八月の光 の商品レビュー
読書終了後、約二ヶ月たった今レビューを書こうとしてこの作品を思い出しているが、最後がボンヤリしてしまっいることに気づき驚きです。彼の作品の雰囲気は好きなのにな〜。何か乾いた感じ。 しばらくしたら、最後の部分を読み返してみたい。
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アブサロム アブサロム!に続いてフォークナーは2作目。ヘミングウェイらのロストジェネレーションによる作品は今まで幾つか読んできたが、何れも感銘を受けるまでには至らなかった。フォークナーによるアブサロム アブサロム!も構造作品の難解さに少し頓挫した。しかし、八月の光においてはシンプ...
アブサロム アブサロム!に続いてフォークナーは2作目。ヘミングウェイらのロストジェネレーションによる作品は今まで幾つか読んできたが、何れも感銘を受けるまでには至らなかった。フォークナーによるアブサロム アブサロム!も構造作品の難解さに少し頓挫した。しかし、八月の光においてはシンプルな物語とは云え本当に素晴らしい作品だった。世界中の文学作品にも同様に通じることだが、日常や歴史の中で些細でわずかな出来事でさもこれだけの内容に昇華できることが文学の真髄なんだと思う。 正真正銘のアメリカ文学最高峰とも云える作品だろう。
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傑作! というのは何万回も言われているだろうが実際傑作だった。 読んだことのある長編は『響きと怒り』だけだったのですが、構成がこちらのほうがわかりやすい分面白さが伝わってきます。語りがいろんな人物に入っていってああ小説を読んでいるなあという感じ。 フォークナーって面倒なだけかと思...
傑作! というのは何万回も言われているだろうが実際傑作だった。 読んだことのある長編は『響きと怒り』だけだったのですが、構成がこちらのほうがわかりやすい分面白さが伝わってきます。語りがいろんな人物に入っていってああ小説を読んでいるなあという感じ。 フォークナーって面倒なだけかと思っていたんですがこんなに楽しいとは。あちらも読み直さねばいけないな、などと思いました。
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1930 年代、南部アメリカ。 臨月の身ながら、 自分を置き去りにした男を求めて、 旅をする女「リーナ・グローブ」と、 白い肌に黒人の血が流れているという疑惑の中で育ち、 自己のアイデンティティーが崩壊を見せている男「ジョー・クリスマス」。 その他多彩な登場人物の物語が、 複雑に...
1930 年代、南部アメリカ。 臨月の身ながら、 自分を置き去りにした男を求めて、 旅をする女「リーナ・グローブ」と、 白い肌に黒人の血が流れているという疑惑の中で育ち、 自己のアイデンティティーが崩壊を見せている男「ジョー・クリスマス」。 その他多彩な登場人物の物語が、 複雑に絡み合うカオス。 グイグイ引き込まれる傑作。 フォークナーは、1950 年にノーベル文学賞受賞。
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本をよく読まない人にも読む人にも、その人の人生を左右するような巨大な影響を与える一冊が存在する。自分にとって、『八月の光』はまさにそのような本だ。 本書の主題は、「ひとはアイデンティティなしで生きられるか?」を南部の因習(人種差別、閉鎖的なコミュニティ)と絡めながら描くこと...
本をよく読まない人にも読む人にも、その人の人生を左右するような巨大な影響を与える一冊が存在する。自分にとって、『八月の光』はまさにそのような本だ。 本書の主題は、「ひとはアイデンティティなしで生きられるか?」を南部の因習(人種差別、閉鎖的なコミュニティ)と絡めながら描くこと。 (1) ジョー・クリスマスは、自分が黒人か白人かわからない悲劇的状況にある。白人にしか見えないが、黒人の血が入っているのかもしれない…。南部において、これはアイデンティティを持たないことと同義だ。喪失には失われる前の記憶がある。しかし、彼は最初から「持たない」。そしてこの先も持つことはできない。このような人物が破滅的な最後を遂げるのは、避けられない運命である。 (2) 問う者は常に敗者で、勝つのは常に、疑問を持たずに受け入れる者だ。だからリーナ・グローブが自分を妊娠させた男を捜して結婚するために故郷(といえるほどのものでもない)を喪失したとき、彼女は母というアイデンティティを自然に受け入れ、その母性と素朴な愛らしさによって彼女の周りの全てを人生や環境と「和解」させる。 ふたりは決して出会うことはない。運面は一瞬交差するのみで、二つの筋が別々に語られていく。その見事さ。 (3) フォークナーは、若いころ詩人を志した。実際には一冊の詩集を出しただけで彼の詩人としてのキャリアは終わったのだが、詩的描写のすばらしさは随所に活かされている。 「彼らはこの淀んだ僧院めいた薄暗さの中へ、いま彼らが彼にしたばかりの残酷な夏の光に似た何かを持ち込んだのであった。その光の残影は、彼らのまわりに漂っていた。それは光の持つ恥知らぬ残忍酷薄な明るさともいえた。その中にある彼らの顔はいずれも光輪から浮かび出たかのように胴体から離れて浮動しつつ輝いて…」
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いいことがひとつもないというか、最後に少しだけ希望があるというか。黒人問題とキリスト教。それにつきるのかな。文化や歴史、宗教にあんまり詳しくないのでそこまでわかったとか共感したってことはなかったけれど、読んでよかったと思う。
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今迄読んだどの本よりも素晴らしい作品。何本もの糸が綿密により合わさって織り成す作品の世界観に圧倒された。小説という枠に収まりきらないような大きなスケールを備えている。
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偉大な作品。米文学教授の平石先生は「響きと怒り」のほうを評価しているようですが、これもかなりすごい作品だと思います。黒人クリスマスの壮絶な物語は感動を与えてくれます。
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力のこもった作品。 かつての南部アメリカで黒人の血を引く白人だという噂の中で育ち、自分が何者であるかわからない悲劇を生きた男と、素朴な娘。 阻害と孤立。因習と自滅。 現代ならACだろうな…
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春樹ファンというより、村上龍、スティーヴ・エリクソンのファンへの方がオススメ度高いかもしれないが、この本はそんな範疇を越えた名作。ノーベル賞作家の濃厚な世界が圧倒する。
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