ハーモニー の商品レビュー

伊藤計劃【著】

2015/05/09

世界観、物語として好き。
特にこの世界観を作り出せることはすごい
英語力がないので、文中の英単語苦労した。

2015/04/03

近未来のSF＋推理小説。文章のスタイルがXMLタグの様になっており、画期的で未来感が感じられてとても面白かった。タグを読み慣れない人には躓くポイントになるかも知れない。また、残酷な描写が多いので好みがハッキリ別れると思う。
内容は、謎を解きながら人間の内面を深く掘り下げていくような形でストーリーが展開する。現代の人が薄々感じている事が、極端な形で現実化し、問題意識を想起させるあたりも非常に面白い。
何となく閉塞感を感じているITエンジニアに特にオススメです。

2015/02/16

夭逝したSF小説家伊藤計劃氏の代表作『ハーモニー』を読了。ずっと持っていたのだが、表装がいまいち好きではなかったのとタイトルにピンと来ずに積読だった本作をやっと読了。もっと早く読んでいれば良かった。人類が破滅的な戦争の後、危機をさけるべくプログラムされた状態で行きているという設定で書かれた小説で、読みはじめてすぐに引き込まれるが、読み進めるうちに怖くなってくる。いろいろな意味で簡単に権力に脅かされやすい自由という物の大切さを考えさせられる名作だと思う。SFだからといって毛嫌いせずに是非一読を。

2015/01/19

近未来ハードSFと言えばいいのか、ひとことで感想を表しにくいけど、とても面白かったです。
意外にハルヒとか舞城王太郎とか、隠し小ネタが前作同様あったりしました。
何と言うか『リング』のその先の世界、とも読めるような。重厚感のある作品でした。
そういえば、これは３．１１以前に描かれたもので、核汚染の先にある食物の問題や健康の問題や福祉社会や管理社会の予言的な内容になっています。
ラストで、とある学問の分野が無意味になってしまう経緯も語られているのですが、いやはや、卓越した想像力と言うのは未来を先に描いてしまう予知能力に似ているなぁ、と言う感想も抱きました。

2014/12/10

ミァハの天才性がいまいち伝わらなかったのでちょっともやもや。だってわりと一般的な思考じゃないか…まあああいう背景持っててこの世界観の中でこういった思想持ってると過激派になっちゃうってことかな。
トァンはなかなか普通っ子で好感が持てた。
「意識を持たぬ人」の生活がもうちょい具体的に描かれてほしかったなー。

2014/09/17

「虐殺器官」はどうも難解な部分があったのですが、
こちらはとにかく面白くて、夢中になって読みました。
何だろう、この虚無感…

体内にインストールされたWatchMeによって、
一切の病気がなくなり健康的な体を手に入れた人類。
たばこや酒等の嗜好品は疎まれるようになり、
有害なものは全てブロックされる。

誰もが健康で幸福、周りが互いを気遣う世界。
一見ユートピアのように見えるけれども、その世界に反抗する少女達がいた。
（ミァハにトァン、この作品アニメ化されるそうだけど
声優さん大変だろうなぁと思った。笑）

「ハーモニー」というタイトル、
ミァハが目指す世界の事に気付くと恐ろしくなってしまった。
人間にとって何が幸福なのか。
健康で争いがない世界？
自由意思が尊重されるような世界？悶々と考えてしまう……

この作品を作者は病に蝕まれながら書き上げたのか…
一体どんな思いで、とやるせない気持ちになりました。

2014/07/14

大災禍後の健康管理社会に違和感というよりも敵意を覚える親友に同調し、自殺を試みたが、生き延びた少女は、成長し、健康管理社会を維持する役割の螺旋捜査官となるが、親友の影響から逃れきれず、大災禍前の情勢が残る偏狭で、不健康な物質を摂取する自堕落な生活を送っていた。そんなある日、少女時代に一緒に自殺を試みて、同じように生き延びた友達が目の前で自殺する。同時刻に何者かの指示のよる自殺者が大量に発生、螺旋捜査官である主人公は、人類の根幹を揺るがす事件に巻き込まれていく。「利己的な遺伝子」を思い出した。

2014/07/02

計劃さんの本は、
こう…一人で閉じ籠ってじっくり考えてたくなる話が多い。『ハーモニー』もそれ。
人の幸福って何だろう？
人間性って何？
がグルグル脳ミソを駆け巡りました、今作では。かなり面白かった。

意識をなくした人間って、幸せって感じれんのかな。
死を以て生を喜べるのに、死が遠くなれば、死は勿論生でさえ蔑ろにされそう。なんてことがグルグルグルグル…

もうホント、人間って面白い。

2014/06/12

病気をほぼなくした、未来の話。
ノイタミナ映画化で読んだが、ノイタミナ繋がりなら、PSYCHO-PASSの世界にも似ている。
人を殺すか自分が死ぬか、と言う問いを投げ掛けた作品だった。
ミァハの生い立ちは残酷で、彼女に起こったことに泣くトァンに共感した。
キアンも大切な友達だったのだろう。
間接的に父を殺されて、トァンのしたことは正しかったと思う。
少なくとも、ミァハよりもトァンの父の方が好感が持てた。
SFだが、色々なことを考えさせられた。
人間にとって幸福な社会などないのではないかと思った。

2013/09/10

虐殺器官についで二作目読了。微妙に別な味わい、調和とは、何とするものなのか。自己と他人、世界と自分、でも必ずついて回る性。束縛から逃れられない世界、継続される意思・意識のあり方、そんな混沌の中から予定調和以外の物を見つけ出すような作品でした。