青帝の鉾 の商品レビュー
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「......それに、あの顔だ。あれはきっと国芳だ。国芳を研究しつくしてる彫師だ。凛としてるんだ。肌に自分流の絵や顔を描こう、創ろうとしてるんじゃないんだ。彫師が、自分の絵を創ろうとしたって、たかがしれてるよ。彫り物には、国芳。これしかないと信じてる彫師だよ。絵を描いたり、絵を彫ったりしているんじゃなくて...肌で、国芳を生け捕りにしようとしてるよ。肉の底に、国芳を放してやってるんだ。ちょうど、金魚を水のなかに放してやるようにさ。......」 (雪華葬刺し) 多作な赤江瀑。まだ読んでない小説がまだまだぽろぽろ見つかる。短編5作収録。「雪華葬刺し」はトリ。ふさわしい圧倒的密度。思い込みなんでは…あなた疲れてるのよモとかいう突っ込み無用、書道と恋人への想い・染色と孤独、死体愛・鸚鵡と接吻・阿片と性交、窃視・そして、刺青と親子の絆、といった各種快楽陶酔戦慄に憑りつかれたる男女が人生全日を掛けて旋回する、息もつかせぬ急展開の驚愕。いや驚愕なんだけど読んでる間は赤い霧にでもまかれたように判断力を奪われて、自然に受け止めてしまう魔性の文章。 特に「虹色の翅の闇」ときたら。さすがに読んでる間に強引すぎでは...と思ったものの、一番好き。実在のスポーツ選手や俳優を主要人物3人に当てはめる遊びができました。面白かった!
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285 あまりに奇怪な掛軸であった。豪奢な金襴で表装された肝心の軸の本紙には、ただ一点、闇黒のしみのみが。いわば文字のない一本の書であった――書に魅入られて破滅する青年書家と師の娘の狂気と愛の世界を描く表題作、絢爛たる刺青で女性を彫り飾る刺青師の禁断の彫りを描く「雪華葬刺し」など...
285 あまりに奇怪な掛軸であった。豪奢な金襴で表装された肝心の軸の本紙には、ただ一点、闇黒のしみのみが。いわば文字のない一本の書であった――書に魅入られて破滅する青年書家と師の娘の狂気と愛の世界を描く表題作、絢爛たる刺青で女性を彫り飾る刺青師の禁断の彫りを描く「雪華葬刺し」など異形の作品集。 青帝の鉾・夜よ禁めなき旗なき・虹色の翅の闇・アヘンの馬・雪華葬刺し
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