マイナス・ゼロ 改訂新版 の商品レビュー
十数年ぶりの再読です。日本のタイムトラベルSFといったらこれ。ブクログレビュー平均4点超えも当然です。 タイムパラドックスを扱ったアクロバティックでロジカルな物語が楽しめます。かといって全編がっちがちなSFというわけではなくて、むしろ物語の大部分が昭和初期の庶民の生活が描けれた...
十数年ぶりの再読です。日本のタイムトラベルSFといったらこれ。ブクログレビュー平均4点超えも当然です。 タイムパラドックスを扱ったアクロバティックでロジカルな物語が楽しめます。かといって全編がっちがちなSFというわけではなくて、むしろ物語の大部分が昭和初期の庶民の生活が描けれた「普通小説」なんですね。でもそのパートがめっぽう読ませるのです。なんと人々が生き生きとしていることか。このノスタルジーこそ本作が愛される理由でしょう。 そして最後は次々と伏線が回収されて、主人公の数奇な人生が「愛の物語」として見事に着地します。素晴らしい!
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候補だったらしいが直木賞という感じではない。すこし冗長にも感じる。だが、楽しい作品。最後は次々とパーツがハマっていき、意外な景色が現れる。伊沢先生のことも書いてほしかった。
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1945年の空襲下の東京で息絶えた隣人から18年後の今日ここに来てほしいと不思議な頼まれごとをされた主人公の浜田俊夫は、約束の日に訪問した家の主人に依頼してその場所に行く。そこで18年前に姿を消した啓子さんと出会う。1945年から1963年へ、そしてそこからタイム・マシンでまた戻って1932年へと、昭和のいろんな段階の東京の姿が懐かしく描かれ、また自分自身が俊夫になった気分で、周りの登場人物への秘密の世界を楽しむことができました。そして途中からは山城伝蔵と名前を変え、そして及川へ・・・。同じ人物が同時に2人存在するという???という場面も楽しいものです。そして啓子さんが途中からずっと出ないと思っていたら、実は。そして及川氏も・・・こうなると、人間の心の底の秘密はなんでもありうると思いました。
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戦時中から戦後にかけたタイムマシンの物語。 ストーリー展開もさることながら、当時の人情味ある人間模様も読んでいて心地よい。 途中読み返したものの、最後のつながりには納得。 タイムマシンと言えば、ドラゴンボールの人造人間のあたりをもう一度読みたくなった 笑
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戦前の日本の様子が細かく書いてあって、興味深かった。 タイムマシンがどう絡んでくるのか気になって読みやすかった。
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とにかく良かったです! タイムマシンものなんですが、書かれたのが1965年と50年近く経っているのに、抜群に読みやすかったです。 昔の小説って、けっこう読みにくかったりするので敬遠していたのですが、目から鱗でした。 内容は昭和20年に生きる主人公の下に戦争中、隣の家に住んでい...
とにかく良かったです! タイムマシンものなんですが、書かれたのが1965年と50年近く経っているのに、抜群に読みやすかったです。 昔の小説って、けっこう読みにくかったりするので敬遠していたのですが、目から鱗でした。 内容は昭和20年に生きる主人公の下に戦争中、隣の家に住んでいた女の子がタイムマシンに乗って(乗せられて)、やってくるというところから始まります。 ね?引きが良いでしょ? さらに、この本で良いのは、戦争中の東京の街並みが良くわかること。 描写がかなり詳細で、臨場感があります。おそらく、ものすごい取材量だったんだろうなぁと。 さらにさらに、主人公にもの凄い好感が持てること。 陥った環境は過酷なはずなのに、淡々とこなしていきます。 さらにさらにさらに、「ふーん」って読んでいた全てのエピソードが伏線となっていること。 最後の回収具合がハンパないです。 ちょっと長いのですが、かなりお勧めです! (903)
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噂に聞いていた名作SFを読みました。 この頃、短編集でもなかなか読了できないので読み終わるか心配ではありました。 買おうか迷った時に「星先生の解説が付いてる」だけで充分うれしいじゃないか!と心が決まりました。 そしたらまあ、二日で読んでしまって。やっぱり面白い本はこうなんだよなあ。 お話が長いのは、人々が生活している描写も多いからかなと思うんだけど 戦前や戦後間もない日本の様子を面白く書いてくださっていて全然退屈しませんでした。 エスエフ~って部分もドキドキハラハラで面白かったです。 伏線が次々と回収されていくのが凄く気持ちよかった! カシラ一家との交流が一番心に残りました。 親戚でも昔馴染みでもない突然現れた人を迎え入れてくれて その人が居なくなっても、何年も何年も約束したことを守ってくれて そしてまた急に現れたら大喜びで面倒をみてくれて・・・ なんかもう人情の温かさに読んでいて大泣きしてしまいました。 そしてレイ子さんの存在は大きかったなあ。 それにしても主人公さん、たくましいですよね。でもみんなパワフルか~。 昔の日本人は本当に元気だったんだなあ、なんて思っちゃった。 広瀬正さんのあとがきも星新一先生の解説も素敵でした。 本当に読んでよかった!!
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タイムマシンもの。 タイムパラドックスをうまくメビウスの環の連環に収めてしまうのは面白い発想でした。 いろいろと齟齬を生み出していって、そのズレが辻褄を合わせていくのはお見事! これが40年も前の作品というのは驚きです。
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「びっくりする結末だよ」と言われ、ラストを先に読みたい衝動をこらえながら読み進んだ。 中盤、昭和初期の風俗描写が細かい! かなりたくさんページを割いて描き込まれている。 作者自身ががその時代にいったかのように克明に。 周到に張り巡らされた伏線がパズルのピースがはまるように収ま...
「びっくりする結末だよ」と言われ、ラストを先に読みたい衝動をこらえながら読み進んだ。 中盤、昭和初期の風俗描写が細かい! かなりたくさんページを割いて描き込まれている。 作者自身ががその時代にいったかのように克明に。 周到に張り巡らされた伏線がパズルのピースがはまるように収まっていくのが心地よい。 「びっくりする結末」はたしかに「!?」と思うが 矛盾はないんだよね。 こんなの書ける人、天才!
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(集英社文庫のをあげてますが、実際は河出書房の『広瀬正・小説全集』でした) NHKラジオ第一「すっぴん」木曜日の中島さなえさんの「本とシネマの乱読中毒」というコーナーで紹介されていた小説です。そのコーナーを車の中で聴くことが多い私は、たいていのものは聞き流してしまっていたのですが、この本だけは信号待ちの時に手帳にタイトルを書きとめていました。(まあ、HP見ればわかったりするんですけど・・)気になったのはこの本が「タイムスリップ」ものだという話だったから・・(厳密にいうと「タイムマシン」なのですが・・) 今日、図書館に行ったとき、思い出して検索したら書庫にあるという・・。で、検索のメモを渡し待つこと数分・・。出してもらった本はそこそこ年季が入っていて入っていて、字もこの年だとちょっとつらいかも・・というフォントでかなりの分量。不安に思いながら何でもいいから読み始めてみよう・・とページをめくり始めたら、これがまあ止まらない止まらない・・。とはいえ、家事やら何やらありますから、実際には何とかストップさせて、それでも今日だけで一気に読み終わってしまったのです。 ダイナミックなお話でした。いわゆる「パラドックス」もあり??この辺はとにかく一度読んでいただいた方がいいですね・・。 大分昔に読んだから詳細は忘れてしまってるけど、かの有名なSF『夏への扉』と設定的には似てる部分もある気がしました。一番新しい時代より後に生まれた人間にとっては、やや風俗に関してとかわかりづらいところもあるにせよ、あとではあんまり気にならなくなるほどでした。とはいえ、私より若い中島さなえさんは、そういう部分読み飛ばしたんだろうか?なんて変な興味も覚えたりして・・。
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