映画大臣 の商品レビュー
歴史的に重要な事実を操作した記録っとしてのドイツ戦争週間ニュースは、ナチが自由に扱うことができたプロパガンダ手段のうちで、しばらくは最も効果的なものであった。デマゴギーにおる攻撃力、映像の真正性が持つ暗示力、入念に作曲され、アフレコされた音響、作用抜群の音楽効果、そして革命的技術...
歴史的に重要な事実を操作した記録っとしてのドイツ戦争週間ニュースは、ナチが自由に扱うことができたプロパガンダ手段のうちで、しばらくは最も効果的なものであった。デマゴギーにおる攻撃力、映像の真正性が持つ暗示力、入念に作曲され、アフレコされた音響、作用抜群の音楽効果、そして革命的技術、これら全てがニュース映画として繰り出されていくプロパガンダ・フィルムを連合国側のニュースに比べはるかに勝ったものとしていた。戦況の報告、すなわち館内の客席からの戦争体験は、ことに故郷では戦争がまだまだ実感できるものでなかった時期には、多くの映画作品よりも人気を博した。国防軍が常に大勝利を続けているというフィクションは、こうした週間ニュースを通して現実そのものとなった。いや初めて真に体験可能なものとなった 。ヒトラーの週間ニュースについての評価がゲッペルスと異なっていた場合もある。ヒトラーはゲッペルスがどちらかと言えば弱いと感じたような号をも称賛したようだ。ヒトラーは週間ニュースの美学的あるいは劇作法上の完結性よりも妥協のないプロパガンダ的主題を重視した。開戦後最初の「反ボルチェヴィズム的」週間ニュース、レンベルグにおいて赤軍の民間犠牲となったウクライナ人の人々に対するモンタージュやコメントを巧みに施したいわゆる残虐シーン(ゲッペルスにしてみれば「真に映画とプロパガンダの芸術作品」)を含む号は田立にヒトラーに大きな感銘をもって受け止められた。そのことから彼は次号にもさらに同じように残虐なシーンを要求したが、他方ゲッペルスは明らかに、ある種のためらいを持ち、「ロシアで戦っている兵士の家族がこうした映像から不安の念を抱かない」ようにした。次号の週間ニュースには若干の反ユダヤ的主題が含まれていたが、レンベルグの映像に関してのヒトラーの望みは、ひょっとして観客の反応を見るためだったかもしれないが、次々号まで延ばしてようやっく叶えられた 。
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