わたしを離さないで の商品レビュー
再読。 まえに読んだときは残酷さばかりを感じとっていたけど、 今は、こういう叶わなかった希望、指の間をすり抜けていった願いって、辛いだけじゃない贅沢な記憶として死ぬときに思いだされるのかなあ…と疲労と紙一重の穏やかさを感じる。 つい最近まで、運命を受け入れる…って何かに負けたよう...
再読。 まえに読んだときは残酷さばかりを感じとっていたけど、 今は、こういう叶わなかった希望、指の間をすり抜けていった願いって、辛いだけじゃない贅沢な記憶として死ぬときに思いだされるのかなあ…と疲労と紙一重の穏やかさを感じる。 つい最近まで、運命を受け入れる…って何かに負けたような気がして嫌なフレーズだと思っていたけれど、歳を重ねるごとに、受け入れる強さが必要なこともあるよなあと。思うことが多くなってきた。 そんなときに思い出す小説です。 温室の中で管理されるこどもたちっていうエコールものによくある設定と、たんたんと進む回想作業のような語り。その背景にある「残酷な真実」の正体は、結構早くに明かされます。 登場人物たちは、悟りを開いたような優しさをもつわけでもないし、彼らをとりまく環境も決してやさしいものではない。 それでも彼らの生命に穏やかな色を見るのは、生きることに対する、そのまなざしのせいなんだろうか。 劇的な救いが用意されてないのに勘付きながらも、願うような気持ちでページをめくりました。 激しい感動はなかったけども、余韻が残る、素敵な作品だと思います。
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多少ショッキングな設定ではあるものの、 読み終わってみると、ふるさとと仲間を失う孤独、哀しみの方が強く心に残った。 クローンでもやっぱり普通の人間のように当たり前に人をいとしみ故郷を慕うのだろうか 語り手であるキャシーも試験管の中で生まれた一人であることにあらためてはっとする
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読み終わって、はじめて表紙に描かれているのは テープレコーダーだって気づいた。何回も目にしていたのに…
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人の尊厳とは何か… ありえないと思いながらも、何処かでありえているのかもと云う恐怖が残る。 物語の最大のミステリが早々に明かされ「え?ここへたどり着くまでの物語じゃなかったの?」 と思いましたが、大事なのはプロセスとライフでした。 同じように命を与えられ、私たちとは違う人生...
人の尊厳とは何か… ありえないと思いながらも、何処かでありえているのかもと云う恐怖が残る。 物語の最大のミステリが早々に明かされ「え?ここへたどり着くまでの物語じゃなかったの?」 と思いましたが、大事なのはプロセスとライフでした。 同じように命を与えられ、私たちとは違う人生を送る同じ人間。 考えたら苦しくなるのだけど、もしかしたら…。 当たり前のことを当たり前にできることに感謝しよう。
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恋愛モノではありません。最初から最後まで女性の一人称で話が進みます。 近未来SF?パラレルワールド?どちらでもいいのかな、なかなか恐ろしい話だと思います。 にしてもハヤカワepi文庫は文庫サイズじゃないので困ります。
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Never Let Me Go(2005年、英)。 表紙に惹かれて購入。内容は、正直、あまり好みではなかった。話が進展しないので、かなり飛ばし読みしてしまった。そういう読み方をする物語ではないだろう、とは思いつつ…。とはいえ、少女の微妙な心の揺れを綴るシーンなど、フィクションであ...
Never Let Me Go(2005年、英)。 表紙に惹かれて購入。内容は、正直、あまり好みではなかった。話が進展しないので、かなり飛ばし読みしてしまった。そういう読み方をする物語ではないだろう、とは思いつつ…。とはいえ、少女の微妙な心の揺れを綴るシーンなど、フィクションであることを忘れるくらい、心に迫るものがあるのも事実。プロットよりも抒情を味わうべき作品なのだろう。野暮を承知でカテゴライズするなら、SFではなく純文学寄りの読者にうける、通好みの作品ということか。時間を置いて再読しようか…。
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経験、体験に感じ入る いうのはまさにこういう書を読んでのことだろうと思う。みなさんのコメントの通り、一気に読める本でありひさびさにいいものを読んだと思う。
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久しぶりに読んだ本。あらすじ紹介の段階から面白そうだったけど、期待通り。学校とかの描写はいかにもな海外での生活らしいんだけど、やっぱり不穏でどうしようもない未来がちらちら見える。
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登場人物たちの、生々しさがたまらなく辛い。これでもか、と書き連ねられる彼・彼女たちの気持ちが痛い。こんなに、まるで現実のことのように、胸が痛むなんて。カズオ・イシグロの力量のおかげなのか、同じようなことが世界で起こっていると、ぼんやりと感じるからか、それとも将来こんなことになりそ...
登場人物たちの、生々しさがたまらなく辛い。これでもか、と書き連ねられる彼・彼女たちの気持ちが痛い。こんなに、まるで現実のことのように、胸が痛むなんて。カズオ・イシグロの力量のおかげなのか、同じようなことが世界で起こっていると、ぼんやりと感じるからか、それとも将来こんなことになりそうだと漠然と思うからか。もしくは、イシグロがいうように、彼らの人生は、実は、わたしたちとそう変わらないからなのか。こんな感じのまとまらない思考がもやもやして、重いけれど、名作。
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11/6 物語感が圧倒的。ひさしぶりにガツンとした本を読んだ。ミステリでもないのにじわじわと謎が大袈裟でなくこちらに伝えられるところや、その根本にある価値観。あと時代設定や詳細がはっきりしていないところもいい意味で世界観を形成している一因だ。ほかの本も読んでみようと思います。
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