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トロムソコラージュ の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2010/04/30

表題作はノルウェーのトロムソで書かれたもので、見開きの右ページが写真や絵、左ページは詩というふうにコラボになっている。繰り返される『私は立ち止まらないよ』という一節がここにとどまることのないこととして力強く響く。 収められている詩は長編で、詩でありながら物語を読んでいるようだ。「...

表題作はノルウェーのトロムソで書かれたもので、見開きの右ページが写真や絵、左ページは詩というふうにコラボになっている。繰り返される『私は立ち止まらないよ』という一節がここにとどまることのないこととして力強く響く。 収められている詩は長編で、詩でありながら物語を読んでいるようだ。「問う男」でも繰り返される問いのリズムが心地よく、次へ次へと追う様に読んでしまう。 全体的に死生観が色濃く出ている。

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2010/09/30

啓蒙でも人生の応援歌でもないけど、 この人の言葉で生きていけるような気がする。 「絵七日」は絵を描く人には読んでほしいな。 いいイメージです。

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2009/12/20

この人の頭の中のことばを何も変換せずに(しているのかもしれないけれど)そのままわたしの目の前に出されているようなことばの羅列は本当に意味がわからずイライラするほどなのだけど、有名な「朝のリレー」のように物語に変換(?)されているものは本当に素晴らしい。よってこの本の中では物語にな...

この人の頭の中のことばを何も変換せずに(しているのかもしれないけれど)そのままわたしの目の前に出されているようなことばの羅列は本当に意味がわからずイライラするほどなのだけど、有名な「朝のリレー」のように物語に変換(?)されているものは本当に素晴らしい。よってこの本の中では物語になっている「臨死船」と「詩人の墓」はとても好きだった。 著者が撮った写真も載っていて、それはこの本の詩や話の中の1場面なのかもしれないし、そうではないのかもしれないけれど、その写真を見て、近くのモノを見て遠くに想いを馳せる人なのかなと思った。

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2009/11/25

詩と物語の中間のような、でも詩なんだろうなあという感じの作品集。心の中にある部分を詩が描き出すようで、読んでいると自分と対話しているような錯覚に陥る。 時間というものを、詩の中で効果的に利用して、時が経つことによって何かが変わるのに、感性を使わず何も動こうとしない現代の人間への危...

詩と物語の中間のような、でも詩なんだろうなあという感じの作品集。心の中にある部分を詩が描き出すようで、読んでいると自分と対話しているような錯覚に陥る。 時間というものを、詩の中で効果的に利用して、時が経つことによって何かが変わるのに、感性を使わず何も動こうとしない現代の人間への危機感のようなものを感じた。自分っていったいどんなものなんだろうか。そういう事を言葉で表す詩人のプライド。「私は負けないよ。社会になんか負けないよ。」自分だけを信じて、誰でもない自分オリジナルなものをつくること、孤独な戦いを行っていくのは、苦しい。「立ち止まってはいません」自分でパフォーマンスを出し続ける事へのプレッシャーなのだろうか。孤高の詩人の生き様が少しわかったような気がした。

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2009/10/07

谷川さんは、詩人という枠に捉われることなく、幅広い作品を発表していますが、あとがきでも書かれているように長編詩というのは少ないと思います。 過去に、散文詩に挑んだ作品もありますが、この詩集とは趣を異にしています。 もちろん、詩の良し悪しは長さではありませんし、その物語性でも...

谷川さんは、詩人という枠に捉われることなく、幅広い作品を発表していますが、あとがきでも書かれているように長編詩というのは少ないと思います。 過去に、散文詩に挑んだ作品もありますが、この詩集とは趣を異にしています。 もちろん、詩の良し悪しは長さではありませんし、その物語性でもありませんので、それだけで評価することはありません。 ただ、長年、詩を書き続けてきて、それでも新しいことに挑戦し続ける姿勢は、それだけで凄いと思います。 「私は立ち止まらないよ」 まさに、書き出しの1行は、決意表明なのかもしれません。 そして、フォーマットは変わったとしても、収録された作品は谷川さんらしさに満ち溢れた作品ばかりです。 「ことばあそびうた」のような部分も楽しいですし、写真も素敵です。 繰り返し読むと、さらに良さがわかってくるかもしれません。

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2010/05/25

日本語、というコトバを極めすぎて、写実をとおりこして抽象へと表現を変えていったピカソのごとく。とくに冒頭の詩(?)などはまさにコトバのコラージュ。おなじくノルウェーのトロムソで撮影された写真も挟まれて。うーん。。でもこの冒頭の詩(?)に関しては、「正直意味わかんない。」 写真のコ...

日本語、というコトバを極めすぎて、写実をとおりこして抽象へと表現を変えていったピカソのごとく。とくに冒頭の詩(?)などはまさにコトバのコラージュ。おなじくノルウェーのトロムソで撮影された写真も挟まれて。うーん。。でもこの冒頭の詩(?)に関しては、「正直意味わかんない。」 写真のコラージュは、せめてああきれいだな、とか切り取られた被写体から、撮った人がそれを撮りたいとおもったキモチなんかをなんかちょっと感じたりはしやすい、んだろうけど、おなじ目から入って脳に行く経路だけどコトバのコラージュ、というのは、他人の無意識のなかに放り込まれたようできもちわるかった。コトバの天才谷川さんが書いたこの詩のなかに、私が思いつきの一文をどこかに忍ばせたとして、さて、素人が入れたのはどの一文でしょう?ってクイズにしたら、どんな国語学の権威でもそうそう当たんないと思う。でも、人に読ませようというんでなく、潜在意識のあたりにあるものをぐいっとひっぱって目に見えるコトバにしてしまうとこういう羅列になるのかな、なんて想像はしてみたり。「問う男」も不思議な話(詩というより話だよね)ほぼ日刊イトイ新聞の片隅に連載された、ということだけど。。これは通して読まないと断片的に読んでもどうかなぁ。「絵七日」はなんか夢十夜を思い出させるものがあった。「臨死船」はいちばん好き、人生とか世界の終末観が漂うものには無条件に持っていかれる。死後ってこういうとこに意識がいくのかなぁ、やっぱ。あれこれ思いめぐらせる余韻がある作品。「詩人の墓」へのエピタフ、のほうは以前どこかで読んだ記憶があるんだけど。エピタフとはつまり墓碑で、この短い詩のもとになった詩人の話が「詩人の墓」なのかな。切り絵のように幻想的な情景が頭に浮かぶ。詩を語れるほどコトバのことなにもわかっちゃいないんだけれど、谷川さんというフィルターを通り抜けてここに並ぶコトバたちには、なんというか、音楽的な美しさを感じるのです、いつも。

Posted byブクログ