渚にて 人類最後の日 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
局地紛争から発展した全面核戦争によって、北半球の世界は致死量をはるかに超える放射能が覆い、やがてそれは人々がわずかに生き残る南半球のオーストラリアに忍び寄りつつあった。その最期の時の数ヶ月間、人々はどのように生き、そして死に向き合ったのかを描いた、SFの傑作。 今となっては第三次世界大戦による人類滅亡など、非常に可能性は低くなったけど、この小説が描かれた当時はまだキューバ危機も起こる前夜で、東西両陣営が競って核兵器を増強していた時代。この小説に描かれていた危機感は非常にリアルな恐怖だったんだろうと思う。 残り僅かになった自分達の人生を、少しでも充実したものにしようともがき、楽しみ、そして死に直面しつつも冷静に受け入れていく人々の姿に、自分も同じ状況になったら今日何をするのか、真剣に考えさせられる話でした。自分はとりあえず、ヨーロッパや香港・台湾を旅行して、あと、英語とテニスがしっかりできるようになるまでは死ねない・・・。
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冷戦時代、核戦争後の世界を最期に残されたオーストラリアを舞台に描いた名作 SF小説の新訳。大好きな小説で、ちょうどオーストラリアに向かう空港の書店で見つけたので再読。やはりいい。単なる戦争批判でもなく、最期の時を迎えた人類の生き様を淡々と描く。ほとんどパニックに陥ることもなく、人...
冷戦時代、核戦争後の世界を最期に残されたオーストラリアを舞台に描いた名作 SF小説の新訳。大好きな小説で、ちょうどオーストラリアに向かう空港の書店で見つけたので再読。やはりいい。単なる戦争批判でもなく、最期の時を迎えた人類の生き様を淡々と描く。ほとんどパニックに陥ることもなく、人を愛し、家族や友人を思い、死を迎える。人間の愚かさと人間の精神の貴さの両面。しみじみとした読後感は変わらない。人類の滅亡する様を描いた悲しいはずの小説なのに、僕は最期を迎える人間達の矜恃、誇り、愛情といったものにすごく救われた気分になる。開高健氏がよく色紙に書いていた「明日、世界が滅びるとしても、今日、あなたはリンゴの木を植える」と言う言葉を思い出す。今回も涙。
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これも終末ものであるが,人間精神の勝利を歌う.若干センチメンタルでもあるが死を扱うぶん,シェイクスピア的な荘厳さがある.コンサバ.
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その時が来たら死ななければならない。 だが、体が健康でいるうちは楽観的に生きようとする。 来年の計画を立てる。 淡々といつもどおりに日常を過ごす。 だが、死と闘わず。 のた打ち回って、命尽きるまで生きない。
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