公子の帰還 の商品レビュー

レイモンド・E.フィースト【著】,岩原明子【訳】

2011/06/10

第二部後半のアルサの息子は理由あっての甘やかされっ子。でもこの時代でこの家に生まれたらプラス面もマイナス面もこうなるよねという子。その成長物。

これも安心して読めるのでいいですよ。個人的には恋愛パートとニコラスの足のことは不満あるけど、この辺は好みだろなー。

しかしパグといい、大魔法使いはだいたい厭世・隠遁にむかうね。

2009/10/04

　福岡出張中に読んだ小説の三冊目。
　「国王の海賊」の後編に当たり、第二部の完結編でもあります。

　主人公ニコラスが新しい大陸で成長して帰還する…簡単な大筋ですが、計算されたイベント型の展開と、著者の語り口でハラハラする物語をスイスイと読めます。自分もTRPG経験者だからでしょうが、著者のイベント展開／連結／集束の連続でキャンペーン・ストーリーを紡いでいく文章に親近感があります。たぶん、TRPGのシナリオを小説化したような感じなのでしょうか…登場人物達は予想外の行動で著者や読者の想像を超えることはありませんが、複雑な設定と交錯する物語を予定調和的にクリアしていきます。TRPGのリプレイ小説とは違う、むしろ「ロードス島戦記」が近いと言えば感触が伝わりやすいでしょうか。

　海外では既に続くシリーズが発刊されているそうです。翻訳を期待するのですが…。