八月の路上に捨てる の商品レビュー
伊藤たかみは、青春もの(学生の甘酸っぱい感じ)の小説しか読んだことがなくて、大人が主役だと、このひとはどんな物語を書くのだろうと思っていた。この本に、すごく胸をつく一文がのっていた。その一文からタイトルがきている。その一文のための小説のような気がした。主人公は紛れもなく大人。何者...
伊藤たかみは、青春もの(学生の甘酸っぱい感じ)の小説しか読んだことがなくて、大人が主役だと、このひとはどんな物語を書くのだろうと思っていた。この本に、すごく胸をつく一文がのっていた。その一文からタイトルがきている。その一文のための小説のような気がした。主人公は紛れもなく大人。何者にでもなれると信じていて、でも何者にもなれなかった大人。でもこれも青春。むしろこれこそが。まぎれもなく青春の物語だと思う。
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◆あらすじ◆ 三十歳の誕生日に離婚する予定の敦は、自動販売機の補充に回る車内で同僚の水城さんに結婚生活の顛末を話して聞かせる。 社会のひずみに目を向けつつ、掛け違っていく男女を描いた、第135回芥川賞受賞の代表作ほか、単行本未収録の「安定期のつれづれ」等、夫婦のそれぞれのあり方を...
◆あらすじ◆ 三十歳の誕生日に離婚する予定の敦は、自動販売機の補充に回る車内で同僚の水城さんに結婚生活の顛末を話して聞かせる。 社会のひずみに目を向けつつ、掛け違っていく男女を描いた、第135回芥川賞受賞の代表作ほか、単行本未収録の「安定期のつれづれ」等、夫婦のそれぞれのあり方を鮮やかにとらえた3編。
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芥川賞受賞作。 芥川賞選考委員が好きそうな話。 現実を現実的に描き切ると、やり切れない思いが残る。 小説を読んでまでこの気持ちにならなくても。と思う人は結構いるかもしれない。
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8月下旬 芥川賞っぽい。表題作がよかった。日常がどんどんずれてくずれていく感じ。伝わってくるイライラがちゃんとこっちに迫ってきて、無駄じゃない小説な感じがした。
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ああ、わかるなあ、ほんと、結婚生活ってこういうところあるよなあ…・・と、少しずつ、大切に文章を拾っていきながら読みました。 初めの一つからずれて置かれた上に、積み木を積み上げていくような結婚生活。グラグラと揺れながら積み上がっていく危うさ。初めから積み直せばいいのに、もう、面...
ああ、わかるなあ、ほんと、結婚生活ってこういうところあるよなあ…・・と、少しずつ、大切に文章を拾っていきながら読みました。 初めの一つからずれて置かれた上に、積み木を積み上げていくような結婚生活。グラグラと揺れながら積み上がっていく危うさ。初めから積み直せばいいのに、もう、面倒臭くてそれも出来ず、最後は崩れるしかない。その一つを置くのが自分なのか相手なのか。 些細なことが重なって、本当に一つ一つは些細なことなのに、それがどんどん我慢出来なくなっていく。小さなことに拘って後に引けなくて、馬鹿みたいに譲れなくなってしまう様は、哀しくて、滑稽で、静かに痛かったです。 話をしようと座れと促すのに、頑なに座ろうとせず、ドアノブにしがみつくのを必死に引きはがして争うあたりは可笑しいのに哀しいし、最後のデートで二人で思い出の場所を巡りながら、お互いの嫌だったところを論う場面では微笑ましくさえ感じて、自分も大概な性格をしているな、と思いました。 静かに壊れていくのをどうしようもなく感じながら歩いて行く。最後の五行が秀逸でした。この五行で、この作品がとても好きになりました。
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伊藤たかみ氏の描く空気感が好きです。 ずっと前から。 久々に読んだなぁ、伊藤さんの本。 やっぱり好きでした。
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図書館でジャケ買いならぬ表紙借りしちゃった本が、伊藤たかみさんの『八月の路上に捨てる』 芥川賞の作品を読むのは、綿矢りささんの『蹴りたい背中』以来だ。 離婚を目前にした男と離婚歴のある女の掛け合いが静かに表現されている。 90ページ足らずの短編ですぐに読み終わった。 日...
図書館でジャケ買いならぬ表紙借りしちゃった本が、伊藤たかみさんの『八月の路上に捨てる』 芥川賞の作品を読むのは、綿矢りささんの『蹴りたい背中』以来だ。 離婚を目前にした男と離婚歴のある女の掛け合いが静かに表現されている。 90ページ足らずの短編ですぐに読み終わった。 日常をそのまま切り取ったかのような描写で、過去と現在の想いが交錯する。 読んでいてなんだかせつなくなった。 人の心って複雑でどうにもできない。 思い出は心の宝で、でもそれが大切になればなるほど失ったときの悲しみは大きい。 本にはもう1篇の短編が収録されていた。 『貝からみる風景』という30ページ程度の短編。 こちらも日常の小さなすれ違いを描いたものだった。
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