わたしを離さないで の商品レビュー
心が震えました。 淡々としながら、執拗なまでの繊細な観察眼を持った一人称の筆致が鬼気迫る。 そのせいか、上質の心理サスペンスとしても秀逸だと感じました。
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-外にはマダムのような人がいて、わたしたちを憎みもせず害しもしないけれど、目にするたびに「この子らはどう生まれ、なぜ生まれたか」を思って身震いする- カズオ・イシグロの現時点の最高傑作と名高い一冊。 精緻なリアリズムを追求した作風の「日の名残り」でブッカー賞を受賞。その後、評価...
-外にはマダムのような人がいて、わたしたちを憎みもせず害しもしないけれど、目にするたびに「この子らはどう生まれ、なぜ生まれたか」を思って身震いする- カズオ・イシグロの現時点の最高傑作と名高い一冊。 精緻なリアリズムを追求した作風の「日の名残り」でブッカー賞を受賞。その後、評価された作風をあっさりと棄て、ミステリー風の「わたしたちが孤児だったころ」を上梓し、さらにまた、この「わたしを離さないで」まったく違う作風。しかも、作者の最高傑作ともたたえられる出来栄え。作品中、きっとだれもが大なり小なり「心が震える」瞬間があると思います。
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最初、何の事だかさっぱりな語り口からか 購入してから約3カ月、20ページもよまずにストップ・・ 改めて時間がたっぷりあったときに じっくり時間を込めて読むと、 後から後からじわじわと、疑問が解決していき 解決するたびに何とも言えない悲しさがこみ上げる ちょっと切ない・・というか...
最初、何の事だかさっぱりな語り口からか 購入してから約3カ月、20ページもよまずにストップ・・ 改めて時間がたっぷりあったときに じっくり時間を込めて読むと、 後から後からじわじわと、疑問が解決していき 解決するたびに何とも言えない悲しさがこみ上げる ちょっと切ない・・というか悲しい本でした この本のようなことが起こらなければいいと思います。
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人間は一度覚えた旨味は二度と忘れられない、 歴史は巻き戻せないという話。 搾取されるために生み出された人たちの視点から、極めて抑制的に語られる人生と恋の物語。 これだけぐんぐん読ませるんだからすごい力なんだと思うけど、しかしそんなに無抵抗でいられるのかと思うほど淡々と主人公たち...
人間は一度覚えた旨味は二度と忘れられない、 歴史は巻き戻せないという話。 搾取されるために生み出された人たちの視点から、極めて抑制的に語られる人生と恋の物語。 これだけぐんぐん読ませるんだからすごい力なんだと思うけど、しかしそんなに無抵抗でいられるのかと思うほど淡々と主人公たちの人生が刈り取られてゆく。 「欺瞞に満ちた幼年期だったと今になってわかっても、ふりかえれば微笑ましい思い出ばかり」って、そんなに何の恨みも怒りもないなんて?? 自分と同じ境遇の同士には怒りも罵りも呆れもするのに、『外の人』へのその淡白な態度はなんなんだー と思ってしまうのは、私が主人公のように教育されていないからなのか、恨み骨髄に徹する質だからなのか。 でもラストシーンの美しさは、もう、際だってます。 日本の小説は終わり方が下手とかいう話を時折聞きますが、イギリスの小説がみんなこんなに美しい終わり方なら、較べられてかわいそうと思うほど。 (私の中では高村薫の『黄金を抱いて飛べ』の文庫版はラストシーンの美しい日本の小説としてこの小説と俄然張り合えると思うんですけど) (続き) カズオ・イシグロの『私を離さないで』では 主人公に感情移入して読むことは抑止されている。 常に報告調の主人公のいる世界の外側に『外の人』がいる世界があって、読者の椅子は皆、そこに用意されている。 どうして外の世界の人々に対して、怒りを表現しないのか理解できないという読者と主人公の感覚のもどかしい乖離が、 提供者となったルースやトミーと、介護者である(あった)主人公のキャスとの距離と、構造として類似しているように最後の最後までみえている。 ラストシーンで、今やさらに『外の世界』から遠く離れて、トミーと同じ地平に立ったキャスが、イギリスのロストコーナーへ失くしてしまったものに会いにくるとき、 キャスと読者の間に、絶対に重ね合わすことができない断絶があることにはっきり気づかされる。 構造の類似は単なる形の上での類似で、 今からキャスが赴く施設について思いを馳せるとき、 自分の疑問のあどけなさにぞくりとさせられる。 『なぜ外の世界の人に怒れないのかわからない』のは、読者が『外の世界の人』だからなのであって、この作品は構造的に読者が主人公に己を重ねることを禁止するつくりになっている。 前半の『微笑ましい』幼年期で描かれる、私たちの誰でもが必ず通るような焦れったい人間関係での様々な問題を主人公たちが同様に通り抜けてきていることで、 『外』とヘールシャムの子どもたちのラストシーンでの埋められない断絶が、実際には語られないヘールシャム以前にあることがわかる
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背景設定や、物語の切り口はおもしろいのだが・・・ どうにも感情移入できなかった・・・ 自分にはこれを読んで泣ける感性は備わってなかったようで。
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「面白い小説ある」と聞かれて、相手の事を良く知らない場合に。 誰でも受け入れるけど、衝撃もあるイシグロ・カズオ。
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苦手な翻訳ものを友達に借りて読みました。本当のことは主人公たちにも読者にも隠されている、見えそうで見えない、わかったふりをして、苦手じゃないと言い聞かせて読み続けましたが非常に疲れました。素直じゃないとだめかも。悲しい話です。
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圧倒的な構成力 フィクションでありながらリアリティ溢れる描写 読み終えたときに切ない気持ちになりもう一度読み返しました
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静かな語り口なのに妙に深淵とする闇を伺わせる何かが常にある話だった。「ヘールシャム」「介護人」「提供者」この単語の意味が気になって気になって…結局この意味がわかった時、物語は完結するような感じだったのだが…始終「何なの〜〜??」というもどかしいモヤモヤを抱えて読むハメになった。イ...
静かな語り口なのに妙に深淵とする闇を伺わせる何かが常にある話だった。「ヘールシャム」「介護人」「提供者」この単語の意味が気になって気になって…結局この意味がわかった時、物語は完結するような感じだったのだが…始終「何なの〜〜??」というもどかしいモヤモヤを抱えて読むハメになった。イギリス独得の世界に吸い込まれるんだけど常に違和感を感じたお話だった。面白いのかもしれないんだけど…ゾッとするんだよなあ…
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英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。 「人生は短い」ということを書きたかった。あらゆる人がいずれ死を迎えます。誰もが避けられない「死」に直面した時に、一体何が重要なのか、というテーマを浮き彫りにしたいと思ったんです。by...
英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点。 「人生は短い」ということを書きたかった。あらゆる人がいずれ死を迎えます。誰もが避けられない「死」に直面した時に、一体何が重要なのか、というテーマを浮き彫りにしたいと思ったんです。byカズオ・イシグロ
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