マクギーの身体診断学 の商品レビュー
著者は米国ワシントン大学医学部の名誉教授スティーブン・マクギー医師です。 本書は同氏が実践する身体診察のテキストを翻訳したものです。 監修・翻訳者は名古屋市の南生協病院に関係する医師です。 元々は同病院の抄読会のテキストとして使われていて、内容に感じ入り翻訳・出版に至りました。...
著者は米国ワシントン大学医学部の名誉教授スティーブン・マクギー医師です。 本書は同氏が実践する身体診察のテキストを翻訳したものです。 監修・翻訳者は名古屋市の南生協病院に関係する医師です。 元々は同病院の抄読会のテキストとして使われていて、内容に感じ入り翻訳・出版に至りました。 テーマは五感を用いて行う「身体診察」です。 かつて医療は、症状を問診、触診、理学検査をして診断に至っていました。 英国などでは今も家庭医が身体診察で所見を立て、緊急性が高いと思われるケースのみを専門病院に紹介しています。 一方、日本ではCTやMRIなどの検査機器が充実して、昔日の技術が失われつつありました。 結果、専門分化が進んで過剰検査・多剤投与の問題が指摘され、全科に通じた「総合診療医」が誕生して身体診察が見直されつつあります。 本書は、米国の総合診療医が活用する身体診察の技術が整理されていました。 章はエビデンスの概要、バイタルサイン、部位ごとの所見で区分されていました。 類書と異なるのは、それぞれの身体所見が採用された歴史的背景、感度や特異度、尤度比などのエビデンスが記述されていることです。 一方でイラストなどは少なく、私が持っている2006年第三版では全体的に硬い印象でした。 身体診察について整理された好著だと思います。
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