不毛地帯(4) の商品レビュー
「実は、君を専務に昇格させるのには、わしもそういう方面のことも含めて、いろいろ考えに考えた末、決断したことや、最後に決断に至ったのは、何やと思う?」 「全く見当がつきかねます」と応えると、大門は、 「壱岐君、君にやったら、騙されてもかまへんということや」 「私が社長を騙す?そんな...
「実は、君を専務に昇格させるのには、わしもそういう方面のことも含めて、いろいろ考えに考えた末、決断したことや、最後に決断に至ったのは、何やと思う?」 「全く見当がつきかねます」と応えると、大門は、 「壱岐君、君にやったら、騙されてもかまへんということや」 「私が社長を騙す?そんなことありようはずが…」 「君は次期社長有力候補の最右翼というわけや、わしとの距離が近くなればなるほど、今は考えてもいないことを考えるかもしれん、実力があればあるほど、男というものは、思わんことを考えるもんや」 君になら騙されても仕方がないと云いながら、大門は底知れぬ力量を持った壱岐を危惧し、改めて忠誠を誓わせたのだった。 中東の乏しさは、苛烈な自然が人を押し潰しているようだったが、東南アジアの乏しさは、人が人の下で喘いでいる乏しさであった。
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壱岐さん、いつの間にこんな人脈が?というのが続き、ブラックな側面も書き切ってくれるあたりにとても人間味を感じさせる。
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専務に昇格した壱岐。フォーク、千代田の提携交渉は足元を見られ、東京商事の鮫島に油揚げをさらわれてしまう。次に用意された舞台はイランの油田開発。近畿商事の実質ナンバー2として、社内だけでなく政界にも元参謀の経験をもとに切り込んでいく壱岐の今後に期待。このシリーズ、読むにつれ壱岐はカラチ、テヘラン、ナイロビで苦労を重ねた「沈まぬ太陽」の恩地を思い起こさせ、何事もスマートにこなす鮫島は同作品の行天四郎を連想させる。最後に壱岐、鮫島の2人にはどのような結末が待っているのか。
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中東のオイルビジネスと物語の舞台とスケールがどんどん大きくなり、読み応えが増してくる。商社マンとして国益とも言える大きなプロジェクトに臨む振る舞いや周到な準備、根回しなど生々しく迫力もあった。最終巻でどういうエンディングになるか楽しみである。
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『不毛地帯』第4巻 妻・佳子を不慮の事故で失い、単身、アメリカへ行き、アメリカ近畿商事の社長となった、壱岐正。 アメリカ自動車メーカー・フォークと千代田自動車との提携に奔走するが… 副社長・里井により、担当を外される… 資源に乏しい日本の先々を考え、原油を確保する道を探して...
『不毛地帯』第4巻 妻・佳子を不慮の事故で失い、単身、アメリカへ行き、アメリカ近畿商事の社長となった、壱岐正。 アメリカ自動車メーカー・フォークと千代田自動車との提携に奔走するが… 副社長・里井により、担当を外される… 資源に乏しい日本の先々を考え、原油を確保する道を探していた… フォークと千代田との提携は、東京商事・鮫島の暗躍によって… 副社長・里井の壱岐への嫉妬はみっともない。 壱岐にまかせておけば… 自らの功としようとするばかりに、壱岐の意見を聞き入れなかったために。 昭和の会社とはこんなものなんだろうか⁇ 息子・誠の壱岐への態度は受け入れられない。 シベリア抑留中のことも、近畿商事入社後の時期戦闘機導入戦でのことも… 壱岐がしてきたことは何も知らないではないか… 近畿商事で働き続けていることだって… 川又が亡くなって、1番苦しんだのは、壱岐なのに。 家族のためを思い、昼夜働き続けてきた父に感謝すべきだろう。 父の想いをわかろうとしてほしい。 最後にはわかりあえるのだろうか、壱岐と誠は… 昭和の時代とはいえ、突然、家を訪れたり、近くまで来て電話をしたり、もう少し相手に対して、配慮があってもいいと思うが… 千里とはどうなるんだろう… しかし、長かった… が、面白い。 いよいよ最終巻。 最後は、壱岐がすべて商戦を勝ち抜き、スカッと終わって欲しい。
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舞台が中東になって、話がどんどんデカくなり、かつ、これまで以上に利権も複雑で厄介になり、信念やモラルに野心と政治とお金と個人的感情とがグデグデに絡み合っている中をなんとかして出し抜こうとするお話。まあ言ってみればオスの縄張り争いの延長なんだけど、とにかくタイヘン。各方面の意見調整...
舞台が中東になって、話がどんどんデカくなり、かつ、これまで以上に利権も複雑で厄介になり、信念やモラルに野心と政治とお金と個人的感情とがグデグデに絡み合っている中をなんとかして出し抜こうとするお話。まあ言ってみればオスの縄張り争いの延長なんだけど、とにかくタイヘン。各方面の意見調整の様子は、渋いタヌキじじい的工作とアクロバティックな離れ業とのミックスで、しびれます。 こんな仕事してたら、ワークライフバランスとか、男女平等とか子育てがどーとか絶対言ってられないね~。ハハ。(←完全に他人事) 商社の人たちって、1泊3日でヨーロッパ出張とか行って、朝日本に戻ってきてその足で出社とかのハードスケジュールも全くないわけじゃないとか聞くけど、そもそも体力の劣る女子にはハードル高い仕事ですね。 エネルギーがどんなに大事か、そして日本にとってその確保がどんなに大変か、ということを読んでいてひしひしと感じて、胸が苦しくなった。 そういうことを普段まったく考えずに当たり前に電気やガスを使って暮らしている人が(私もそうだけど)多すぎるだけに、無理解が招く問題も多そう。さらにお金が招く嫌な人間関係もとっても多そう。 大変な仕事です。 前巻で、朔風会元ソ連抑留者の会で献身的に働く谷川大佐が「今のように物資は豊かでも、精神的な不毛の中に生きる方が、生き辛いと話し合っていたんだ」と言うシーンがあったが、「不毛地帯」というタイトル、実に含みがあって、商社マンの生きざまを描いたこの小説には非常にふさわしいと思う。 読む前は、単純に砂漠の中の油田のことを指しているのかと思っていたけど。 いやしかし、よくこんな話書けるなあ。戦闘機から自動車産業の再編からオイルマネーまで、それぞれに別々に膨大な取材が必要じゃないかと思う。彼らのおかれた状況や背景のいちいちが私にとっては未知のことだらけで、非常に興味深いです。 あ、そうそう、前巻でとかく目障りだった陶芸家の女だが、やっと手に入れた壹岐という男は、はっきり言って付き合って楽しい男では全然ないということが分かってきて、しかも日陰の女扱いをされるのが不満で(当たり前だ)、なにかとイラついていて、ちょっと意外な展開で笑ってしまった。 かわいそうと言えばかわいそうだけど、勝手に横恋慕しておきながら、奥さんとニアミスした時にものすごく嫌な態度をとっていた器の小さい女なので、まあしばらくは苦しめばよかろう!笑 どうでもいいが、「おしゃれ」の代名詞的に出てくる「パンタロン」が完全に死語で、パンツの一種なのはなんとなく分かるが、正確にはどういう服なのか知らなくて調べてしまった。ベルボトムのことだったとは・・・・
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自動車メーカーの資本提携は、ライバルの東京商事に持っていかれ、主人公の会社は辛酸を舐める。 そして、次なるビジネスは、中東における石油開発。第二次世界大戦は石油に始まり石油に終わったため、主人公は会社の利益ももちろんのこと、国益のために石油開発に積極的に携わる覚悟を決める。 そし...
自動車メーカーの資本提携は、ライバルの東京商事に持っていかれ、主人公の会社は辛酸を舐める。 そして、次なるビジネスは、中東における石油開発。第二次世界大戦は石油に始まり石油に終わったため、主人公は会社の利益ももちろんのこと、国益のために石油開発に積極的に携わる覚悟を決める。 そして、開発のために国内の機関とは連携せず外資と資本提携を組む。 成功すれば青天井の利益が出るが、失敗すれば莫大な損失となり、会社の屋台骨を崩しかねないため、社運、命をかけた、まさにビッグビジネスである。 主人公は、これが商社での最後のビジネスと覚悟を決める。
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元軍人参謀の壹岐正が復員後巨大商社でのし上がっていく話のシリーズ4巻。 日米自動車メーカーの合弁交渉を経て石油商戦へと突入して行く。壹岐も専務へ昇進し近畿商事No.3となりニューヨークから東京本社へ転勤する。
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山崎豊子「不毛地帯 4」、2009.3発行、557頁。第4巻は自動車、石油に関する話。壹岐正は専務に昇進、近畿商事のナンバー3に。秋津中将の娘、秋津千里との仲は進展するも壹岐の態度は煮え切らず。娘や息子、社員などに2人のことを隠そうとする姿勢が。千里への思いやりが感じられないし、自分勝手。仕事に関しては決断力があるが、女性に関してはぐずぐずしてダメな男に設定されている。次の最終5巻でどうなるのか・・・。
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自動車編からいよいよクライマックスの石油編へ。 実際はどうか分からないが(100%とは言えないまでもだいぶあるのだろうが)、石油というのはもろ政治だというのが率直なところ。 資源開発であるし、動くカネの膨大さからしても、まあ当然か。
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