おぱらばん の商品レビュー
これは本当にびっくりした。こんなものがありなのか、と。限りなく小説の形式で書かれているエッセイ。もしくは限りなくエッセイのように語られる小説。最初、当たり前のように短編小説集だと思って読み始めたら、エッセイの風味になってきて、どっちがどっちか分からなくなった。しかし、実体験であれ...
これは本当にびっくりした。こんなものがありなのか、と。限りなく小説の形式で書かれているエッセイ。もしくは限りなくエッセイのように語られる小説。最初、当たり前のように短編小説集だと思って読み始めたら、エッセイの風味になってきて、どっちがどっちか分からなくなった。しかし、実体験であれ創作であれ、それを限りなく昇華させていて、とても面白い短編集だった。時折引っかかるようなわざとらしさ、というか全体の美しい流れを損なうような一瞬を含んだ短編があって、それが残念だったのだけれど、差し置いても本当に面白くて新しい。特に表題作、おぱらばんの完成された美しさといったらまるでガラスケースに収められたフランスを見ているようで、純文学の素晴らしさというものが心を刺した。 この人がこれから日本の文学シーンでどういう立ち位置でどういう作品を発表するかはまだまだ分かりませんが、わたしはすごく注目して見ていこうとおもいます。既刊も全て読みます。
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著者のフランス滞在時のことを中心としたエッセイ。 エッセイなんだけど、小説を読んでいるときの頭?の方がビリビリ反応するような、修辞表現がてんこ盛りの文章。 ゆっくり踏みしめるように読むのがぴったり。
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エッセイ?のような短編小説のどちらでも言える文章を集めた本。著者のフランス滞在のときのエピソードを中心に感慨深い文を書いている。翻訳文体、それもフランス文学のようなまどろっこしい言い回しが面白い。異国の風景や人物など鮮やかだ。映画や小説の引用や紹介があってこれが奥行きをだしている...
エッセイ?のような短編小説のどちらでも言える文章を集めた本。著者のフランス滞在のときのエピソードを中心に感慨深い文を書いている。翻訳文体、それもフランス文学のようなまどろっこしい言い回しが面白い。異国の風景や人物など鮮やかだ。映画や小説の引用や紹介があってこれが奥行きをだしている。この本に限ったことではないが引用ってやつはうまいやり方だなと思う。
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フランスに住む中国人の間で広まっている「いつか」とか「昔」というような意味を持つ「おぱらばん」という単語。 実際にフランスではあまり耳にしないゆえに中国人を指す差別的な単語として機能してしまっている。 そんな中国人と卓球の勝負をした話や、黄色で統一された部屋に住みながらもルル...
フランスに住む中国人の間で広まっている「いつか」とか「昔」というような意味を持つ「おぱらばん」という単語。 実際にフランスではあまり耳にしないゆえに中国人を指す差別的な単語として機能してしまっている。 そんな中国人と卓球の勝負をした話や、黄色で統一された部屋に住みながらもルルーの「黄色い部屋の謎」を読んだことがない女性との交流など、フランスと日本での生活を主にフランスの小説と重ね合わせて綴られているすてきなエッセイ。 読みたい本がまた増えた。
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パリで生活してる気分になる本。 街の人々を、観察する様な見守る様な視点で、ゆっくりと綴っていく短編集。 何編か、文学だなぁとぐっと迫る話もあったけど、終わりの方は退屈してしまった。 でも読みやすい本です。
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10/5 読了。 短編集が読み進むにしたがって少しずつ肯定的な方向に「アガって」いくのはいい。「珈琲と馬鈴薯」に出てくる珈琲豆の数珠つなぎ、見てみたいなぁ。
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一つひとつの童話にも似た語義を咀嚼し意味を噛みしめおいしくいただく。楽しい言葉のパーティが開かれお茶を飲みつつ甘いお菓子を食べて思い出を作る。日本を離れ世界へ足を一歩踏み出すとそこは違う景色が広がる。考え方も宗教も生活そのものも異なるイデオロギーに頭を浸せば何が見える?われわれの...
一つひとつの童話にも似た語義を咀嚼し意味を噛みしめおいしくいただく。楽しい言葉のパーティが開かれお茶を飲みつつ甘いお菓子を食べて思い出を作る。日本を離れ世界へ足を一歩踏み出すとそこは違う景色が広がる。考え方も宗教も生活そのものも異なるイデオロギーに頭を浸せば何が見える?われわれの常識?個人の催眠?それとも幻想か。
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初堀江敏幸。とにかく文章がとても好きだった。すうぅーーっと読める感じで。ヨーロッパの街、っていう雰囲気(勝手なわたしのイメージだけど)をすごく感じるというか。なんとなく白っぽいグレーのイメージ。どれも、最初エッセイ風にはじまって、次第に、そしていつのまにか、小説家とか画家とかの話...
初堀江敏幸。とにかく文章がとても好きだった。すうぅーーっと読める感じで。ヨーロッパの街、っていう雰囲気(勝手なわたしのイメージだけど)をすごく感じるというか。なんとなく白っぽいグレーのイメージ。どれも、最初エッセイ風にはじまって、次第に、そしていつのまにか、小説家とか画家とかの話になったり、幻想小説風になったり、という感じで、わたしはエッセイ風の部分は楽しめたんだけど、そのあとの部分は、出てくる小説家や画家を情けなくもまったく知らないせいかあまり楽しめなかった。頭に入ってこないというか。唯一、ムーミンのスナフキンの話はなじみがあるだけにおもしろく読んだんだけど。でも、この著者の作品はもっと読んでみたいと思う。
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フランスの下宿で会う中国人たちの「おぱらばん」 ルーマニア女性に部屋を紹介する「BLEU,BLUES,BLEUET」 内科の待合室でジャン・ジオノの記事を読む「ドクトゥール・ウルサン」 ラルボーの影響で河馬の絵葉書を探す「留守番電話の詩人」 カルスカヤの個展を見た後の偶然「洋梨を...
フランスの下宿で会う中国人たちの「おぱらばん」 ルーマニア女性に部屋を紹介する「BLEU,BLUES,BLEUET」 内科の待合室でジャン・ジオノの記事を読む「ドクトゥール・ウルサン」 ラルボーの影響で河馬の絵葉書を探す「留守番電話の詩人」 カルスカヤの個展を見た後の偶然「洋梨を盗んだ少女」 作家志望のDが自分の作品を老人に見せた「貯水池のステンドグラス」 乱暴な主人の床屋を気に入る「床屋嫌いのパンセ」 子供の頃廃墟となった喫茶店に忍び込む「ボトルシップを燃やす」 祖父と『ビセートルの環』を重ねあわせる「音の環」 ひょんなことからベンチのある部屋を訪ねる「黄色い部屋の謎」 通訳ついでにタクシーで映像を取りに行くこととなった「クウェートの夕暮れ」 非フランス人作家という立場で部屋探しに苦労する「手数料なしで貸します」 定期券を巡るいざこざで移民たちと意気投合する「M」 聾唖の大男の店に通う「珈琲と馬鈴薯」 「やまのかいしゃ」に憧れながら詩人を思い出す「のぼりとのスナフキン」 デザイン:新潮社装丁室 フランスの町並みと雑貨と文学が折り重なったエッセイ集。 なにこのタイトル、と思うもちゃんと由来が書かれている。かわいらしい。 パリでは使用済みの誰が書いたのかもわからない絵葉書が 雑貨屋で売られているらしく不思議でしょうがない。 日本でもそういう商売ってあるのかな。 フランス語が流暢に書かれた異国の絵葉書って 日本人からすればものすごくお洒落だけど母語話者としてはどうなんだろう。 あとは「床屋嫌いのパンセ」の豪快なおじさんとか 「黄色い部屋の謎」の内装とかに惹かれました。
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2010/10購入。この作者の装丁がどれもすてきで、その中で気に入ったものを購入。ストーリーも落ち着いててよい。
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