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茗荷谷の猫 の商品レビュー

3.8

74件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2015/12/26

江戸時代から戦後まで、江戸の巣から始まり、品川、本郷、市ヶ谷、渋谷などのそれぞれの地名に絡んだお話が連なった連作短編集『茗荷谷の猫』を読了。9つの話で構成されているが、ぞれぞれが独立してあるのではなくけれど同じ話が続いて行く訳ではなく、著者がわずかながらの話をつなげる手がかりをう...

江戸時代から戦後まで、江戸の巣から始まり、品川、本郷、市ヶ谷、渋谷などのそれぞれの地名に絡んだお話が連なった連作短編集『茗荷谷の猫』を読了。9つの話で構成されているが、ぞれぞれが独立してあるのではなくけれど同じ話が続いて行く訳ではなく、著者がわずかながらの話をつなげる手がかりをうまく隠し味のように埋め込んであるので、読み手はそれらに少しばかり助けられながら描かれた市井の人々の思いを追いかけて行く事が出来る。描かれている人たちは江戸や東京と言った大都市の中でつつましく暮らす目立たない人たちで、けれど目立たない人たちにも暮らしがあり、人に話せない思いがあったりするという千差万別の人の生き様への著者の愛情が感じられる小説だ。

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2015/12/18

なんとか時代って、いっぱいあって、 むかーしのなんとかの時代から時代へ、 それで今まで、やっぱ 人で繋がってるんだよなぁー って、今さらのようにおもえた。 読んでて、辛くて、さみしくて、おかしくて きれいに、スマートに繋がってないんだけど いろんな人が何かしらやっ...

なんとか時代って、いっぱいあって、 むかーしのなんとかの時代から時代へ、 それで今まで、やっぱ 人で繋がってるんだよなぁー って、今さらのようにおもえた。 読んでて、辛くて、さみしくて、おかしくて きれいに、スマートに繋がってないんだけど いろんな人が何かしらやってきて この時にも、なんらかしら 繋がっているのかも。 って想う。 こんなカンジの読み物って初めて。

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2015/07/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

東京のその当時の様子を書いているような小説。ザクロの話、千駄ヶ谷のタイルの話が印象に残った。多少は知っている町の知らない時代の物語。

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2015/06/09

江戸から戦後までの短編連作集。その時代を生きてく人々がとても丁寧に描かれる。粋であったり自堕落だったり様々な人々。そして漂う人情感。 いままで使ったことのない表現や言葉たちにはたと目をみはってしまった。 町も人も映像になって、こちらに訴えかけてくるような作品だった。 「隠れる」が...

江戸から戦後までの短編連作集。その時代を生きてく人々がとても丁寧に描かれる。粋であったり自堕落だったり様々な人々。そして漂う人情感。 いままで使ったことのない表現や言葉たちにはたと目をみはってしまった。 町も人も映像になって、こちらに訴えかけてくるような作品だった。 「隠れる」が特に面白かった!

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2014/10/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

9つの短編が収められた本。それぞれの短編は一つの作品として独立してますが、舞台はいずれも東京。とはいえ時代はかなりずれていて、江戸から戦後まで時間軸は広がっています。 同じ場所で違う時代に生きた登場人物たちが間接的に、あるいは一部については直接的に関わり合い、触れ合いながら物語が作られています。メインのキーワードは染井吉野、表題にもなっている茗荷谷の古い小さな一軒家、漱石と内田百閒、といったところでしょうか。漱石の『吾輩は猫である』や内田百閒の著作のいくつかを読んでおくと、この本に仕込まれたネタに気づけて面白いのではないかと思います。 最初のうちはちょっと読みにくかったですが、3つ目あたりから一気に面白くなり、一日半ぐらいで読了。終いには、各作品の登場人物が別の作品でどのようにかかわっていったかが知りたくなって人物相関図まで書いてしまいました(笑) 世界観も文体も違うけど、伊坂幸太郎の『死神の精度』が好きだった人ならストライクだと思います。こういう緻密で繊細な世界を作れる作家さんって凄いですね。著者の別の作品も読みたくなりました。9作品のうち、いくつか終わり方が物足りなかったものがあるので☆は4つとしてますが、オススメです。

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2014/07/12

「幕末の青嵐」を読んで大ファンになった木内さんの作品。 誠実さがにじむ地の文や人の情を丁寧に描き出すところが気に入って追いかけていこうと手に取ったのだが、少しばかり様子が違って・・・。 第一話「染井の桜」。 染井吉野を作出した職人気質の男の身に起こるあれこれ。武士であった男が...

「幕末の青嵐」を読んで大ファンになった木内さんの作品。 誠実さがにじむ地の文や人の情を丁寧に描き出すところが気に入って追いかけていこうと手に取ったのだが、少しばかり様子が違って・・・。 第一話「染井の桜」。 染井吉野を作出した職人気質の男の身に起こるあれこれ。武士であった男がその身分を捨てて植木職人となり生真面目に生きていく様は、今まで読んだ本に最も近い。 第三話の表題作「茗荷谷の猫」。 極力感情移入することを避けられているような、実体のなさが漂っているような・・・。 でも、不思議と読むのをやめようとは思わず・・・。 そして、第五話「隠れる」 これは不気味だった! 普通は「一見ひどい人のように思えた人が実はいい人だったり魅力のある人だった」か「親切に見えた人の裏側に悪意が潜んでいた」というのが、ありがちで慣れたストーリーだと思うのだが、これは違う。 人の気持ちのつかみどころのなさが、とにかく気持ちが悪い! 親の残した金で、人と関わることなくひっそりと生きていこうとする主人公になぜだか周りの人たちが、関わりを持とうとする。主人公は迷惑がっているのに謙遜していると勝手に勘違いしたり、悪意を見せつけようとした主人公の振る舞いが却って役に立てしまったりと裏目に出てしまう。どれもこれも主人公の話を聞こうとしない、自分の言い分を押し付けるまるでストーカーのような人たちに振り回されるさまが、とにかく怖い。 まったく自分の言い分が通らない恐怖。 恐怖にもいろいろあるなあ・・・。 状況は違うが誤解を受けて、あれこれ説明してもその疑いが晴れずに追い込まれていくような孤独感と似ている。 主人公がバイブルのように、繰り返し読む江戸川乱歩の「赤い部屋」が気になる。どうやら自分の手を汚すことなく、巧みな話術や心理作戦により他者を追い詰め死に至らしめる話のようだが・・・。 第六話「庄助さん」、第七話「ぽけっとの、深く」は、よかった。本当は続きが読みたかったんだけれど、まるでひととき一緒に過ごした人の行方をすべて知ることができないように、あるところから先は想像するしかない。辛うじて、短編がゆるくつながっていることが嬉しい。 そして第八話「てのひら」 ほんの10ページしかない作品であるが、泣ける。 涙がでなくても、心の奥がひりひりする。 重松さんっぽいかもしれない。 中学・高校の国語の教科書に載りそうなどと思いながらあっという間に読みおわる。 しばらく前に結婚して東京に住む娘のところに田舎から母親がでてきて数日を過ごす。娘は久しぶりに会えた母親を喜ばせたいと東京見物や少々贅沢な食事を予約してもてなそうとするのだが、母親は申し訳なさそうに遠慮する。 母親はいつまでも母親であって「娘に甘える」ということは全く頭の中にない。娘は今できる精一杯の贅沢によって今までの恩返しをしようと焦っているかのようで。 息子が父親の身長を越してしまう日が来たり、 腕っぷしが強くなるような表面的なわかりやすさで追い抜いてしまうより、 経済的社会的に、また精神的に並び追い抜いていくことを受け入れるのは難しいのかもしれないし、認めたくないのかもしれないね、お互いに・・・。 やっぱり★4つにすればよかったかなあ・・・。 幕末から昭和の高度経済成長期にかけての時代を上手く背景にしながら狂気やら、もの哀しさやらを描き出した木内さん。今回、妙に心にひっかかりました。 いろいろ描ける作家さんなんだと再認識しました。

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2014/03/09

2014.03.09読了。 今年11冊目。 江戸末期からのそれぞれ時代の違う東京に住む人々の話。 短編集だけど少しずつ話が重なる部分があり、一つの物語のように思えた。 それぞれの物語の中で引っかかっていたことがあとの物語で明らかになるけれど、それは読んでいる私たちにだけわかるこ...

2014.03.09読了。 今年11冊目。 江戸末期からのそれぞれ時代の違う東京に住む人々の話。 短編集だけど少しずつ話が重なる部分があり、一つの物語のように思えた。 それぞれの物語の中で引っかかっていたことがあとの物語で明らかになるけれど、それは読んでいる私たちにだけわかることで... それがなんとも儚く、切ない気持ちになった。 一番好きなのはてのひら。 私もあんな風に母に対して思ったことがあったし、みんな経験する気持ちなんじゃないかな。 そしてこの短編集に共通しているのは 自分にしても他人にしても、見る人によって見え方は異なるということなのかなと。 自分にはわからない自分のこと。 他人にはわからない自分のこと。 それが時代を越えて、それぞれの人たちが交錯していく中で見えてきて面白かった。

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2014/02/23

時代設定が異なる九つの作品でありながら、登場人物やエピソードが入れ子細工のように重なる箇所が出てくる。実在の人物や書物を連想させる一編やなんとも言えない幻想的な余韻を残すものなど様々な味わいを楽しめる贅沢な短編集。

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2014/02/11

江戸時代の終わりから、時代時代の東京に住まいする人の姿。ほんのわずかに、つながりがみえて、あぁ、とため息が出る。ひと匙、不思議が振りかけられていて、煙に巻かれる。どこにでもありそうな平凡も、一皮めくれば、はっとさせられるのかも知れない。

Posted byブクログ

2014/02/05

前にも一度読んだことがあった。 すっかり忘れてまた図書館で借りてきてしまった。 でもまた読み返してみると忘れていた部分もあって 楽しめました。

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