『おくのほそ道』時空間の夢 の商品レビュー
松尾芭蕉の『おくのほそ道』にかんする論考を収録しています。 本書は二部構成になっており、「『おくのほそ道』と日本文化論」と題された第一部では、『おくのほそ道』そのものについて論じられているのに対して、「比較文化論の視点から」と題された第二部では、『おくのほそ道』とアンデルセン、...
松尾芭蕉の『おくのほそ道』にかんする論考を収録しています。 本書は二部構成になっており、「『おくのほそ道』と日本文化論」と題された第一部では、『おくのほそ道』そのものについて論じられているのに対して、「比較文化論の視点から」と題された第二部では、『おくのほそ道』とアンデルセン、朝鮮の放浪詩人である金笠の比較、さらに矢口高雄による『おくのほそ道』のマンガ作品についての考察がおこなわれています。 『おくのほそ道』そのものを論じた第一部にかんしても、「『おくのほそ道』を、単に文学的にとらえるのではなく、広く文化史的にとらえ、史学、民俗学、宗教学、認知科学など、他分野の研究成果をも取り入れて考察した論考である」と著者自身が述べているように、かならずしも『おくのほそ道』の内在的な分析とはいえないような議論が見られます。全体をとおして、『おくのほそ道』になんらかの意味で関係する多様なテーマをとりあつかっているという印象があり、エッセイのような感じで読むことのできる内容に感じられました。
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