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原爆の父オッペンハイマーと水爆の父テラー の商品レビュー

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2023/12/01

オッペンハイマーがロスアラモス研究所の所長となり、原爆を製造、広島、長崎に原爆を投下するところまでが前半部となる。彼の幼少時代や学生時代についての記述はほとんどなく、その点で言えば『オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか』の方が充実している。逆にこちらは原爆を投下し...

オッペンハイマーがロスアラモス研究所の所長となり、原爆を製造、広島、長崎に原爆を投下するところまでが前半部となる。彼の幼少時代や学生時代についての記述はほとんどなく、その点で言えば『オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか』の方が充実している。逆にこちらは原爆を投下したことで罪の意識に苛まれ、ソ連のスパイ容疑をかけられる部分をしっかり書いている。政府や科学者など原爆製造と使用に関わった人たちの証言が多く、オッペンハイマーの人柄や考え方がどういった方向を向いていたのかを理解する助けになるだろう。 後半からは「水爆」に話の軸が移っていき、テラーがどのような方針で水爆実験を進めていったかが綴られている。右翼化の傾向にあったテラーは「スター・ウォーズ計画」というアメリカ本土へ向けて飛来する弾道ミサイルを、ミサイルやレールガンなどを搭載した人工衛星によって迎撃する計画を推し進めていく。二人の人生がどこで重なり、どう袂が別れていったのか。「原爆の父」と「水爆の父」二人の姿勢を解きほぐしていく。 全体的にあっさりめの記述が多いため、さくさく読み進められるが、いまいち深い部分まで書ききれていないのがちょっと不満。著者がどういう方向を向いているのかを、意図的になのかどうかわからないけど書いていないため、客観性はあるものの読み物としては平凡な出来だし。見方を変えれば『オッペンハイマー 原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか』で書かれていなかった部分を補完してくれる本ではある。

Posted byブクログ