白光 の商品レビュー
ある一人の少女の死をきっかけにごく普通の家族がみるみる崩壊していく。 関係者全員の独白により事件前後の詳細が明らかになるが各々の誤解や勘違い、妄想等により二転三転する真相にはお見事としか言いようがない。 不愉快極まりない展開なのに淡々とした語り口によってさらっと読めてしまう。
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読後感はいいものではない。ただ告白めいた文章に引きずられてどんどんはまっていく感じ。誰もが手は下していないが自分が殺したようなものだと思い責める。でも少女が死んだことを悲しむよりもその罪は起こるべくして起きたという気にもなっている。佳代の告白から直子は何人もの手で命をたたれたことになる。そして、殺されることも自分から申し出ていたとは。最後の最後まで考えさせられた。
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2020/10/30読了。 1人の少女が殺され、その少女を殺した犯人として実の父が自白…と思ったらそれは誰かを庇っていて、その人がまた告白…でもまた… と罪の告白のたたみかけ。一体誰が真犯人なの?となるこの構成は面白いなと思った。 ただ、勢いある構成だっただけに、最後の犯人の独白が長くてテンポが悪く、冗長とすら感じてしまった。似たワードを繰り返すのもまどろっこしい。 それ以外は概ね推理小説として面白かった。
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女の子が殺されたという事実が軽く扱われすぎて、「もうあんたらの真相なんてどうだっていいわ!!!」と思えてくる。創作なのでそういった視点でかんがえる必要はないのだろうけど。 語り手の告白が真相のようで、次の語り手がまた別の真相を告白する、という展開は面白かった。同じ場面が別の見え...
女の子が殺されたという事実が軽く扱われすぎて、「もうあんたらの真相なんてどうだっていいわ!!!」と思えてくる。創作なのでそういった視点でかんがえる必要はないのだろうけど。 語り手の告白が真相のようで、次の語り手がまた別の真相を告白する、という展開は面白かった。同じ場面が別の見え方になる。 湊かなえの「母性」みたいな感じ。
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昔から大嫌いだった妹の、四歳の娘が殺され庭に埋められた。 痴呆の義父と二人きりで留守番している時だった。 身勝手な大人の事情に巻き込まれ、殺されてしまった直子があまりに不憫だった。 それぞれの視点から、殺害のきっかけになるような闇が出てきて、最後にはどれが真実なのか疑心暗鬼になっ...
昔から大嫌いだった妹の、四歳の娘が殺され庭に埋められた。 痴呆の義父と二人きりで留守番している時だった。 身勝手な大人の事情に巻き込まれ、殺されてしまった直子があまりに不憫だった。 それぞれの視点から、殺害のきっかけになるような闇が出てきて、最後にはどれが真実なのか疑心暗鬼になってしまう程。 以前から気になっていた作家さん。 古本屋でいくつか購入したので次の作品も楽しみになった。
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姉の家に預けていた娘が死体で発見される。 殺したのは誰か。 不倫をしていた母親か、それともその不倫相手か それとも結婚当初からの関係であった姉の夫か それを恨んだ夫の犯行か、はたまた関係に気付いた姉か 戦時中の悲しい記憶に苦しむ認知症のおじいちゃんか それぞれの思惑が交差して それぞれの視点からの主張が独白される それぞれが「あの人が犯人」と思いながら 同時に「自分が殺した」と思っている 直接手をくだしていないだけで 自分が殺したのも一緒だと 途中から 結局誰やねん!てなってくる わかったあとも ほんで結局なんでやねん! てなる みんなが自分中心自己陶酔に思えてくる
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『藪の中』のような語り口で物語は進む。 誰もが皆、嘘をつき本音を隠し、いや、あるいはそれが真実だと思っている。 誰が本当のことを言っているのか。 いや、語り手にとっては語っていることが全てなのだ。 熱に浮かされたように、譫言のように、たとえ始まりが虚言であっても、それが語り手にと...
『藪の中』のような語り口で物語は進む。 誰もが皆、嘘をつき本音を隠し、いや、あるいはそれが真実だと思っている。 誰が本当のことを言っているのか。 いや、語り手にとっては語っていることが全てなのだ。 熱に浮かされたように、譫言のように、たとえ始まりが虚言であっても、それが語り手にとっての真実になっていく。 本書は、芥川の描いた手法を使いながら現代を織り込む。 そこで語られるのは、南の島の情景。 それはパラダイスやホリデイという前向きな言葉の「南の島」ではなく、70年以上も前の、大戦の記憶だ。 行ったきり帰ってこないと分かっていたから、前妻は「この子はあなたの子ではない」と懺悔したのか。 そもそも懺悔だったのか。 本当に、女の子は殺されたのか。 熱に浮かされ、罪悪感が見せた幻影だったのか。 もはや読者には何が現実の出来事なのかわからない。 殺していいのよと誰が言ったのか。 愛などない夫婦、愛していない子供。 家族の姿は、白い光の元で不気味に変化していく。 それとも、初めから整ってなどいなかったのかもしれない。 すべては真っ白な光の中、人を過たせる世界の中の、物語。 だとしても、「南の島」の記憶は、もしかしたらそれだけは本当だったかもしれない。 罪なき人を、殺めた記憶だけは。
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老人の描写から入るこの作品は、ひどく暗くおどろおどろしい雰囲気をかもし出している。 少女殺害から、それぞれの人間関係があらわになっていくのだが、そんな人間関係とは関係のない少女が殺されることが最後まで不憫でたまらなかった。 いろいろな事情はあると思うが、子どもを巻き込むのはあ...
老人の描写から入るこの作品は、ひどく暗くおどろおどろしい雰囲気をかもし出している。 少女殺害から、それぞれの人間関係があらわになっていくのだが、そんな人間関係とは関係のない少女が殺されることが最後まで不憫でたまらなかった。 いろいろな事情はあると思うが、子どもを巻き込むのはあまりにも大人気ないし、少女殺害きっかけで大人の事情があかるみになったからって、なんの意味があるのだろうと思った。
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ある事件をきっかけに『家族』の秘密が露わになっていく物語。 『家族』といっても夫婦、姉妹、親子、祖父母と孫などいろいろなかたちがある。その登場人物全員が複雑に絡み合い、そして秘密や闇を抱えている。次々と事実が発覚していくが、本当に愛する誰かのために行動するその姿が儚い。 それ...
ある事件をきっかけに『家族』の秘密が露わになっていく物語。 『家族』といっても夫婦、姉妹、親子、祖父母と孫などいろいろなかたちがある。その登場人物全員が複雑に絡み合い、そして秘密や闇を抱えている。次々と事実が発覚していくが、本当に愛する誰かのために行動するその姿が儚い。 それぞれの視点から少しずつ事件が明らかになっていき、その都度「なるほど」「そういうことだったのか」と納得。全てが伏線となっており、何度も読み返した。真相に近づくたびに鳥肌が止まらない。
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平凡な家庭で、ほんの僅かな時間のお留守番で、預かっていた幼い姪が殺される。 事件か事故か? 事故なら何があったのか。 事件なら誰がこんなことをしたのか。 家族それぞれが抱えた家族にも言えない思いが少しずつ交差する中で、たどり着いた結末には驚く
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