フランク・オコナー短篇集 の商品レビュー
アイルランドの作家フランク・オコナーの珠玉の短編集ですね。 作品は十一篇。 日常の人々の生活をアイルランドの持つ独特の政情と宗教を背景に飾らずユーモアも交えながら、またはミステリアスに描いた作品集ですね。 オコナーは若い頃父親の酒乱のために苦労をして、高等教育を受けること無く成長...
アイルランドの作家フランク・オコナーの珠玉の短編集ですね。 作品は十一篇。 日常の人々の生活をアイルランドの持つ独特の政情と宗教を背景に飾らずユーモアも交えながら、またはミステリアスに描いた作品集ですね。 オコナーは若い頃父親の酒乱のために苦労をして、高等教育を受けること無く成長して、アイルランド独立運動にも関わるなどしたが、その後は教育界に身をおき作家生活に至り、アメリカの大学で教鞭を取るという経歴を持つ。 語り口が柔らかく決して名文では無いけれども、親しみやすく素直な文章でイギリスの詩人イエイツに「アイルランドのチェーホフ」と呼ばれる程の短編の名手です。 日常の謎のファンの私もとても楽しみながら読了しました。
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素朴な文体で綴られるアイルランド。文学的冒険というものとは無縁に思われる落ち着いた文体で描かれるからこそ、そこに住む人々の姿、時代が顕わになる。著者が作り出した、というよりは、実際に会った光景を神の目で抜き出したような抜き差しならないリアリティがある。 素晴らしいのは、やはり有...
素朴な文体で綴られるアイルランド。文学的冒険というものとは無縁に思われる落ち着いた文体で描かれるからこそ、そこに住む人々の姿、時代が顕わになる。著者が作り出した、というよりは、実際に会った光景を神の目で抜き出したような抜き差しならないリアリティがある。 素晴らしいのは、やはり有名な『国賓』で、これと並べたいのは、アイルランドの事情を鑑みれば『ジャンボの妻』ということになるのだろうけれど、私は『法は何にも勝る』をその隣に置きたい。もう決まってしまったことの中にある人々の、ぎりぎりまで日常に身を置こうとする、そこが日常であると我が身を押し込もうとする哀切。 どれを読んでも優れた短篇集だ。題材の選択も素晴らしいし、それをあくまで落ち着いたトーンで描ききる著者の姿勢も素晴らしい。
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アイルランドの寂しげで、優しくない、でも温かい話。 様々な作品があったが、どれもどこか寂しい。登場人物の年齢は様々だが、どれにも共通する背景を感じる。それがアイルランド的なものなのかもしれない。あまり今まで意識してアイルランド文学を読んでいたことはないので、断言はできないけれど...
アイルランドの寂しげで、優しくない、でも温かい話。 様々な作品があったが、どれもどこか寂しい。登場人物の年齢は様々だが、どれにも共通する背景を感じる。それがアイルランド的なものなのかもしれない。あまり今まで意識してアイルランド文学を読んでいたことはないので、断言はできないけれども。解説に「ざらつき」ということばが使われていたが、確かに整えた感じのしない、生々しいものを感じる作品集だった。
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フランク・オコナー国際短篇賞という名前を冠した賞があるだけにさぞかし短篇の名手なのだろうと思って読んでみたが、その名に恥じない人だった。普通の人びとを題材にし、特に何の事件が起こるわけでもないけれど、丁寧に話が紡がれ、アイルランドのチェーホフと言われるのも頷ける。自分としてはミニ...
フランク・オコナー国際短篇賞という名前を冠した賞があるだけにさぞかし短篇の名手なのだろうと思って読んでみたが、その名に恥じない人だった。普通の人びとを題材にし、特に何の事件が起こるわけでもないけれど、丁寧に話が紡がれ、アイルランドのチェーホフと言われるのも頷ける。自分としてはミニマリズムはレイモンド・カーヴァーですが、彼を思い出さずにはいられない。 50年以上も前の作品群なのに全然古くない。もちろん出てくる道具やシチュエーションは1900年代初めだけれど、人間の営みというのは根本として変わらないものなのだなと思った。 あと、内容とはまったく無関係だが、この岩波文庫やたら紙が白く印字も綺麗で、彼女の作品の美しさを引きだたせていて良かった。
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フランク・オコナーの短篇を11篇収録。子どもを描くのがとても上手な作家だ。訳者あとがきや丁寧な訳註を見て、「本当に優しい訳者だ」と思った。p.142に漢字の変換ミスあり。
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最初の短編「僕のオイディプス・コンプレックス」は面白かった(これ目当てで読んだ) あとは、うん、古典って感じ…。
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