ダブル・ファンタジー の商品レビュー
官能小説だとは思っていなかったので読んでびっくりしました。 映像がなくても文章の表現だけで興奮してくる描写は素晴らしいと感じた。奈津に磁石のようにすり寄ってくる男達、結局はただのセックスフレンドにしたいだけで気持ちなんて二の次という事に奈津は最後まで気付かない。所詮男と女ってセッ...
官能小説だとは思っていなかったので読んでびっくりしました。 映像がなくても文章の表現だけで興奮してくる描写は素晴らしいと感じた。奈津に磁石のようにすり寄ってくる男達、結局はただのセックスフレンドにしたいだけで気持ちなんて二の次という事に奈津は最後まで気付かない。所詮男と女ってセックスに対する考え方が違うんだろうと感じた。またラストの描写はあっけなく感じ飽きがきた感は否めない。
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村山由佳さん気になってるんだけどなかなか当たらない。 この本は図書館で予約してましたが、届いてびっくり、の表紙でした。 どんなに愛し合っても見ている先は違う、なんてところは共感できるし、主人公の揺れや寂しさはいいとこついてきてる感じがするし、男性の狡さや情けなさもなかなかよい。 相変わらず文章も上手だし、やっぱり気になる作家さんではあるんだけど・・・これは恋愛小説というんだろうか。人にオススメできません。そして、オチのない終わり方が一番現実的なんだろうとおもうけど、小説としては消化不良です。 素直に直木賞作品読もうかな。
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村山 由佳の「W/F ダブル・ファンタジー」を読みました。 著者の作品は初見です。2009年に第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をトリプル受賞した作品ということで、注目を集めてきたようです。 「私自身の『強すぎる性欲への罪悪感』という問題を徹底的に検証したかった」という著者の弁からすればこれは私小説なのかも知れません。だとすれば、「NINAGAWA十二夜」を連想するに難くない表現をされている蜷川幸雄にはいい迷惑――あるいは大きな愉快――です。 人間どうあがいてみても結局は孤独だということを女性の性を通して語りたかっただけなんでしょうか。 そういえば昔、岩井とほんの一時期つき合っていた頃だ。彼の部屋で、レノンとヨーコがいっしょに出したというアルバムを聴かせてもらったことがある。 奇妙なアルバムだった。二人の作った曲が交互に入っているのだが、レノンが息子への愛情をせつせつと歌い上げてたかと思えば、そのあとにヨーコが、男に対するあからさまな欲望を喘ぎ声混じりで歌いだすといった具合だ。 ・・・ どれほど愛し合っていても男と女は実はまったく別のものを見ているのだという真実を、あんなにもくっきりと浮き彫りにしてみせたアルバムはなかったのではないか――。 ここまで来た以上、もう後戻りはしない。女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。 そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる。 ああ。 なんて、さびしい。 どこまでも自由であるとは、こんなにもさびしいことだったのか――。 奈津を呼ぶ声は、まだ聞こえてこない。
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なぜこんなに経ってから読んだのだと思った。けれどこの本がでたころ、 いろいろ大変で本を読む気持ちから離れていた。 もしそのころに読んでいたら、こんなふうに全身で切なく、寂しく、 心に沁みている感じに気が付けなかっただろう。 ああ、どうして・・・と読み終えて思った。 これだけ男性がそばにきて、抱かれても”ひとり”なのだ。何をどうしても満たされない”独り感”。 先輩とずっと過ごしていくのかと思っていた。大林の誘いに「やめてやめて!」と叫んだ。 会っても尚「そのまま帰って!」と願った。 まさか大林を選ぼうとは。 大林も本気なセリフをはいていたけれど、何をもって信じればいいのだ。 先輩からの最後のメールも切ない。 でもこのなかで一番切ないのは奈津だった。 普通には到底できないつきあいをしながらも、なぜだかあきれたり悪く思ったりしなかった。 涙がでそうででなかった。 切なくて哀しくてどうしようもなかった。 厚い一冊まるごと、自然にいろんな感情が寄せてくる。 志澤、最悪!と怒っていたことがいつのまにか消えたラストだった。
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恋愛小説と思って読んでみたけど、ちょっと違ったみたいだった。 主人公の欲望がかなり鮮烈で読み応えがあったが、結局この人満たされないまま、寂しいまま人生が終わっていくんじゃないかなと思ってしまうラストでちょっと沈んでしまう。 あとかなり作中で批判されている夫の省吾だけど、私にはそんな悪い人に思えないのだった…。
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ダブルファンタジー 村山由佳 文藝春秋 登竜門で入賞し脚本家として活躍するようになった主人公は、自分の紡ぎだす能力が仕事として世に出る過程で歪められていくことに悩んでいた。そんなある日、選考委員として自分を発掘してくれた憧れの舞台演出家から公演のチケットが送られてくる。夫への形...
ダブルファンタジー 村山由佳 文藝春秋 登竜門で入賞し脚本家として活躍するようになった主人公は、自分の紡ぎだす能力が仕事として世に出る過程で歪められていくことに悩んでいた。そんなある日、選考委員として自分を発掘してくれた憧れの舞台演出家から公演のチケットが送られてくる。夫への形にならない不満、自分の中に棲む抗えない魔物、幼い頃に穿たれた心の穴・・・主人公が自分の本質と向き合っていく小説です。 上述の紹介文を作るのに、めちゃくちゃ苦労しました。その理由は、もはや清々しいともいえるまでに徹頭徹尾貫かれている不倫官能小説というモチーフがあまりに生々しくて、ついそれに触れてしまうからです。ただ、読んでいくと、あふれんばかりに書かれている不倫とか官能の行間から何か伝わってくるような気がしてなりません。なので、敢えて不倫と官能には触れない範囲で紹介文を書いてみました。 好みは分かれそうだけど、小説として、すごい本だと思いました。 最初の方に、1ページにも満たない 知らないことの幸せを説く老人の挿話があります。 これの受け取り方と、読み手の「性」に対する認識によって 小説の印象が大きく変わるのではないかと思いました。 私にとって、その印象は最後にある主人公の3行の独白で まざまざと浮き彫りになりました。 悲しくて哀しくてしかたがありませんでした。 私にとってのダブルファンタジーは「悲しく哀しい」小説でした。
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うーん、これは官能小説だな。女性ならではのそのあたりの表現はさすがと思うが、男性から見ると、主人公に(体以外の)魅力は感じないし、やり取りもなんだかなあという感じがしてしまう。
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ずっと前から気になっていた小説でしたが、値段もするし、借りるにはちょっと気が引けるなと思ってそのままでしたが、ブックオフで発見。 分量も多いし、評価もそんなに高くないので途中で飽きちゃうかなと思っていましたが、私にしてはすんなり読めました。 主人公の気持ちに入っていけない、理解できないと多くの人が書いていますが、まんま私だって思いました。 高遠奈津は人気脚本家高遠ナツメとして、活躍している。 彼女は人一倍性欲が強いのだが、夫の省吾とはほとんどセックスがない。 その原因は彼の何気ない一言から。 そんな彼女が尊敬する脚本家志澤と寝ることで、彼女の隠れていた女の部分が露わになっていくのだが…… 結局この小説の中で彼女は夫以外の男五人と身体を重ねていくわけですが、今まで抑圧されていた部分がどんどん爆発していく。 最初はなんでも夫の言いなりになっていた彼女が、あそこまで豹変するとは。 「結果はすべて自分で引き受けてみせる」 倫理観から考えると彼女の行動は大きく外れていますが、ここまでくると良いか悪いかではないのだと思います。 彼女が作中でセックスにも「心」がなければ、と言っていることに疑問を感じるのも当然だとは思いますが、(こんだけ色んな男とヤってるんだからそんなもんないだろとは思うでしょうが)私にはよくわかります。 「心」がなければ感じないって。 夫と出張ホストと坊さんとのセックスは彼女にとってむなしさを与えるものだっただろうけど、それ以外とのセックスは彼女は心から感じている。 すごい女だな。 ただ、夫とのセックスが上手くいっていたらこんな風にはならなかっただろうし、何より夫の抑圧から逃れて一人の女性としての尊厳を得るための手段が、彼女にとってはセックスだったんだろうなって思います。 結局彼女は最後先輩を捨てて、役者を選ぶわけなんだけど、どうなるんだろう。 また同じように他の誰かと出会い、身体を重ねるのか。 それとも本当に彼が心から愛し合える相手だったのか。 寂しさゆえに身体を重ねてしまうことが正しいとはけして思わないけど、そうなってしまう女性が弱い人だとは思わないな。 間違ってるけど強い。 開き直ってるようにも感じられるけど、共感できるな。 こんなこと書いてしまうと、自分もどうかしてると思われてしまうだろうけど。 彼女も私も本当に欲しいのは「心」から愛し合うセックスができる相手だと思うんだけどね。
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あんまりにも多くの評がただのエロ小説だといっていたので、油断して読みはじめた。 性描写が必要な訳や気持ちより体優先の話しだらけの必要性はやっぱり分からない。何処へゆく、村山由佳よ。 前半の志澤とのやり取りは官能小説というには子供っぽく、恋愛小説というにはがつがつしていて、ただ離婚...
あんまりにも多くの評がただのエロ小説だといっていたので、油断して読みはじめた。 性描写が必要な訳や気持ちより体優先の話しだらけの必要性はやっぱり分からない。何処へゆく、村山由佳よ。 前半の志澤とのやり取りは官能小説というには子供っぽく、恋愛小説というにはがつがつしていて、ただ離婚を考えるに至る主人公の心の動きだけが妙にリアルに浮かび上がった。志澤の言葉には多くの真実があるだけに残念。読者が夢中になるくらいいい男にしてあげれば良かったのに。 となめた感じで読みすすめて、後半びっくり。どーでもいい坊主含めて三人の男との話は、恋愛としてもぐっとリアル。村山由佳は惑う心理を描くのが上手いんだったわ。惑うことを知っている人なら共感してしまう。分かっていてハマる、気づいたときには逃げられない罠。主人公が阿呆のように何も分からない顔をしているのが気にはなるけど、惑う姿は本物だし、人生は答えなんて手に入らないもんだ。 意欲的に取り組んだのであろうメールでの睦合いや多分大胆を売りにしたい性描写は興ざめ。露骨に描くことを下品だとは思わないけど、さらっと描いて甘美に聞こえ、心理でなく描写で泣かせて欲しいもんだ。直木賞作品『星々の舟』ではいい制御が利いていて、次が楽しみだった。それができる作家になったと思ったのになあ。 露悪という意味では作者本人のエピソードとだだかぶりで、私生活見せられたみたいなのも残念。頭を使うと滅入ってしまう。小説は所詮、自分の切り売りだ。生まれる物語は作者の人生だし、登場人物たちは作者そのものだろう。でも、ひねろうよ、せめて。これはあなたのことですねと言われないように。 私は、私小説が嫌いです。 というわけで次に期待です。デビューから押してんだからね。
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作者にとっては書く必要がある本なのかもしれないけど、 多数のレビュー同様、まったく感情移入出来ませんでした。 他の著書では好きな作家だったので、残念です。
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