トロムソコラージュ の商品レビュー
谷川さんの長い詩の幾つかで構成された珍しい詩集。 まるで世界旅行。 そして美しい天上の川を渡る私の目線。 詩を書くことしかできなかった、それだけをし続けた詩人の愛、彼は詩に愛され、そして詩を受け入れたんだな。それを愛されたのだから、もう残す言葉はなかったはずだ。 長くなっても、谷...
谷川さんの長い詩の幾つかで構成された珍しい詩集。 まるで世界旅行。 そして美しい天上の川を渡る私の目線。 詩を書くことしかできなかった、それだけをし続けた詩人の愛、彼は詩に愛され、そして詩を受け入れたんだな。それを愛されたのだから、もう残す言葉はなかったはずだ。 長くなっても、谷川さんの詩は谷川さんの詩だ。
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『絵七日』 媒けた古風な額縁に入っている 少しかしいで漆喰壁にかかっている なんの変哲もない油絵です 赤土の無人の切り通しに 陽が照っているんだかいないんだか 左右から丈高い草が道にうなだれて そんな絵の中に気がついたら 水曜日 彼は入ってしまっていたんです よくある話ですが ・・・
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貨幣は一個の物だが その働きは波動だ 理性はともすれば粒子化しようとするが 本来は波動だ 君は考えるだけか? ノルウェー北部に位置する都市トロムソの旅を収めたもの。問いがたくさん生まれてくる。そこから紡ぎ出てくる散文詩。断片的な心情や観察のモザイク。ストーリーが見えかくれし、スパ...
貨幣は一個の物だが その働きは波動だ 理性はともすれば粒子化しようとするが 本来は波動だ 君は考えるだけか? ノルウェー北部に位置する都市トロムソの旅を収めたもの。問いがたくさん生まれてくる。そこから紡ぎ出てくる散文詩。断片的な心情や観察のモザイク。ストーリーが見えかくれし、スパイスになっている。 「私は立ち止まらないよ」 からはじまる詩集は、最後までぼくを惹き付けた。 声を立てずに泣き始めた女を 年下の恋人はなすすべもなく見守っている
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私は立ち止まらないよ のリフレイン これを文字文学の詩ではなく 朗読や音楽の台本や楽譜だと思った 絵画は止まり、音楽は生きている 別の所で 日本から渡航したばかりで、日本の気ぜわしさが残っていたと谷川さんが書いていたなあ iPhoneで談志の駱駝を聞きながらページをめくっていたら、サボテンと恋人が出てきて、あれは恋人の方の台詞だろうか、ピアノ教師だったからピアノは聞かない、落語をiPodで聞いているとびっくり そういう詩でもあるんだなあ
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表題作「トロムソコラージュ」。トロムソとはノルウェー北部の都市である。そこで断片的心象や観察をモザイクで、その土地で撮った写真もひとつの要素になっているという。この詩は、ことば遊びが結構あるのだが、単なる遊び=モザイクなだけでなく、ひとつの意味合いをもって迫ってくるところがとても...
表題作「トロムソコラージュ」。トロムソとはノルウェー北部の都市である。そこで断片的心象や観察をモザイクで、その土地で撮った写真もひとつの要素になっているという。この詩は、ことば遊びが結構あるのだが、単なる遊び=モザイクなだけでなく、ひとつの意味合いをもって迫ってくるところがとてもすばらしい。 他、「詩人の墓」という詩。詩人の言葉と日常の言葉は不可分である。しかし、詩人が孤独であったとき、恋人に出会う。詩人は恋人にかけてあげる言葉がなかった時の、さらに深遠なる孤独と向き合うことのなんともいえない“譚詩 (バラード)”を感じ、感涙するのだ。詩人は死ぬ。必ず死ぬ。その時彼が無名で、詩人として残した言葉は一体どうなるのだろうか? ぞっとするものである。
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「ジャズのアドリブのような」という惹句がまさに言い得て妙の長編詩。「私は立ち止まらないよ」という主題を、ときに軽妙に、ときに皮肉に、北緯69度のノルウェーのちいさな町で闊達に「吹き」まくる。そしてすべてのフレーズは、マンガのような吹き出しに包まれて、北極圏の蒼い夜空をぷかぷか漂っ...
「ジャズのアドリブのような」という惹句がまさに言い得て妙の長編詩。「私は立ち止まらないよ」という主題を、ときに軽妙に、ときに皮肉に、北緯69度のノルウェーのちいさな町で闊達に「吹き」まくる。そしてすべてのフレーズは、マンガのような吹き出しに包まれて、北極圏の蒼い夜空をぷかぷか漂っては消えてゆく。
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読後に押し寄せる言葉の波が、詩人の思いに乗せて直にやってくる。 その波は大きくなく細波で、砂浜や岩場に海水が染み入るように、僕の心にも静かにゆっくりと染み入る。 その感覚がとても心地良かった。 言葉は永遠のようであり、個々の記憶の中では一過性のものに過ぎないのだと思う。 そして...
読後に押し寄せる言葉の波が、詩人の思いに乗せて直にやってくる。 その波は大きくなく細波で、砂浜や岩場に海水が染み入るように、僕の心にも静かにゆっくりと染み入る。 その感覚がとても心地良かった。 言葉は永遠のようであり、個々の記憶の中では一過性のものに過ぎないのだと思う。 そしてこの詩集とも一過性の出会いに過ぎないのだ。 だからこそ何度でも読みたいし刻みたい。 それが読む者の感謝なのだろう。
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金子光晴、中原中也、寺山修司、谷川俊太郎に出会えた幸運。 しかもみんな15歳とかそのくらいの多感な時期でありました。
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「トロムソコラージュ」はまさしく言葉のコラージュ。 小さな切れ端があぶくみたいにぷつぷつとはじける。 心の中のつぶやきそのもの。 (10.10.22) 図書館(10.10.18)
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翻訳はいくつか読んだことがあったけど詩は初めて。物語のような不思議な詩だった。表題作に添えられた写真もお洒落で良い。
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