじを書いてみました☆         ↓ 「犬の力」は メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラーと叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継 バレーラ兄弟の30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争の物語。 アメリカとメキシコ両政府の思惑が働いて、もはや誰が敵で誰が味方かわからない混沌とした状況の中、麻薬捜査官のアートだけは信念を貫いて アメリカにとっては不利な真実を暴こうとする…というお話。 米国政府、麻薬カルテル、マフィアなど、様々な組織の思惑が交錯した、まるっきりのフィクションではなくかなりの事実に基づいて書いてある物語。(…っと、あとがきに書いてあった。) と云うワケでとてもリアリティがあり具体性もあって面白かった。 アメリカとメキシコにまたがる麻薬ビジネスは中南米の難民やメキシコ大統領選、中国の武器商人まで巻き込んで壮絶な様相を呈してくる。 国家並みの軍事力、資金力、そしてそれを司る圧倒的な権力。 裏切りに次ぐ裏切り、罠の裏をかけばそれがまた罠、信じていた仲間は敵だった、など….。 しかし血で血を洗う復讐の無限ループの中にも人間ドラマがあり 用意周到綿密に練られた作戦のシナリオも最高に面白い。 興奮冷めやらずドン・ウィンズロウの凄さに感嘆。 さて、あなたはこれを読まずして死ねるか?(笑) 私はセーフ!!(笑)

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2013/07/31

復讐の螺旋階段に天井はなく、順番待ちで大渋滞だ。生きるために踏み出した階段への一歩は、戻れない死の順番待ち。ただ時々順番が前後するだけで、生まれた瞬間死に向かう命の終わり方が悲惨なものか、予期しないものか、自分で決めるか。 どう生きるかよりも、死の瞬間をどうくぐり抜けて、そのくぐ...

復讐の螺旋階段に天井はなく、順番待ちで大渋滞だ。生きるために踏み出した階段への一歩は、戻れない死の順番待ち。ただ時々順番が前後するだけで、生まれた瞬間死に向かう命の終わり方が悲惨なものか、予期しないものか、自分で決めるか。 どう生きるかよりも、死の瞬間をどうくぐり抜けて、そのくぐり抜ける瞬間、もしくは誰かに死の瞬間をもたらすことで、生きることを実感する。 人も動物も罌粟もただそこに存在するだけなのに、誰かの思惑とか思いつきとか機嫌だけで、死のそよ風はあっという間に暴風雨に変わる。嵐の後、何も形を残さず、怨恨だけが次の誰かに受け継がれ、また復讐の螺旋に並ぶ人間を一人増やす。

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2013/04/16

2010このミス海外1位。 「ボビーZシリーズ」が終わっちゃってからウィンズロウ読んでなかったんだけど、読めばやっぱ面白い。 メキシコを舞台とした「麻薬戦争」の話。 DEAの捜査官ケラーと、麻薬カルテルの盟主となるアダンの、長年に渡る戦いを軸としています。 主な登場人物欄に20人...

2010このミス海外1位。 「ボビーZシリーズ」が終わっちゃってからウィンズロウ読んでなかったんだけど、読めばやっぱ面白い。 メキシコを舞台とした「麻薬戦争」の話。 DEAの捜査官ケラーと、麻薬カルテルの盟主となるアダンの、長年に渡る戦いを軸としています。 主な登場人物欄に20人以上書かれてるし(笑)長くてややこしい話ではあるんだけど「最後には誰が勝つんだろう?」という興味で、ぐいぐい読ませます。 それとやっぱりキャラが魅力的だね。超美女の高級娼婦ノーラとかって、女からしたら普通イラっとくるキャラかと思われるんですが、実にイイ!

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2013/01/27

なん度でも言おう。「ゼッタイに読むべきだ!」と。『犬の力』に影を落としているのは冷戦構造だ。キューバ危機を皮切りに、アメリカは「裏庭」で共産主義政権が立たないよう軍事的独裁者を支援し続けた。ジョン・マクティアナン監督『閉ざされた森』や、スティーブン・ソダーバーグ監督『チェ』で描か...

なん度でも言おう。「ゼッタイに読むべきだ!」と。『犬の力』に影を落としているのは冷戦構造だ。キューバ危機を皮切りに、アメリカは「裏庭」で共産主義政権が立たないよう軍事的独裁者を支援し続けた。ジョン・マクティアナン監督『閉ざされた森』や、スティーブン・ソダーバーグ監督『チェ』で描かれたように謀略や諜報を駆使し、帝国主義さながらの暴力に訴える方法を臆面なく使ったのだ。その政治的な混沌を利用してラテンアメリカの麻薬シンジケートのドンに治まったアダンと、私怨とも正義とも区別のつかない炎に身を焦がしながらアダンを追うケラー捜査官の対決を軸に、物語は加速していく。本書で描かれる登場人物たちは寄る辺ない「可愛そうな犬たち」だ。お互いが支えあっているのだが、どこか歪んでいる。そして、信仰とか正義とか、そんな高尚なものは信じておらず、感情に従って生きている。そして、この「感情のもつれ」がスカッとするラストを用意するのだ。登場人物により視線が切り替わるたびに展開がコロコロと変わるのだが、作家の企みにワザと乗せられながら、最後のロマンスにハラハラしてください。面白い!

Posted byブクログ