しあわせな日々/芝居 の商品レビュー
腰から下が埋まり切ったウィニー、壺から顔だけ出している男女―後期ベケットの戯曲は登場人物が「動けない」「動かない」状況を逆手に取った、逆説的な言葉への確信が特徴的だ。しかし言葉は音楽とすれ違い、私自身の声とも微妙にずれ続けている。終わりの気配がいっそう濃くなったこの作品群は、それ...
腰から下が埋まり切ったウィニー、壺から顔だけ出している男女―後期ベケットの戯曲は登場人物が「動けない」「動かない」状況を逆手に取った、逆説的な言葉への確信が特徴的だ。しかし言葉は音楽とすれ違い、私自身の声とも微妙にずれ続けている。終わりの気配がいっそう濃くなったこの作品群は、それでもなお抵抗のユーモアは通底音としてなり続けている。それは丁寧に耳を澄まさなければ聞き取れない程度のユーモアだけど、それでもアイロニーをも打ち破る肯定感はきちんと潜んでいるのだと思う。それに気づければ、それはきっとしあわせな日々。
Posted by
- 1