コインロッカー・ベイビーズ 新装版 の商品レビュー
内側の自分との対話の中にこそ、 静寂や躁鬱や幸福や欲望が見出せる。 (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋) ○絶対的な平静と秩序を与えるわけです。 音を聞かせます、電気操作した人間の心臓音、 胎児が母親の胎内で聞く母親の心臓音ですね(P.18) ○テレビの音はだめだ、 ...
内側の自分との対話の中にこそ、 静寂や躁鬱や幸福や欲望が見出せる。 (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋) ○絶対的な平静と秩序を与えるわけです。 音を聞かせます、電気操作した人間の心臓音、 胎児が母親の胎内で聞く母親の心臓音ですね(P.18) ○テレビの音はだめだ、 テレビだと、例えばね、 北アイルランドの風とポリネシアのボラボラ島の風が、同じなんだよ、 直接空気を震わせない音はだめだ、 空気の波がマイクロフォンからテープ、 テープから電波になって、 その間に死んじゃうんだ(P.66) ○自分が最も欲しいものは何かわかってない奴は、 欲しいものを手に入れることが絶対にできない(P.111) ○不安な音色とか旋律はとかはないんだって気付いた、 大事なのは音が聞こえない状態、 つまり全くの沈黙の長さと強弱だ(P.163) ○時間に負けるような美しさで夢を買おうとしてもだめなのよね、 夢を買えるのは血と汗と涙だけなのよ(P.182) ○その思いはもう妄想ではなかった。 事実だったのだ。 事実に怯える必要はない。 ただ認めて何日間か泣けば良かったのだ。(P.257) ○その赤ん坊の心臓音を思い出すんだ、 不思議に我慢できるんだよ。(P.344) ○泳ぎを知らずに急流に投げ込まれたようなものだ、 引き上げて休ませるよりしばらくそのままにして泳ぎを習得させた方がいい、 力が足りなくて流されてしまったら元々急流に飛び込む資格などなかったことになる(P.360) ○何年か先のことを気にしてるの? バカね、死ぬ時のことを考えてガタガタ震えてる奴と同じじゃないの(P.368) ○金が手に入るとダメになる奴っているだろ? そんな奴はな、 自分は生まれた時からハイヤーに乗ってたんだって錯覚しちまうアホなんだよ(P.404) ○欲しいものが何かわかってない奴は、 欲しいものを手に入れることはできないだろう? 石と同じだ(P.417) ○死に抗うのを止めると体から苦しさが消えること、 心臓の鼓動が聞こえる間は諦めずに苦しさと戦い続けなければいけないこと(P.516) ○焼かれ続けてエメラルドになりなさい、燃え続けて宝石になるのよ(P.538) ○何万種類の旋律を作り、舌まで切ったっていうのに、何一つ変わってはいなかった。 本当の自分に巡り合っただけだ。(P.548)
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これは圧倒的だ。 これまで読んだ中でも最高峰。 物語も好きな感じだった。 こんな世界は破壊してしまえばいい。 だがやはり、活字初心者には厳しいのかもしれない。 僕はこれまでこの作品を、色々な人に勧められては冒頭で挫折していた。 このタイミングで読めて良かった。 ブックカバー...
これは圧倒的だ。 これまで読んだ中でも最高峰。 物語も好きな感じだった。 こんな世界は破壊してしまえばいい。 だがやはり、活字初心者には厳しいのかもしれない。 僕はこれまでこの作品を、色々な人に勧められては冒頭で挫折していた。 このタイミングで読めて良かった。 ブックカバーに入れて読んだのだが、この新装版、手触りがいいね。 風呂上がりなんかに頬擦りするとお肌の手入れにいいかもしれない。 つまり、ツルツルになった顔面で首都高速をスピードスケートするような小説なのだ。 ミスターDだと……? どうせダイスケ、とかダイサクなんだろうが。
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すごーく久しぶりに村上龍の長編。 人を殺しても自分の殻を突き破って自分を信じるキクと、自分が解らずに破滅に向かってしまうハシのお話。 胎内とコインロッカーと社会に閉じ込められた二人の結末は対照的だけれど、自分と言う存在にようやく行き着くことができたんだなあと。 キクが全力疾走して...
すごーく久しぶりに村上龍の長編。 人を殺しても自分の殻を突き破って自分を信じるキクと、自分が解らずに破滅に向かってしまうハシのお話。 胎内とコインロッカーと社会に閉じ込められた二人の結末は対照的だけれど、自分と言う存在にようやく行き着くことができたんだなあと。 キクが全力疾走して、心臓の音を知り、母親のことを許し尊敬するシーンは思わず落涙。 関係ないけど、この小説読んでる間ずっと新井英樹のことばっかり考えてた。
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中学以来再読 当時は殴られたような衝撃を受けた 再読でも、その衝撃は健在 初めて読んだときは何が何だかわからず、この本が持つエネルギーに突き動かされるようにして読んだ 今回は何か考えながら読もうと思ったけれど、駄目だった、やっぱり息をつく暇もなく読了 読後...
中学以来再読 当時は殴られたような衝撃を受けた 再読でも、その衝撃は健在 初めて読んだときは何が何だかわからず、この本が持つエネルギーに突き動かされるようにして読んだ 今回は何か考えながら読もうと思ったけれど、駄目だった、やっぱり息をつく暇もなく読了 読後感は決して良いものではないのだけれど、妙な爽快感もある 読んでいて気持ちのいいお話ではないのに、引きずり込まれてしまう 完全に中毒ですね、これは キクとハシ、体と病気、肉体と精神、徹底的な対比 キクのパートは暴力的だけど疾走感爽快感がある ハシのパートは粘着質だけど柔らかくて暖かいものに包まれているような安心感閉塞感がある 触覚に訴えかけてくる小説 「過去に決着をつける」という後ろ向きなお話ではないし、「未来を切り開く」希望にあふれたお話でもない ただひたすら「今を壊す」お話だと思って読みました それでもラストには、希望もまた感じられる
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起爆剤であり、パンドラの匣のような作品。 コインロッカーに仮死状態で捨てられ、生き返ったキクとハシ。 ふたりの生命力・破壊力は凄まじい。 あまりにも痛々しく、荒みきった世界が描かれている。 しかし、育成環境などから心の病を発症する人が増えている現代日本を(過激すぎるかもしれない...
起爆剤であり、パンドラの匣のような作品。 コインロッカーに仮死状態で捨てられ、生き返ったキクとハシ。 ふたりの生命力・破壊力は凄まじい。 あまりにも痛々しく、荒みきった世界が描かれている。 しかし、育成環境などから心の病を発症する人が増えている現代日本を(過激すぎるかもしれないが)非常によく捉えているように思う。 物に溢れていて、安全に思える日本。 でも、本当に豊かな国といえるのか? キクの叫びとハシの空虚感が、現代社会に向けて警鐘を鳴らしているように思えました。 大切なのは、赤子の頃の記憶。 心臓の音。 現代社会の病理がとてもよく描かれています。 村上龍さんすごい。
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野間文芸新人賞受賞の本作。「ジョン・レノンの全盛時代」っていつだよ!とか脇の甘さは気になりつつも、文章で読ませるし良い作品だなー。
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読んでる途中(ハシが東京に行ってから)、ずっと嫌な気分だった。 モヤモヤした不のオーラに巻き込まれてしまった。 だけど読後感は、なんでしょう…発見?開拓?とにかく読んで良かったと思った。
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ここまで人間のエネルギーを感じた作品に出会ったことはない。自分のパワーが弱まっている時に、何度でも触れたい。
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約10年ぶりに読み返した。 新装版になって一冊にまとまって、 太ましくなって読みづらくなった気がする。 非常に良かった、良かったが。 なんか尻窄み。 これだけエネルギーのある小説は無いわと思う反面 なんか物足りない。 リアリティのない生々しい夢を観ているような モヤッてる。 ...
約10年ぶりに読み返した。 新装版になって一冊にまとまって、 太ましくなって読みづらくなった気がする。 非常に良かった、良かったが。 なんか尻窄み。 これだけエネルギーのある小説は無いわと思う反面 なんか物足りない。 リアリティのない生々しい夢を観ているような モヤッてる。 キクが復活するシーンの爽快感と 気道に海水が流れこんでくる絶望感が最高。
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