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母なる夜 の商品レビュー

4.3

17件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2009/10/04

第二次世界大戦のドイツでラジオ広報をしていたアメリカのスパイの話。だけど、スパイらしい遣り取りはあまりない。戦後、ナチだと叩かれながら彼は肯定も否定もせずに命からがら逃げる、という事もしない。一体彼の望みや本心はどこに向かっているのだろう、と思いながら読んだ。最後の最後でやっと分...

第二次世界大戦のドイツでラジオ広報をしていたアメリカのスパイの話。だけど、スパイらしい遣り取りはあまりない。戦後、ナチだと叩かれながら彼は肯定も否定もせずに命からがら逃げる、という事もしない。一体彼の望みや本心はどこに向かっているのだろう、と思いながら読んだ。最後の最後でやっと分かった。 題材からすれば暗い話になりそうなんだけど、やけにあっさりしている。でも、文章のあちこちで古めかしい物言いで深い言葉がある。あまり飾り立ててないそれらの言葉達が礼儀正しいクラシカルさで心地よかった。

Posted byブクログ

2009/10/04

「母なる夜」は白水Uブックス・池澤訳とハヤカワ文庫・飛田訳の 2つが出版されていて、これについては甲乙つけがたい。 残念なのは、後発であったハヤカワ版が入手困難になっていて、 なかなか高値がついていること。 池澤訳は現在も書店で平積みになっているので、 「母なる夜」そのものが読め...

「母なる夜」は白水Uブックス・池澤訳とハヤカワ文庫・飛田訳の 2つが出版されていて、これについては甲乙つけがたい。 残念なのは、後発であったハヤカワ版が入手困難になっていて、 なかなか高値がついていること。 池澤訳は現在も書店で平積みになっているので、 「母なる夜」そのものが読めなくなったわけではないので、まだ救いがあるものの、 ハヤカワ版には白水版にはないよさもあるので、とても残念に思う。 というのは、後発だったためもあると思うが、ハヤカワ版はちょっとしたオマケをつけている。 それは、ヴォネガットによる「読者のみなさん」という序文が収録されている点。 序文に書かれている言葉がすこぶるいい。 機会がある方(あなたの街の図書館に、この本がありますように!!)は、 序文だけでも目を通してほしい。復刊してもらいたい一冊。 肝心の内容は、ヴォネガットの小説の中で、最もシビアな作品と言えるが、 読みやすいとも思う。自分自身がこの立場だったらどうするだろうと、 ヴォネガットの作品では珍しく感情移入しながら読むことができる。 「スローターハウス5」が産まれた後、フィクションの形をとりながらも、 あくまでもリアリティをもったこの作品が世に出されたことは、 作家にとって必要だったのかもしれない。 なお、「マザーナイト」のタイトルで映画化もされており、 ラスト間際でヴォネガットもカメオ出演している。 なかなか原作に忠実に作られた映画だった。(日本では未公開、ビデオのみ販売) 追記:やっぱ「ハイ・ホー」より「ハイホー」のほうがしっくり来るなぁ...いや、どうでもいいですが。

Posted byブクログ

2009/10/04

主人公を取り巻く人々や状況の混乱ぶり、そして自分自身の葛藤が、主人公の冷静な観察眼で淡々と描かれている。 ナチス政権下のドイツで、アメリカのスパイとして広報活動を行っていた主人公のその後の人生は、無限の諦観で成り立っていた。その結末を迎えるために、裁判を受けることを決断するまでの...

主人公を取り巻く人々や状況の混乱ぶり、そして自分自身の葛藤が、主人公の冷静な観察眼で淡々と描かれている。 ナチス政権下のドイツで、アメリカのスパイとして広報活動を行っていた主人公のその後の人生は、無限の諦観で成り立っていた。その結末を迎えるために、裁判を受けることを決断するまでの心理状況の変化は圧巻。

Posted byブクログ

2009/10/25

<poka> ヴォネガットでいちばん好きな作品です。 <だいこんまる> 太田光もヴォネガットが好きらしい。それが嫌い。

Posted byブクログ

2009/10/04

第二次世界大戦中に、アメリカのスパイとして雇われながら、ナチスの広報員として働いた男が主人公の、独白小説。 そんなに長くないので、ヴォネガットを 初めて読むのに適している気がする。 池澤さんの訳はとても読みやすい。 「さらば、残酷な世界よ! Auf wiedersehen!」

Posted byブクログ

2009/10/04

これまた悲惨な運命に翻弄されるシリーズ。ここまで悲惨で過酷で暗い話なのに、なぜか読後に「私はそれでも生きていくぞ」みたいな決意を胸にしてしまった。ヴォネガットの魅力って、愚かな人間の作り上げる愚かな人間社会を徹底的に笑い飛ばしつつ、そこで生きることを諦めない、絶望しきっているわけ...

これまた悲惨な運命に翻弄されるシリーズ。ここまで悲惨で過酷で暗い話なのに、なぜか読後に「私はそれでも生きていくぞ」みたいな決意を胸にしてしまった。ヴォネガットの魅力って、愚かな人間の作り上げる愚かな人間社会を徹底的に笑い飛ばしつつ、そこで生きることを諦めない、絶望しきっているわけじゃない、っていうところかも。

Posted byブクログ

2009/10/04

一度もヴォネガットを読んだ事がない人にはこれを最初に薦める事が多いです。起伏に富んだストーリーで、飽きさせません。

Posted byブクログ