ピロティ の商品レビュー
エゴがぶつかりゃ、人情も通う マンションが現代の長屋なら、管理人は長屋の大家さんのようなものだ。後任に仕事を引き継ぐ管理人の言葉を通じて、人間の心の深層を、野間文芸賞作家が軽妙なリズムで描く。
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42戸のマンションの管理人・山根さんが、次に管理人になる渡部さんに管理人業務の引継ぎをする1日の話。 山根さんがずっと話しをして、この小説はいつ始まるのだろうと思ってたら、最後まで山根さんがずっと話をします。 最初は戸惑いすら覚えましたが、いつの間にか自分が渡部さんに思えてきまし...
42戸のマンションの管理人・山根さんが、次に管理人になる渡部さんに管理人業務の引継ぎをする1日の話。 山根さんがずっと話しをして、この小説はいつ始まるのだろうと思ってたら、最後まで山根さんがずっと話をします。 最初は戸惑いすら覚えましたが、いつの間にか自分が渡部さんに思えてきました。山根さんにほら蛍光灯がちかちかしているでしょう?と言われたら、なんとなく上を向きたいような、ほらほら怪獣のカードを出しっぱなしにして、、って、言ったら、カードを拾い集めたくなるような。 マンションの管理人さんのある1日の話と言ってしまえばそれまでだけど、管理人さんの日常を通して、マンションの住民のなんでもない生活がつかず離れず垣間見えます。何よりも何も語っていないはずの渡部さんのセリフが頭の中にどんどんわいてくるのが不思議! 30代の会社員の私が読んでもなんかいいなと思えるのですが、定年前のなんとなく悶々とした毎日を送るおじさんが読めば、また違った感想を持ちそうな1冊です。
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