ダニー・ボーイ の商品レビュー
1976年、ブロードウェイで圧倒的な歌唱力を披露し、 その後消えてしまったとある日本人。 その生涯を様々な人達の視点で語られるストーリー。 島田虎之介氏の作品はどれもこれもすごすぎるが これもとても良かった。 どこからこんな題材を探してくるのか、そして どうしてこんな語り口でそ...
1976年、ブロードウェイで圧倒的な歌唱力を披露し、 その後消えてしまったとある日本人。 その生涯を様々な人達の視点で語られるストーリー。 島田虎之介氏の作品はどれもこれもすごすぎるが これもとても良かった。 どこからこんな題材を探してくるのか、そして どうしてこんな語り口でその人物を生き生きと 描かせるのか。 すごいとしか言い様がない。最後泣きまくった。 絶対万人受けはしないだろうが、漫画には こんな作品もあるというそれだけでありがたい気持ち。
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ブロードウェイで活躍した日本人。 本当にあったエピソードから話を膨らませていったんじゃないかと思う 素敵なファンタジー。 圧巻です。
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この話に出てくるイトウサチオという架空のシンガーは、その類稀なる歌唱力で周囲を圧倒していく。 時は過ぎイトウサチオの存在が人々の記憶から消えていこうとしても、それでもなお歌の響きだけが頭の片隅に残って、懐かしい余韻となって彼らの人生に寄り添う。読者はその記憶の掘り起こし作業を一緒...
この話に出てくるイトウサチオという架空のシンガーは、その類稀なる歌唱力で周囲を圧倒していく。 時は過ぎイトウサチオの存在が人々の記憶から消えていこうとしても、それでもなお歌の響きだけが頭の片隅に残って、懐かしい余韻となって彼らの人生に寄り添う。読者はその記憶の掘り起こし作業を一緒に追体験する形になる。 島田さんは描き込みの細かい人ではなく、極力シンプルな描写を得意とする漫画家ではあるけれど、コマの運びとか、余白の使い方がとても上手だ。全ページが映像的というか、丁寧に作られた映画を見ているような気分になる。 繰り返して読みたい一冊。
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トニー賞にノミネートされた日本人俳優・伊藤幸男の人生。 サチオの視点で語るのではなく、サチオに関わった人々の回想の形で人生を追っていくのがうまいです。ストーリーの芯はしっかりしていながら群像劇的な面白さもあり、何よりもなんとも言えないノスタルジーを感じさせる漫画です。 キザにな...
トニー賞にノミネートされた日本人俳優・伊藤幸男の人生。 サチオの視点で語るのではなく、サチオに関わった人々の回想の形で人生を追っていくのがうまいです。ストーリーの芯はしっかりしていながら群像劇的な面白さもあり、何よりもなんとも言えないノスタルジーを感じさせる漫画です。 キザになってしまう一歩手前の台詞回しも素晴らしいです。 ラストの解放感、そして『東京命日』ほど複雑怪奇ではないものの、一度読み終わってもう一度読んだ時の「このシーンがここにつながっていたのか!」という驚きを味わえる構成の妙。 洗練されたシマトラ節を味わえる傑作です。
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天才か! どうして今までこの作家の存在を知らなかったのだろう! というか今更かも知れないけど、知ることができて良かった。 すごい。 一人の男をこんな風に断片をつないで描く。 「記憶」の物語。 記憶はどんなときに甦るのだろう。 ふいに。 おそれず。 すごい。 すごいなあ。
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天性の歌声を持つ俳優 伊藤幸男の人生が、彼の歌を聞いた人たちの語る思い出という形で描かれている。 「東京命日」と同様、いくつもの人生が交錯しながらラストにつなげてゆく描き方。
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相変わらず嘘がうまく、大風呂敷を畳むのが上手い。 まず一番大きな嘘は 作中劇の『極東組曲』。 実在するのは『パシフィック・オーバーチュア 太平洋序曲』。 で舞台も戦後日本でもなく幕末日本(幕末日本が題材のブロードウェイミュージカルがあったというも衝撃だが)。 で、肝心な内容は...
相変わらず嘘がうまく、大風呂敷を畳むのが上手い。 まず一番大きな嘘は 作中劇の『極東組曲』。 実在するのは『パシフィック・オーバーチュア 太平洋序曲』。 で舞台も戦後日本でもなく幕末日本(幕末日本が題材のブロードウェイミュージカルがあったというも衝撃だが)。 で、肝心な内容は とある役者に関わった人々の記憶の断片を積み上げて描かれる物語。 ずっと記憶に残るような力があっても歴史に埋もれてしまうと言う残酷さも感じるけど、美しくまとめられてる。 (記憶が一番美しいってことなのかな??) それにしてもこの作者の題材に鎮魂歌的なものが多いのはなぜだろう。 『ラスト・ワルツ』の消防士達、『東京命日』、『トロイメライ』のピアノ、そして『ダニー・ボーイ』の伊藤幸夫(モデルはイサオ・サトウ)。
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島田虎之介待望の最新作。 この作品では伊藤幸男という役者の取り巻く人々を描いている。 実際に実在した役者をモチーフにしているようだ。 この人の漫画は映画的とよく評価されるようだが、本当に実写化して欲しいと思えるような作品ばかり。 この作品はミュージカルを取り上げているので...
島田虎之介待望の最新作。 この作品では伊藤幸男という役者の取り巻く人々を描いている。 実際に実在した役者をモチーフにしているようだ。 この人の漫画は映画的とよく評価されるようだが、本当に実写化して欲しいと思えるような作品ばかり。 この作品はミュージカルを取り上げているので、物語の奥行きが更に広がっているような感覚すらある。 深くじっくり漫画を読ませるということに関しては右に出る者を知らない。 ただこういう作風は商業的には厳しいだろうな、と思う。 青林工藝舎だから成立しているというか。 前にも書いたけどサブカル畑に留まっているのには惜しい才能。 何だか作者と漫画の主人公に重なる部分があるような気がした。 もっと売れてほしい
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シマトラの到達点かつてブロードウェイで激賞された日本人ミュージカル俳優がいた。伊藤幸男というその男は、1950年に生を受けた時、どの赤ん坊より大きな声で泣いた。これはそんな男と、歌の物語。いつもの島田虎之介同様、今作も筆者の自分語りから始まる。ある日深夜テレビでやっていた『極東組...
シマトラの到達点かつてブロードウェイで激賞された日本人ミュージカル俳優がいた。伊藤幸男というその男は、1950年に生を受けた時、どの赤ん坊より大きな声で泣いた。これはそんな男と、歌の物語。いつもの島田虎之介同様、今作も筆者の自分語りから始まる。ある日深夜テレビでやっていた『極東組曲』というミュージカルに言及し、そこからその中の主人公二人のうちの片方を演じた日本人俳優、伊藤幸男の数奇な運命を語り始める。ただ「語り始める」といっても、単純にに時系列に追っていくのではない。彼の周囲の人々の記憶の中の伊藤幸男をひとつひとつたどっていくのだ。シマトラはこういう曲芸のような手法で、伊藤幸男という男を浮き彫りにしていく。そしてこのやり方は、間違いなく功を奏している。ひとつひとつのエピソードはあっさりとしていてさりげないものだが、それが幾重にも折り重なると、いつしかペルシャ絨毯のように鮮やかな像が浮かんでくるのである。中盤以降はゾクゾクの連続である。ラストまでそのテンションは持続され、ある意味これしかない、といったようなエンディングを迎えるわけだが、私はここに少々不満がある。ボリュームが足りないのだ。題材のポテンシャルのピークまで上がりきる前に幕を閉じてしまっている印象である。これまでのどの作品よりも薄い本書は、モチーフから言えば上下巻構成にしてもいいほどスケール感と質を持った内容だっただけに、本当に惜しい。でもやっぱりシマトラの漫画は面白い。また次作をのんびり待ちたい。
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