部長！ワイシャツからランニングがすけてます の商品レビュー

ドン小西【著】

2011/11/03

本書を、ファッションのことを教えてくれる本だと思って読んだら、きっとガッカリするだろう。

本書はお洒落指南書というより、お笑いファッション・ウォッチ本と割り切って読むくらいでないといけないと思う。少なくとも、ファッションに関心の高い人が読むと肩透かしをくらう羽目に陥る。

対象はファッション感度の低い、ダサいおやじ。

ファッションは、最小の努力で最大の効果を得られるビジネスツールだと説く。だから、ダサい格好をしていると、貧乏神が寄って来るばかりで、福の神は逃げ出すばかりだよと言うのだ。
ここはその通りだと、納得できる。でも、取り立てていまさらという感も否めない。

そんな調子で始まり、いい例・悪い例を写真入りでわかり易く示し、そこに批評やアドバイスを加えていく。
陥りがちな失敗パターンは、ご丁寧にもイラスト入りで分類し、注意を促している。でもここも勉強になるというよりは、笑えるところ。いるいる、こんな人、という感じなのである。

結局、「じゃあ、どうすればいいんだ？」ということだが、具体的な教えはとても少ない。本書はその最も大事な部分が薄いのだ。

ちなみに良い例はオバマ大統領だそうだが、その理由もかなり抽象的な説明に終始している。
小西さんの言うところの、「ダサいおやじ」にその解説では分かりにくいんじゃない？　そう思った。もっと具体的で即実践可能な内容じゃないと。やはり、ファッション・デザイナーは感性の人で、論理的な文章を書くには無理があるようだ。

よく考えてみてほしい。ダサい格好のおやじと接しているのは、やはりダサい人たちである割合が高いから、小西さんほどの極度の嫌悪感を持たないはず。格好悪いとはわかっていても、具体的に何がどう悪いのかわかっていない人たちに、この書き方では理解してもらえないし、説得力にも欠ける。

ドン小西さんは、バブル期にかなり注目を浴びたデザイナー。
私も好きで、よく店を覗いた。ただ、買えなかった。当時セーターがほしかったのだが、5〜10万円くらいしたから。ビートたけしも着ていた、小西さん得意のニットは素晴らしく魅力的だった。芸術的でさえあった。
あれから、四半世紀。その小西さんが変なおやじになっている。ファッション・ウォッチャーとして人気らしいが、キワモノ・タレントに近いと聞いてテレビを見てみたら……。

それでも、本書にはファッションに対する情熱が溢れているのだろうと読んでみたが、期待を裏切る内容。
ご本人があとがきに書いている。百万回は浴びせられた罵声だそうだ。

「まずはおまえをチェックしろ！」

残念だが、その通りだと思う。

2009/10/04

辛口ファッションチェックでおなじみの、ドン小西の、最近の政治家ファッションチェックからファッションの与える印象を説き、
ダサイおやじファッションの改革に熱弁を振るう一冊。

題名のつけ方がうまいなあ。
普通に面白い軽い本です。

「自分を知り、より良い自分をアピールする、これがファッションの正しい使い道」