白川静 の商品レビュー
手引書
分かりやすい内容。白川静さんの手引書として良いと思います。
岡博文
10年ほど前、読み始めて挫折。今回は一気に読めた。 白川静の漢字学への案内をする本。わかりやすくはなく、読む人を選ぶ。 文字(漢字)の始原、文字は神であり、巫祝の行事と結びつき、個々の文字自体が呪能を持っていた・・・という白川の主張。 著者松岡はえらく感嘆している。その時代に思い...
10年ほど前、読み始めて挫折。今回は一気に読めた。 白川静の漢字学への案内をする本。わかりやすくはなく、読む人を選ぶ。 文字(漢字)の始原、文字は神であり、巫祝の行事と結びつき、個々の文字自体が呪能を持っていた・・・という白川の主張。 著者松岡はえらく感嘆している。その時代に思いをはせれば、文字に畏怖を覚えるが、秦の始皇帝の文字統一と巫祝による統治の時代が終わった後は、文字は呪能とは切り離されたので、現代とは2000年の断絶があると思ってしまうのはひねくれているかな? つまり古代中国シャーマンの時代の文字と呪能に興味がある人には、この本も白川静の著作もおもしろいでしょう。 白川が70歳過ぎてから、「字統」「字訓」「字通」の字典3部作を著したことには感嘆。 どの文字がどういう呪能を持っていたかを明らかにする研究自体は大変な業績。ちなみに文字の呪能に興味があれば「字統」を読むのが一番です。
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漢字の新たな境地を示してくれた。日本人は中国文化を取り入れたことだけではなく、それより先進化させて現在を作ったことに感動。また白川さんの宇宙にも感銘。
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人は言葉を使って考えているとするならば、日本語が、どういう言語なんだろうということを知らなければ、自分がなにを考えているかすら分からないということになる。 と思って、日本語について、学んでみようと思って、読んでみた1冊。 数年前に評判になったような気がしていたが、2008年が...
人は言葉を使って考えているとするならば、日本語が、どういう言語なんだろうということを知らなければ、自分がなにを考えているかすら分からないということになる。 と思って、日本語について、学んでみようと思って、読んでみた1冊。 数年前に評判になったような気がしていたが、2008年が初版。もう10年以上前の本なわけですね。 白川静。面白そうななんだけど、どこから手を付けたらいいのか分からない状態であったが、なんとか、全体の地図みたいなのが、浮かび上がってきた感じ。 そっか、万葉集と詩経、孔子みたいなところに、多分、私の興味はありそうだな。 万葉集の「東の野に炎の立つ見えて かえりみれば月かたぶきぬ」の読解はスリリング。 そして、この歌を書き記しているのはいわゆる万葉仮名なんだけど、そこには、外国からやってきた漢字を日本人なりに使いこなす工夫があり、そこから、カナ文字、カタカナを生み出し、漢字の音読み、訓読みを使いわけて、日本語化していたった日本の先人たちの膨大な苦労と工夫。 話し言葉と書き言葉の違い。 パロールとエクリチュールといえば、そうなんだけど、表意文字である漢字、そして、それを日本語として使うためのもろもろの工夫に思いやると、ちょっと気が遠くなってしまう。 日本語で考えるというテーマに読み言葉と書き言葉というテーマが組み込まれて、話しはますます複雑に。。。。
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白川静が生涯をかけて漢字の字源を研究し読み解こうとしたのは、中国のみならず日本も含めたアジアの精神史であったことを松岡正剛が解説する。 何度目かの『漢字』(岩波新書)にトライ中、誰かのガイドがほしい…という気持ちで手に取った。期待通り、白川先生以前の漢字研究、日本の中国文学研...
白川静が生涯をかけて漢字の字源を研究し読み解こうとしたのは、中国のみならず日本も含めたアジアの精神史であったことを松岡正剛が解説する。 何度目かの『漢字』(岩波新書)にトライ中、誰かのガイドがほしい…という気持ちで手に取った。期待通り、白川先生以前の漢字研究、日本の中国文学研究史における白川文字学の立ち位置などが掴めて助かった。 白川先生の個人史では、マルクス主義が60〜70年代の大学を席巻するなか、古代の王権が漢字の思想を創り上げたとする主張は反感を持たれた、という点にハッとした。たとえ古代を研究対象にしていても、現在地点の影響を受けずにはいられない。 白川先生が漢字の成り立ちに目を向けたのは、元々『万葉集』の万葉仮名を通じて、日本が大陸からの輸入品である漢字をどうフィットさせていったのか、という点に興味を惹かれたからだという。このことは『漢字』の最初のほうだけを読んでいるのでは全然わからないことで、白川先生の研究内容が身近に感じられるようになった。また、白川先生の魅力である(難所でもある…)硬質な文体は、幸田露伴に影響を受けたのだとか。 ナビゲーターとしての松岡正剛は頼り甲斐がある。饕餮文や孔子伝など、白川先生が追求しきらなかったことや事実誤認していた事柄にも触れつつ、全体としては深いリスペクトに溢れている。「東の野にかぎろひの立つ見えて〜」を含む柿本人麻呂の「安騎野の冬猟歌」をめぐる白川仮説を噛み砕いて説明しているくだりでは、私もその興奮を追体験できた。
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漢字博士…というより、漢字の神・白川静氏の「入門書」である。 表意文字として、現代も命脈を保っているのは漢字くらいだという。その旺盛な生命力がまずユニークである。しかもそれは、現在だけでなく太古の「思考」にまでつながっている。 漢字(甲骨文や金文)は、呪能・巫祝・権力と不可分...
漢字博士…というより、漢字の神・白川静氏の「入門書」である。 表意文字として、現代も命脈を保っているのは漢字くらいだという。その旺盛な生命力がまずユニークである。しかもそれは、現在だけでなく太古の「思考」にまでつながっている。 漢字(甲骨文や金文)は、呪能・巫祝・権力と不可分に結びついている。言ってみりゃ漢字は思考そのもののタイムカプセルであり、その成り立ちをひもとくことで、大昔の人間の習俗や考え方を知ることができる。 話は日本との関係にも及んでいく。 「詩経」と「万葉集」を同じ土俵で読むことの意義や、漢字をわがフトコロに入れて栄養にしてしまった日本人の営みのみごとさ、云々。 んー…なんと大きな考え方であろうか…。
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ぜひいろいろな人ひ読んでほしい本。詩経と万葉集の共通点の話など興味深い話が多い。白川静先生の凄さを垣間見ることができる良書。
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白川静さんの辞書に「常用字解」という、常用漢字しか載っていない漢和辞典がある。この辞書のことを漢和辞典というのは、いい方が間違っているかもしれないということを説明しましょう。というのが、この本における、松岡正剛のコンセプトなのかもしれない。何はともあれ、白川静が忘れられつつあ...
白川静さんの辞書に「常用字解」という、常用漢字しか載っていない漢和辞典がある。この辞書のことを漢和辞典というのは、いい方が間違っているかもしれないということを説明しましょう。というのが、この本における、松岡正剛のコンセプトなのかもしれない。何はともあれ、白川静が忘れられつつある今、10年前の本だが、この本を手に取って、新たに彼と出会う人が生まれることを心から願う。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201904140003/
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漢字の世界観が変わったのと、白川静の知性が自分の知性の射程では捉え切れないほど深淵なものであることがわかった。
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