おぱらばん の商品レビュー
15からなる短編集、の様な散文集。 作者の豊富な知識と愛から来るボーダレスな文学蘊蓄が随所に差し込まれ、随想の様な自由さを持つ作品達は、やはり散文と表現した方が良さそう。 作者の異郷での思い出がコンパクトかつ哀愁とユーモアで知的に語られ、非常に文学的満足度が高い一冊だった。
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主にフランスを舞台としたエッセイで、日常の出来事と、そこから想起される本が紹介されるスタイル。本を読む、というのはこんなふうに内面世界を豊かにするんだなあ、たくさん言葉を知るということはこんなにも美しく世界を感じられるんだなあ、と惚れ惚れする。 そこはかとないユーモアとノスタルジ...
主にフランスを舞台としたエッセイで、日常の出来事と、そこから想起される本が紹介されるスタイル。本を読む、というのはこんなふうに内面世界を豊かにするんだなあ、たくさん言葉を知るということはこんなにも美しく世界を感じられるんだなあ、と惚れ惚れする。 そこはかとないユーモアとノスタルジー、何かを失ったり、別れたりする時の、諦めめつつ愛おしむ切ない感情、など、色んな想いがよぎって心が満たされる。 特に好きなのが、「床屋のパンセ」「ボトルシップを燃やす」「のぼりとのスナフキン」。いずれも、ふと出会った人とのやりとりが面白く、切ない。 フランスの文化や社会、移民の日常など、普段日本にいては分からないことが臨場感をもって感じられるし、日本ではメジャーじゃない作家や芸術家についての話があるのも面白いところ。
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堀江敏幸、初期のエッセイのような短編小説のような散文集。 パリ暮らし時代のエピソードを中心に、人物だけでなく「街」との出会い、更にはそれらの出会いから想起される小説や絵画や映画との出会いが、淡々としつつもユーモアある筆致で語られていて読みやすい。筆者が日々の生活の中で出会った愛す...
堀江敏幸、初期のエッセイのような短編小説のような散文集。 パリ暮らし時代のエピソードを中心に、人物だけでなく「街」との出会い、更にはそれらの出会いから想起される小説や絵画や映画との出会いが、淡々としつつもユーモアある筆致で語られていて読みやすい。筆者が日々の生活の中で出会った愛すべき・記憶すべきものたち――思い入れのあるものとして大切に胸の中に保管されているそれらには、実在・創作の区別がなく、現実に起きた出来事とフィクションに描かれたエピソードとがするするとつながって記述され、「書物の中身と実生活の敷居がとつぜん消え失せて相互に浸透し、紙の上で生起した出来事と平板な日常がすっと入れ替わることがしばしばある」という筆者の”日常”あってこその独特な世界が構築されている。 どの作品も素敵だが、「床屋嫌いのパンセ」の軽妙さ、パリではなく東京郊外が舞台となっている「のぼりとのスナフキン」のほのぼのとした抒情が良かった。
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3年間ずっと同じクラスだったけど喋ったことはなくて、知ってるのは名前と顔くらい。ところが卒業間近になって共通の友だちの集まりで初めて喋ってみたらすごい気があうじゃんー、なんだよーみたいな堀江くん(ほんとは先輩だけど)。 図書館で借りたあと書店で購入。
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15編の短編集。 好き嫌いが分かれる作家だと思う、人によっては文章のリズムが心地よく、人によっては鼻持ちならなくかなと思えてくる。
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美しい、散文。 堀江さんの文学への尊敬や、書物との密接な関係に、うっとりと身を浸しながら読みました。 日常の隙間を覗くと、めくるめく文学の風景が気ままに広がって、そっと頁をとじて、日常に結ばれる。 贅沢な遠回り。壮大な道草。 蘊蓄を披瀝しているような嫌味なところはひとつもなく...
美しい、散文。 堀江さんの文学への尊敬や、書物との密接な関係に、うっとりと身を浸しながら読みました。 日常の隙間を覗くと、めくるめく文学の風景が気ままに広がって、そっと頁をとじて、日常に結ばれる。 贅沢な遠回り。壮大な道草。 蘊蓄を披瀝しているような嫌味なところはひとつもなくて、堀江さんが親しんできた文学との関係は、どこか、自分の身にも覚えがある感覚で、勝手に嬉しくなりました。 『留守番電話の詩人』 『貯水地のステンドグラス』 『のぼりとのスナフキン』 がとくに好き。 エッセイと文学の狭間にあるような、硬質な筆致。そのまま小説になりそうな、爽やかな出逢いや柔らかな偶然に満ちたエピソードたち。 静かで、ほのかな熱を帯びた文章に、惹き込まれながら読みました。 こんなに美しいのに。 でも、こんなに美しいからこその、散文。 文学の世界があるとしたら、きっと、こういう文章の中に在るのだろうと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
フランス語の翻訳家さんと認識していましたが、 エッセイもかなりお書きになるようで。パリ郊外の移民や低所得者が住む街での滞在記。個人的には「彼らとて他に行くところがないからで、好きでそんな街にいるわけじゃなし、そこへ(おそらく東京に家のある)遊民がふらっと滞在してくのって、なーんかね・・・・」って感じですが。 紹介されていた、ジョルジュ・シムノン「ビセートルの環」は面白そう。あと、ジャン=リュック・ブノジグリオっていう人の「ブラックボックス」。 オルリー空港でさまよう主人公の幾分不条理っぽい話らしい。インジケーターが電光掲示でなくソラリー式らしく。その音が。シュタバダシュタバダクラック・シュティーングシュティーング・シュタバダシュタバダクラック・・ベルベッルベルベッルシュイーング・シュタバダシュタバダクラック…読みたい!邦訳どころが英訳もなさそうですが。
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日常のエッセイを、純文学風に書くという縛りをつけて、いくつか連作した、みたいな作品だった。 流れるような文体で、静かに、時にどきどきもさせられながら進む。 映画や小説などを引用したりすることによっても、厚みが出ていると思った。 ちょっと回りくどさを感じるところもあるけど、美しい文...
日常のエッセイを、純文学風に書くという縛りをつけて、いくつか連作した、みたいな作品だった。 流れるような文体で、静かに、時にどきどきもさせられながら進む。 映画や小説などを引用したりすることによっても、厚みが出ていると思った。 ちょっと回りくどさを感じるところもあるけど、美しい文章だなぁと思う。
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最初、小説なのかエッセイなのかわからなかったが、読んでいくうちに文体にも慣れてきた。 仏文学の知識にあふれていて、気負いがなく自然に言葉が流れていて好印象だった。 小説の方にもぜひ触れてみたいです。
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パリに暮らす作者がであった様々な人々とパリの文人の足跡の織りなす物語。古く壊れゆくものを書きとめた短編集。 中国人の卓球の名手との出会い、かばの絵葉書の収集家、NYのセントラルパークの古いベンチのある黄色い部屋の婦人への届け物、陶器の燕の家で営まれる床屋、唖の素朴な農夫の売る馬...
パリに暮らす作者がであった様々な人々とパリの文人の足跡の織りなす物語。古く壊れゆくものを書きとめた短編集。 中国人の卓球の名手との出会い、かばの絵葉書の収集家、NYのセントラルパークの古いベンチのある黄色い部屋の婦人への届け物、陶器の燕の家で営まれる床屋、唖の素朴な農夫の売る馬鈴薯、友人のものした貯水池の小屋の小説と老齢の詩人。
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