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限りなく透明に近いブルー の商品レビュー

3.2

326件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

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  3. 3つ

    101

  4. 2つ

    45

  5. 1つ

    19

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2024/07/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに再読したが、文体の勢いや破滅的な印象の一方で、かなり構造が緻密に練られているなと思った。虫を潰すことが繰り返し描かれることとか。特に、終盤の潰した蛾を投げて、拾い上げるところが印象的。虫はリュウを象徴していると言えるのかも。 あとは、結末の一文がすごいよなあ。鳥に影を落とすのは、黒い鳥を逆に自分が取り込みたいという願望の現れ? でもそれが黒ではなく「灰色の鳥」であることがその願望の不可能性を暗示しているのかなと思ったり。 あとは、痛みを痛みで忘れる話なのかなと思う。で、黒い鳥にも例えられる町が、痛みの象徴とも言えるガラスを通した時に希望の象徴として立ち現れるという逆転がおもしろい。退廃的な生活を描くこと自体が目的なのではなくて、そうすることでしか誤魔化せない痛みと、それを突き抜けた先にある救いのようなものを描いているように思った。

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2024/07/17

難しかった、スティーヴン・キングが言う"テレパシー"の連続で頭がクラクラした 目の前で起きていることをずっと客観的に見ている人に惹かれるなと気づいた

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2024/07/14

新装版が出ていることを知らず、20年ぶりに読んでみた。当時はあまり記憶に残らなかった。 が、今回は、 混沌とした情景がここまで言語化できること、 自分の知らない世界が同じ東京にあることに驚いた。 そして何よりこれをハタチで書いたという村上龍がすごい。 現実と幻覚を行ったり来たりす...

新装版が出ていることを知らず、20年ぶりに読んでみた。当時はあまり記憶に残らなかった。 が、今回は、 混沌とした情景がここまで言語化できること、 自分の知らない世界が同じ東京にあることに驚いた。 そして何よりこれをハタチで書いたという村上龍がすごい。 現実と幻覚を行ったり来たりするのが新鮮だった。

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2024/07/01

ドラッグ&セックス書くと格好よく聞こえるが、麻薬と乱交が日常生活に存在した米軍基地近くの若者の生活を描いた小説。 言語化する力が凄すぎるのはよく分かるが、内容はよく分からなかった。何々している、見える、など現在形の文章が、トリップしているはずの主人公の感情が冷たく伝わる。

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2024/06/30

読み終わったあと、パッと思い出せたのは 「この中ではサブローのペニスが一番でかい」 みたいな描写で、それはこの物語の中ではどうでもいいことのはずだった。 文庫本157頁中150頁は、セックスかドラッグか暴力をキメる小説。そんな体感だった。急な場面転換と酩酊状態、血と内臓の赤、虫...

読み終わったあと、パッと思い出せたのは 「この中ではサブローのペニスが一番でかい」 みたいな描写で、それはこの物語の中ではどうでもいいことのはずだった。 文庫本157頁中150頁は、セックスかドラッグか暴力をキメる小説。そんな体感だった。急な場面転換と酩酊状態、血と内臓の赤、虫の黒、打撲痕の紫と緑、嘔吐の白……場面と色彩が目まぐるしく変わって、まるで廻るメリーゴーランドの上で文章を読んでいるかのように、こちらまでクラクラと酔ってしまった。 なんでそうなったのか、誰が誰なのか、いつからお前はいるのか、まったく分からない。理性というものを完全に無くしてしまえば、どんな不条理も受け入れられる寛容さが身につくのだと、変な悟りさえ得てしまったくらいだ。でも、この本を通読して分かった。この小説は、主人公 リュウの“目”なのだ。 “p.72 あなた何かを見よう見ようってしてるのよ、まるで記録しておいて後でその研究をする学者みたいにさあ。ねぇ、赤ちゃんみたいに物を見ちゃだめよ” ⁡リュウの眼前では、様々な暴力・性暴力が起きる。その丁寧な描写は、読む私たちも傷つけてくる。そのことは同時に、リュウの心を麻痺させてしまうくらい、隅から隅まで克明にその“目”で見ていたことを証明している。 ーこの小説が発売された当時、「これが現代の若者だ!」と騒がれたそうだ。この小説は、いわばリュウの“目”の追体験ともいえるが、それを目にした私は、性と暴力とドラッグにまみれる世界が快楽だとは思えなかった。ある種の地獄のようにも見えた。ー ラスト。リュウは、その混沌とした“目”のなかに、救いともいえるような純粋な色を見つける。限りなく透明に近いブルー。なんでも通し、なんでも映すその色は、リュウにとっても、読者にとっても、光のようにうつった。

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2024/06/17

冒頭はなんだこの吐き気のする文章は!と思ったが、上手いので読めてしまうし、ラストシーンが美しすぎた。春樹より断然龍の方がいい。可愛いから。

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2024/06/14

性、ドラッグ、暴力、爆発的なカオス。活字を読むという感覚ではなく、何かと戦っているような感覚に陥る。本という枠に収まらないエネルギーを感じるが、そのエネルギーをあえて文字という制限と想像のある媒体で表現している。面白い本。

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2024/06/03

分からないなりに続けて2度読んだ。性と暴力とドラッグと嘔吐…(のリピートリピートリピート)全て目を背けたくなる事ずくめだけれど、むしろ嫌悪感の方が勝つけれど、でも何故だろうラストに一筋の光みたいなものを微かに感じる作品。(全くうまく言えてない感想) もっと深掘りしたらもっともっと...

分からないなりに続けて2度読んだ。性と暴力とドラッグと嘔吐…(のリピートリピートリピート)全て目を背けたくなる事ずくめだけれど、むしろ嫌悪感の方が勝つけれど、でも何故だろうラストに一筋の光みたいなものを微かに感じる作品。(全くうまく言えてない感想) もっと深掘りしたらもっともっと色々発見できそう。(現在は読み手の実力不足)

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2024/05/25

正直、全体を通して何を伝えたいのかよく分からなかった。薬物に依存する登場人物達の葛藤を通して、人間の心の脆弱さに迫ろうとしたのか。 リュウは、見たものに対して好きとか、嫌いとかダイレクトに表現するのではなく、鳥とか海中都市等、比喩的に例えて表現する。その表現力がとても魅力的で、...

正直、全体を通して何を伝えたいのかよく分からなかった。薬物に依存する登場人物達の葛藤を通して、人間の心の脆弱さに迫ろうとしたのか。 リュウは、見たものに対して好きとか、嫌いとかダイレクトに表現するのではなく、鳥とか海中都市等、比喩的に例えて表現する。その表現力がとても魅力的で、支離滅裂な話でありながら、惹かれてしまった。 Creepy nutsの曲の歌詞を借りるなら、「詩的で、繊細で、トチ狂っている」作品と思った。

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2024/05/18

前半、リュウの気もちが描かれずに進んでいるのが不思議だった。後半リュウが何を感じ考えていたのかが描かれてきて、ようやくこの小説が何を伝えようとしていたのかを知ることができた。綿矢さんの解説も分かりやすかった。それにしても、この本が当時ベストセラーになったというのが驚き。みんなどん...

前半、リュウの気もちが描かれずに進んでいるのが不思議だった。後半リュウが何を感じ考えていたのかが描かれてきて、ようやくこの小説が何を伝えようとしていたのかを知ることができた。綿矢さんの解説も分かりやすかった。それにしても、この本が当時ベストセラーになったというのが驚き。みんなどんな風に読んでいたのかなぁ

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