紀州 の商品レビュー
著者の唯一とも言えるノンフィクション。熊野地方を1年近く旅をしたルポである。歩くのではなく車を使う。したがって行ったりきたりもする。 全編に渡って「差別」をキーとしている。和歌山はそうなのか。中にも書かれているが東北の人間にはわからない事だという。そう私には全く分からない。
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作者の魂の故郷とも言える和歌山のルポタージュ。 ぐるぐると縁の深い土地を回りながら、土着の逸話やそこに住む人々の話を、10p弱で区切った短編集形式。にも関わらず内容は重く、非常に読み進め難い。 作者の思い入れが強すぎて、あまり楽しんで読めなかった印象。ただ、故郷を通して彼の伝え...
作者の魂の故郷とも言える和歌山のルポタージュ。 ぐるぐると縁の深い土地を回りながら、土着の逸話やそこに住む人々の話を、10p弱で区切った短編集形式。にも関わらず内容は重く、非常に読み進め難い。 作者の思い入れが強すぎて、あまり楽しんで読めなかった印象。ただ、故郷を通して彼の伝えたい事・想っている事は感覚で入ってきた。他作をスムーズに読むには必読書なのかもしれない。
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中上健次と一緒に歩き、立ち止まり、考える 差別という物の怪を この国の闇の構造を この本はそのための手がかり
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枯木灘や岬を復讐するようにこのルポルタージュを読んだ。 差別、被差別の感覚は、ざらっとした感覚として持っていたけど、内面をえぐるような表現で、心を揺さぶられた。 そして、改めて島崎藤村の破戒を読みました。
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久しぶりに読んだ、中上健次。 本書は中上健次が残した唯一のルポルタージュと言われているが、読んだ感触としては私小説に近かった。この、紀州全域を回る旅路は、現実の旅でありながら、自己の内面へ、内面へと向かう旅路だったように思えてならない。 なんというか、『枯木灘』などの代表作が、小...
久しぶりに読んだ、中上健次。 本書は中上健次が残した唯一のルポルタージュと言われているが、読んだ感触としては私小説に近かった。この、紀州全域を回る旅路は、現実の旅でありながら、自己の内面へ、内面へと向かう旅路だったように思えてならない。 なんというか、『枯木灘』などの代表作が、小説という散文作品に昇華する前の、もっと生々しい部分を直に読んでいるような思いがした。
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鬼らが跋扈する「鬼」州、霊気の満ちる「気」州、中上氏の原点である紀州を巡るルポタージュである。彼が問うたのは自身の源流と紀州サーガであり、それらを霧のように包む被差別と非差別を解き解し、剥き出しの本質を探り出そうとしている。作中の突然の屠殺願望などは、中上氏のなかに眠る「濁った高...
鬼らが跋扈する「鬼」州、霊気の満ちる「気」州、中上氏の原点である紀州を巡るルポタージュである。彼が問うたのは自身の源流と紀州サーガであり、それらを霧のように包む被差別と非差別を解き解し、剥き出しの本質を探り出そうとしている。作中の突然の屠殺願望などは、中上氏のなかに眠る「濁った高貴な血」の放出なのかもしれない。 紀伊半島は紀伊山地を挟み近畿至近にありながら隔世感がある。私自身串本に観光へ行ったことがあるが勉強不足でその隣に「枯木灘」があることも知らなかった。その「路地」で育った(いわゆる部落)中上氏は、紀州の溜へ足繫く通い、血脈と被差別について推敲を重ねる。 ルポタージュという形式でありながら、ドキュメンタリーのような周到な準備と緻密な取材があるわけではないが、時々の出会いと発見に触れ、自身の思考を醸成していく過程が興味深い。
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紀州に横たわる漂泊者と非人の歴史。私が産まれた頃にはリアルだった歴史の残像。東日本にいると全く理解出来ない、この皮膚感覚。 分からないから読むのですよ。
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どこかで紹介されているのを見て、いずれ読んでみたいと思っていた中上健次ではあるが…重かった。他の作品に手を伸ばす気には今はちょっとなれないけど、いずれじっくりと読んでみよう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こう、並べて読んだからかもしれないが、上記の天皇百話、下巻にこの中上の文章が入っていないことが不満に思えるほど、天皇制、差別構造、それらの総体としての日本を考えるときに、この本は必読書なのではないか?80年代初頭という時代を背負っていることは確かだが、現代に生きる我々から地続きの場所から発せられている言葉(戦争と現代をつなぐ時代の言葉、ということもできる)が、特に後半部分で重く低く響く。
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ルポと小説の間の「物語り」とでもいうのか。 こういうかたちの作品は貴重だと思う。 読みながら何かに触れているような手応えがあった。
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